旧筐体20ラックを2ラックに削減、GMOインターネットが語るサーバ管理コスト削減の秘訣400台近いEPYC搭載PowerEdgeサーバが稼働

2021年4月13日、オンラインセミナー「知らなきゃ損する!? 新AMDサーバCPU『第3世代EPYC』徹底解説 〜中の人に聞く『コスパを最大化する秘訣』と、ここでしか言えないウラ話〜」が開催された。当日の模様をレポートする。サーバ管理コスト削減の秘訣をGMOインターネットの担当者が語った。

» 2021年05月06日 10時00分 公開
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多岐にわたる業種で採用が進んでいるAMD EPYC搭載サーバ

 社会全体でデジタル化が進み、ビジネスに一層のスピードとコスト効率が求められている。最も迅速、効果的な解決策の一つがハードウェアの処理性能、中でもCPUパワーの向上だ。

 2019年に登場したAMDのサーバCPU「EPYC 7002シリーズ」(第2世代EPYC)は、スピードとコア数が従来比約2倍に向上しており、多くの企業組織が多大なメリットを享受した。さらに2021年3月には、性能とコスト効率がさらに高くなった「EPYC 7003シリーズ」(第3世代EPYC)が登場し、熱い視線を集めている。

 2021年4月13日のオンラインセミナーには、GMOインターネットの的場侑也氏(システム本部 クラウドサービス開発部 コンピュートプロダクトチーム マネージャー)、日本AMDの中村正澄氏(コマーシャル営業本部 ソリューション・アーキテクト JAPAC)、デル・テクノロジーズの岡野家和氏(データセンター・コンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー)が参加。アイティメディア統括編集長 内野宏信の司会の下、第3世代EPYC活用の「秘訣」と「ウラ話」が披露された。

GMOインターネットの的場侑也氏

 議論は企業を取り巻く状況を振り返るところから始まった。自社サービスの提供基盤としてEPYCサーバを数多く利用しているGMOインターネットの的場氏は「コロナ禍でIaaS(Infrastructure as a Service)やVDI(仮想デスクトップ基盤)の利用が進み、当社でも性能とコスト効率の高いAMDサーバに対するニーズが急速に高まりました」と語ると、AMDの中村氏も「厳しい環境を生き抜くために新しいテクノロジーとコストへの期待は大きい」と振り返った。

 これを受け、EPYCを搭載した「Dell EMC PowerEdge」(以下、PowerEdge)サーバを展開するデル・テクノロジーズの岡野氏は「サービスプロバイダーだけではなく、研究機関でのHPC用途、金融やSIerでのVDIや仮想化用途、ヘルスケア領域での画像診断用途、製造業における開発や製造基盤、サービス業における分析用途など、多岐にわたる業種で採用が進んでいます」と、EPYCサーバが性能や信頼性が求められる分野も含めて幅広い用途で活用されていることを解説した。

EPYCを搭載したPowerEdgeサーバの採用事例

「ムーアの法則の減速」を超えるマルチチップアーキテクチャ

 デル・テクノロジーズの採用事例からも分かるように、ビジネスを展開する中でコンピューティングをはじめとするITインフラの活用は不可欠だ。では、ITインフラを活用する際のポイントは何か。

 これについて的場氏は「単にサーバの性能だけを向上させればよいわけではなく、電力許容量やコストなど総合的に判断してサーバを選択する必要があります。EPYCの登場により、コストと性能のバランスをよりよく考えられるようになりました」と指摘。

 中村氏が「EPYCを選択できるようになったことで、サーバやインフラの選択肢も幅が広がりました」と語ると、岡野氏も「デル・テクノロジーズでは、ワークロードに応じて適材適所なサーバを提供しています。この1年は積極的にポートフォリオの強化に努めてきました」と話し、ユーザーが自社のニーズに合った製品を適切に選択することがポイントだとした。これは言い換えると「ビジネスを起点にハードウェアを見直すことが重要」(内野)ということになる。

日本AMDの中村正澄氏

 では、EPYCはどのようなユーザーメリットを提供するのか。中村氏は「ムーアの法則が減速する中、異なるチップを1つのパッケージに納めるマルチチップモジュールのアーキテクチャを採用し、性能とコスト効率を大きく高めたのがEPYCです。EPYCは1つのパッケージに64個のコアが集約されており、消費電力を抑えながら3.4GHzまで動作周波数をブーストさせることができます。プロセッサだけでなく、8つのCPUで32MBのL3キャッシュを共有するI/Oメモリの強化や、PCIe Gen4 128レーンによるI/Oバスの強化も特徴です。コアとI/Oメモリ、I/Oバスの性能強化により、2ソケットサーバをシングルソケットサーバに置き換えることができます」と解説した。

CPUパワー強化を受けて、サーバ筐体のエアフロー改善も実施

 第3世代EPYCを搭載したPowerEdgeサーバのユーザーメリットについて、岡野氏は「PowerEdgeサーバの設計思想は、アダプティブコンピュート、自律型コンピュートインフラ、プロアクティブレジリエンスという3つです。これは先端テクノロジーの適材適所での提供、運用の自動化、セキュリティの強化を示しています」と、3つの設計思想がユーザーメリットにつながるものだと解説した。

デル・テクノロジーズの岡野家和氏

 特に、1つ目の先端テクノロジーの適材適所での提供では、EPYCの性能を最大限に引き出すサーバとなるよう開発することに注力しているという。最新世代のPowerEdgeサーバでは、NVMe(Non-Volatile Memory Express)でハードウェアRAIDを構成できるRAIDコントローラー「PERC11」や、ハードウェアRAIDやホットプラグ化に対応したブート専用M.2デバイス「BOSS-S2」、エアフローの向上やPCIe信号経路の短縮したシステムボードレイアウトなどの工夫が施されている。

 岡野氏は「第3世代は第2世代からさらに性能が向上したため、エアフローの改善によってきちんと冷やすことがより重要です。例えば、サーバ『R6525』と『R7525』のシステムボードレイアウトは左右完全に均等になっています。また、TDP(熱設計電力)が280Wの第3世代EPYCと、『NVIDIA A100 GPU』を4台搭載し、TDPが500Wまで許容できる新モデルのサーバ『XE8545』も投入しました。冷却性能に優れており、機械学習(ML)やディープラーニング(DL)、HPC、GPU仮想化に適したモデルです」と、CPUの魅力を引き出すためにサーバの設計を改善し続けていることを強調した。

 デル・テクノロジーズのサーバの市場シェアは過去数年にわたって右肩上がりを続けている。そのなかにはAMD EPYCサーバの大型案件が多数含まれており、EPYCとデル・テクノロジーズによる製品作りが市場から高く評価されていることを示している。

「お名前.comクラウド」でAMD EPYCを2年間本番運用

 ユーザー目線でのAMDとPowerEdgeサーバの評価について、的場氏は「使っていてエアフローがかなり効いていることを確認しています。また、サーバハードウェア管理ツールのiDRAC(integrated Dell Remote Access Controller)も大きく進化していて、リアルタイムの可視化を便利に使っています。EPYCも世代が上がるごとにパフォーマンスが向上しています。総じて、使いやすく信頼性の高いサーバだと実感しています」と話した。

 GMOインターネットでは、EPYCをパブリッククラウドサービス「お名前.comクラウド」で提供しており、そのサービスの一つである「お名前.comデスクトップクラウド」において、AMD EPYCを第1世代から活用してきた。お名前.comデスクトップクラウドは、「Windows Server 2019」の「Hyper-V」上で稼働するWindows仮想マシンをリモートデスクトップとして提供するサービスだ。

 「2012年にリリースした当初はx86プロセッサを採用していましたが、2019年の基盤リニューアルに伴って、第1世代EPYCを採用しました。2020年に第2世代が登場するとすぐに採用を決め、現在は第3世代EPYCの採用を進めているところです」(的場氏)

 EPYCを採用した背景には大きく3つのポイントがある。1つ目は、筐体老朽化によるパフォーマンス不足だ。8〜12コアの2ソケットサーバが大量に稼働していたが、長期間の利用で動作が遅くなり故障も増えていた。2つ目は消費電力の問題だ。サーバ筐体をアップグレードして、仮想マシン収容率改善とパフォーマンス向上を図ろうとしたが、消費電力も大きく増えることが懸念材料だった。3つ目はWindowsのライセンスだ。Windows Serverのライセンスは最低16コア分のコアライセンスが必要だ。旧環境は8〜12コアのサーバで運用していたため、ライセンスのためにコストをかけていた部分があった。

20ラックを2ラックに削減、ライセンスコスト年間6000万円を削減

 これらを検討する中、有望な選択肢として残ったのがAMD EPYCだった。

 「EPYCを採用すると、2ソケット前提だったコア数が1ソケットで実現できました。電力と性能バランスがよく、1ラックでより多くのサーバを設置できました。また、Windows Server環境では16コア以上で収容率が高く見込むことができました。導入当時はWindows Server 2012もサポートする必要がありましたが、AMD EPYCは第3代まで古いOSがサポートされることが分かりました」(的場氏)

 最終的に、EPYC7401PとPowerEdge R6415を選定し、Windows Server 2019ベースで環境をリニューアル。旧筐体20ラックを2ラックにまで削減し、年間6000万円ほどのライセンスコストの削減にも成功した。

 GMOインターネットのデータセンターでは現在、400台近いEPYC搭載PowerEdgeサーバが稼働しており、2年間で3万仮想マシン(VM)以上の稼働を実現している。内訳としては、第1世代EPYCを用いたR6415が約250台、第2世代のR6515が約150台、第3世代EPYCは本格導入を控えてテスト機が1台だ。

 その上で的場氏は「EPYCで安定したサーバ稼働を実現しており、信頼性を維持できます。世代交代で1コア当たりの性能が向上していき、より使いやすくなっています。特に第3世代EPYCでは、1コア当たりの性能も当社が希望する以上のパフォーマンスに向上しています。2年間運用してきましたが、クリティカルな問題が発生していないことも高く評価しています」とまとめた。

デル・テクノロジーズのソリューションセンターで検証環境を提供

 このようにEPYCを活用しているGMOインターネットにとって重要なことは、適材適所でCPUやサーバを選択することだという。的場氏は「環境や要件に応じて、最適なCPUは変わります。流行っているものは良いと考えるのではなく、CPUをテストして、自分たちに何が適切なのかを試すことが一番です」と強調した。

 GMOインターネットによる第3世代EPYCのベンチマークでは、1コア当たりの性能が向上していること、ブーストクロックの性能向上率が高いこと、TDPが上昇しておりラック収容台数に効果が期待できることなどを確認。現在、GMOインターネットでは、Windows基盤に限らず、さまざまな商材で第3世代EPYCをテストしていく動きが加速しているという。

CHINEBENCH R23 Benchmarkの結果

 セミナーではこの他「よくあるギモンにズバリ即答」と題して、AMD EPYCに対する信頼性、検証やPoC(概念実証)の方法、ライセンスの考え方などを取り上げ、3者がそれぞれの立場からアドバイスするコーナーも設けられた。

 信頼性については、2500人規模で社内VDI基盤を運用している顧客の事例や、日常的に利用しているSNSやWeb会議ツールの基盤などに採用されていることを紹介。検証やPoCについては、デル・テクノロジーズの「東京カスタマーソリューションセンター」で対応できる。

 ライセンスについては、2021年6月30日の受注分まで限定で、Windows Serverのライセンス課金を1ソケット32コアにキャッピング設定して、PowerEdgeサーバで64コア/48コアCPUを効率的に使うことができるマイクロソフト、AMD、デル・テクノロジーズの共同キャンペーンがあることを紹介した。

 ビジネスに一層のスピードとコスト効率が求められる中、第3世代EPYCは多くの企業に有効な選択肢となりそうだ。

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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年5月18日

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