DX推進の基盤「コンテナ」技術、調査から見えてきた活用を阻む壁とは生き残りを懸けて“変革”するために

DXを目指す企業にとって、システム開発・運用の生産性や柔軟性を大きく高める「コンテナ」技術の活用が、関心の高い検討事項となっている。では、コンテナを効果的に活用するに当たって、企業が直面する課題とはどのようなものなのだろうか。

» 2021年07月13日 10時00分 公開
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 デジタル変革に挑む企業のリーダーやスペシャリストを招き、コロナ禍以降の「ニューノーマル」に対応したビジネスの姿、働き方について議論を展開するオンラインセミナー「ITmedia DX Summit vol.8」(2021年6月開催)では、「経営者、マネージャー必見! 6割以上の現場担当者が挙げるコンテナの壁」と題し、サイオステクノロジーによるセッションが行われた。

 サイオステクノロジーは創業以来培ってきたオープンソースソフトウェア(OSS)にまつわる技術力や知見を基に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す企業を支援してきた。システム開発・運用の生産性や柔軟性を高める「コンテナ」技術を効果的に活用できるようにするためだ。同社はコンテナ技術に関心を持つ企業に対し、自社主催Webセミナー「初めてでも分かる!コンテナ技術」を通してアンケート調査を実施し、現在のコンテナ技術の導入状況や、活用において感じている課題、その解決のために同社がどのような支援策を用意しているのかを紹介した。

「DXの王道」で復活を成し遂げたWalmartの取り組み

 調査結果の紹介に先がけて、サイオステクノロジーで顧問を務める吉田正敏氏が、海外におけるDXの成功事例を紹介した。

サイオステクノロジーの吉田正敏氏

 現在、社会のあらゆる領域で進行しているデジタル化。この潮流は既存のビジネスや産業の枠組みを「破壊」するほどの巨大な力を持つ。デジタル技術で生みだされたイノベーションを武器とする新興勢力が、旧来の産業構造を破壊し、既存のプレイヤーを駆逐する現象は「デジタルディスラプション」と呼ばれている。旧来の枠組みの中で事業を展開してきた企業は、「ディスラプト」(破壊)から逃れ、競争力を維持するために、生き残りを懸けたデジタル変革、つまりDXを迫られている。

 2016年にDXをテーマとした講演を吉田氏が行った際「ITを活用した新興企業に、既存企業が駆逐された事例」として、レンタルビデオチェーンを展開する「Blockbuster」、書店チェーンの「Borders Group」、小売業の「Walmart」の3社を挙げたそうだ。しかし、「Walmart」は他の2社のように破産することなく、その後、急速に業績を回復した。2021年1月期には5591億ドルの売り上げ、225億ドルの営業利益を計上し、継続的な成長を維持しているという。

 「これはWalmartがDXへの取り組みを通じ、企業改革を成功させたことを意味している」と吉田氏は言う。この復活劇を支えたのは、経営、ビジネス、生産性という3つの側面での「改革」だ。

 そのうち生産性の改革はデジタル技術の活用による効果が特に顕著に表れる領域だ。店内を巡回して欠品を従業員に知らせるロボットや、トラックから荷下ろしされた商品の仕分けを行う新たな物流システムなどの導入で、Walmartはこれまで人間に頼っていた単純作業の自動化を急速に進めていった。

 「ITによる自動化の効果が高いのは、これまで人間に任されていた単調な作業を機械に置き換えることだ。誰がやっても結果が変わらない作業はITで自動化し、従業員は顧客とのコミュニケーションなど、より創造性が求められ、機械での代替が難しい職務に割く時間を増やす。その結果が生産性や売り上げの向上として表れる」(吉田氏)

 従業員の生産性向上や顧客体験の向上を実現したソフトウェア群の多くは、旧来のウオーターフォール型ではなく、アジャイル型の開発手法で作られた。「ロボットが従業員に欠品を知らせるアプリケーション」をはじめとして、店長がその日に実行すべきプロジェクトやタスクを始業時に通知するアプリケーション、従業員から届く店舗運営に関するよくある質問に自動応答するbotシステム、商品の販売数をリアルタイムに集計してエリアの担当者が常にパフォーマンスを把握できる仕組みなどを開発したという。

 アジャイル開発ではユーザーの「課題」についての仮説を起点に、仮説検証を短期間に反復しながらソフトウェアを作り上げ、品質を高めていく。こうした手法でのソフトウェア開発を効果的に進めるに当たって、Walmartはコンテナ技術の「Kubernetes」をはじめとする、OSSやクラウドサービスをフル活用しているという。

 「Walmartの改革は小売業におけるDXの王道とも呼べるもの。現在、DXの方向性を模索している多くの日本企業にとっても、参考になる部分が多いのではないだろうか」(吉田氏)

コンテナ導入について現場担当者の6割以上が感じている「課題」とは?

 セッション前半の事例紹介でも登場した「コンテナ」は、企業がソフトウェアとデータから新たな価値を生みだしていくに当たり、有用な技術として注目されている。サイオステクノロジーはこの「コンテナプラットフォーム」の普及に向けた活動を広く展開している。その一つが、「初めてでも分かる!コンテナ技術」と題した入門者を対象とする一連のWebセミナーだ。

サイオステクノロジーの木下龍祐氏

 セッションの後半ではこのセミナーの参加者を対象としたアンケート約300件の集計結果から、企業における現在のコンテナ導入状況や活用の課題について、同社のDX Product&Integration Service Line SREエンジニアの木下龍祐氏が紹介した。

 「コンテナの導入状況」についての質問では、回答者の2割弱が「導入中」、1割弱が「導入検討中」と回答した。具体的な計画は未定だが「導入の意思がある」との回答が約3割にのぼった一方で、「導入予定なし」という回答も半数弱に達した。この結果について木下氏は「コンテナ技術の認知が高まり始めた2018年ごろと比較すると、既に導入している企業が2割弱に達しているというのは躍進があったと感じる。しかし、まだ半数ほどの企業が“導入予定なし”としているのが現実だ」とまとめた。

コンテナの導入状況(提供:サイオステクノロジー)

 「導入検討中」あるいは「導入意思あり」と答えた回答者に対して、具体的な「導入時期」を聞いた質問では、全体の約1割が「半年以内」と回答。「1年以内」の導入予定(10.8%)を含めると、具体的なスケジュール感を持って準備を進めている回答が、全体の約2割となった。しかし、「未定」という回答が全体の7割以上に達し、この結果から「具体的な導入計画の立案を阻害するような、コンテナ技術に対する課題感が企業に存在することが見て取れる」(木下氏)とする。

 では、コンテナ導入を阻む「課題」とは何だろうか。回答者に「コンテナ導入時の課題と感じていること」を聞いた設問では、「情報収集・学習が難しい」「社内に詳しい人がいない」「自社での活用方法・適用(が分からない)」という回答が上位を占めた。

コンテナ導入時の課題(提供:サイオステクノロジー)

 「コンテナは多様な技術要素から成り立っているため、最新の動向にキャッチアップするのが大変という状況がある。コンテナ活用を通じて、システムの開発・運用をモダナイズしていく際には、コンテナプラットフォームそのものの理解に加えて、マイクロサービスやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)といったアーキテクチャへの理解、そのためのツールの理解も必要になる。これらに対応していく難しさ、学習コストの高さが、多くのユーザーが持つ課題感の背景にあると感じられる」(木下氏)

 同社がWebセミナーの開催を通じて得た、企業の「コンテナ導入に感じる課題感」は、経済産業省が2018年9月の「DXレポート」で指摘した「2025年の崖」と呼ばれるシナリオの背景にある要因と近いものがあるという。

 「“2025年の崖”はレガシーシステムの肥大化とブラックボックス化により、その維持管理に膨大なIT予算が費やされることで、セキュリティ面でのリスク、ビジネスの競争力を失うリスクが高まっていることへの警告として示された。この最悪のシナリオを回避するため、DXの基盤となるコンテナについて、今、十分なリソースを投入して知識を得て、計画的に導入を進めていくことが重要だ。正しいノウハウを習得して、それを解決できれば、DXの本質である企業文化や企業風土の変革にも寄与し、競争優位の確立に貢献できる」(木下氏)

コンテナにまつわる課題解決を支援するサイオスのサービス群

 続いて、コンテナプラットフォームの活用を目指す企業に向けて、サイオステクノロジーが提供している支援サービスについての紹介があった。主なメニューは「インシデント型問い合わせサービス」「コンサル型技術支援サービス」「コンテナエンジニア育成トレーニングサービス」の3つだ。

3つの支援サービスを用意した(提供:サイオステクノロジー)

 「インシデント型問い合わせサービス」では、コンテナ化を進める上で必要な支援を、QA対応数や対応時間で決まるインシデント形式で提供する。「コンサル型技術支援サービス」では、コンテナ化を施したいサービスに準じた技術検証やアーキテクチャ構築を支援する。ドキュメントの作成にとどまらず、概念実証(PoC)の実施も支援範囲に含まれるという。

 「コンテナエンジニア育成トレーニングサービス」は、多くの企業で求められている「コンテナの知見を持ったエンジニア」を育成するためのプログラムだ。期間は1〜2カ月間を想定し、「GitHub」を通じた自習教材の提供、「Slack」やメールによるQA対応、課題ごとのエキスパートによるレビューやアドバイスなどを通じて、エンジニアが各自のペースでコンテナに関わるスキルを習得できるようサポートする。

 講演の最後に、木下氏はイベントを通じて寄せられたコンテナ移行に関する相談内容と、サイオステクノロジーの支援について紹介した。「Apache」「Tomcat」「CentOS」などで構成される、標準的なECサイトをコンテナ化し、サイトの可用性やリソース管理の柔軟性を高めたいニーズは、コンテナに関心を持つ多くの企業に共通するという。

サイオステクノロジーのイベントでの代表的な相談例(提供:サイオステクノロジー)

 「この場合なら、Javaアプリケーションを動作させるミドルウェア部分のコンテナ化支援をはじめ、基本的なコンテナに対する知見の共有、基盤となるテンプレートの用意や周辺知識の提供という形でサポートできる。サイオステクノロジーはこのような具体的な相談だけでなく、『コンテナについて、どのように学習すればいいのか』といった、より抽象的な相談にも対応できる体制を整えている。コンテナの導入において何らかの課題を感じている企業は、気軽に相談してほしい」(木下氏)

問い合わせ先
DX Product & Integrationマーケティング Email:dx-mktg@sios.com

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提供:サイオステクノロジー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年8月12日

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