大きな変革が進む現在のビジネス環境において、特に会計・経営管理の領域では、ITがその価値を発揮できる余地が大きいという。今後、会計・経営管理領域のシステムインテグレーションはどのように変わっていくのか、そこで求められるのはどういう人材なのか。電通国際情報サービス(ISID)のプロフェッショナルに話を伺った。
――電通国際情報サービス(以下、ISID)の会計・経営管理領域ビジネスの全体像から伺います。会計・経営管理ソリューションの導入実績、プロジェクトの規模感について教えてください。
山下氏:まず自社開発の会計系ソリューションで最も歴史の長い連結会計システム「STRAVIS」は、上場企業を中心に950社超の導入実績があります。また2年前にリリースした自社開発の経費精算システム「Ci*X(サイクロス) Expense」も順調に導入企業を増やしています。経営管理領域では「Oracle EPM」や「CCH Tagetik」を当社の主力ソリューションとして提供しています。比較的新しいCCH Tagetikは2018年にISIDのサービスラインアップに加わりましたが、世界で最も販売実績を上げたことが開発元のTagetik Software s.r.lから評価され、2019年度、2020年度と2年連続で表彰されています。
経営管理実務の世界では、まだまだITソリューションが価値を発揮できる余地が大きく残されています。プロジェクト化のハードルは高いのですが、その分、一度動き出せば経営管理システム導入プロジェクトはとても規模の大きなものになります。関わる人数も、エンドユーザーまで含めると1企業グループで数千人になることもあります。顧客の投資額も当然それなりの規模になります。
奈良氏:私が入社して一番驚かされたことも、この案件規模の大きさでした。前職でも同じソリューションを扱っていたのですが、「管理会計システムのバージョンアッププロジェクト」なら、2〜3カ月程で完了できるイメージでした。しかし、ISID入社後すぐにアサインされた全く同じソフトウェアによるシステムのバージョンアップ案件は、とても影響範囲の広いもので15カ月を要する大規模なものでした。
――CCH Tagetikの販売実績が2年連続で世界No.1(※1)というのは並大抵のことではないと思うのですが、提供開始わずか1年でNo.1となれたISIDの強みはどこにあるのでしょうか。
【※1】 Tagetik社より「2020 Performance Award」を受賞(プレスリリース)
Tagetik社より「Best Reseller Partner of The Year」を受賞(プレスリリース)
篠原氏:私は、当社の強みは「コンサルティング会社とSIerの間の仕事ができること」にあると思います。「コンサルとSIerの間」というのは、いわゆる超上流の経営課題のあるべき論や業務改革の方向性を提案するだけではなく、従来のSIerのように定まった顧客要件をシステム機能へ落とし込むだけでもなく、その両方の役割を担えることです。
これを可能にしている理由の一つは、当社のプロジェクトマネージャー(PM)/コンサルタントの担当体制と導入前の徹底した調査・研究です。私たちはプリセールスから導入、稼働後の保守まで、一貫して同じPM/コンサルタントが担当するという、この業界では珍しい体制を敷いています。
奈良氏:調査・研究に関してですが、私の前職でもCCH Tagetikを導入する話は挙がっていました。しかし、新しい製品はどうしても「お客さまに導入しながら知見を蓄積していかねばならない」という前提があり、ISIDのように採用前の段階で製品研究に時間をかける発想はありませんでした。ISID入社後、CCH Tagetikを扱うようになってから、事前に1年半もかけてソリューションとして採用するかどうか検証していたと知ったときには、強い意志のようなものを感じましたね(笑)。
篠原氏:強い意志(笑)。そうかもしれない。当社はこの期間に、翻訳を含むCCH Tagetikの設計・設定のドキュメンテーションまで完了させました。他社製パッケージであっても受注前の段階で、既に開発元と同等レベル以上の製品知識量、導入コンサルティングノウハウを蓄積しています。
奈良氏:強みである「顧客課題の解決策をシステムに落とし込み、高い満足度で実現するためのノウハウやナレッジ」を、一気通貫の担当体制の中でも「属人化させずに活用していくための取り組み」を徹底している点も、ISIDに入社して感心したことの一つです。
――ここ10年で経営管理領域にはどのような変化があったのでしょうか?
山下氏:Gartnerが「xP&A」という概念(※2)を打ち出したことにも表れていますが、財務データだけでなく販売・購買など、より業務寄りのトランザクションデータや生産・原価などのデータを活用して経営計画を立案したい、分析やシミュレーションしたいというニーズが急速に高まってきたのが、ここ10年で一番顕著な変化だと思います。
【※2】 出典:Gartner「Innovation Insight for Extended Planning and Analysis(xP&A)」
篠原氏:私が担当している小売業様などもそうですが、最近は特にPSI(生産・販売・在庫を同時に計画する手法)を取り入れる企業が増え、それに応じて扱うデータ量や関わるセクションも増えました。お客さまと話してセクションの「間を埋める」こと、まさにSIの本質であるインテグレーションをより高い次元で求められるようになってきたと感じます。
――今後の会計・経営管理業務やソリューションの展望をどう見ているのでしょうか。
山下氏:会社が大きくなれば経営管理が必要になるので、絶対になくならないマーケットだと思います。今の時代は企業の経営計画があらゆるセクションの計画と連動するようになりつつあるので、一部を変更する場合にも他との整合性を取る必要が増えてきました。そうした自動連携の制御やデータ清流化の部分を、例えばAI(人工知能)で補完していくような動きは、確実に出てくるでしょう。AIの活用によって大幅に効率化できれば、ユーザーがより力を入れるべき分野に時間を割けるようになります。
篠原氏:当社にはAIをはじめとする先端技術を調査研究し、部門横断で新たなサービス/プロダクト開発や顧客プロジェクト向けの技術支援を行う「X(クロス)イノベーション本部」という組織があります。その部隊とも連携して、AIをはじめとする先端技術の活用を検討しながら、例えば自動化の恩恵を得つつ「人間でしかやれない領域」により深く取り組んでみたいと考えています。
――どんな人なら、ISIDの会計・経営管理領域で活躍できると思いますか。
奈良氏:「もっとITと経営管理をやりたい、究めたい」という人にはマッチすると思いますし、活躍するための一番重要なモチベーションになるのではないでしょうか。きっとこれまでとはプロジェクトの規模も難易度も、顧客レイヤーも格段に上がります。専門家として得られる経験値、自身が出せるようになるアウトプットのレベルも必然的に上がっていきますよ。
篠原氏:そんな仕事にワクワクする方とぜひ一緒に働きたいですね!
奈良氏:ISIDの「仕事」を経験すれば、自身の能力を大きくストレッチできることに加え、今後のキャリアの裾野も広がる気がします。今は「経営管理領域を突き詰めたい」と思っていても、5年後にはまた別の領域に興味が移っているかもしれません。ISIDの良いところは、IT技術者としてのキャリアパスが豊富にあること、そこにジョインすることで市場価値の高い専門性を新たに身に付けるチャンスがあるということだと思っています。
山下氏:自分の可能性を高めていきたい、貪欲にスキルアップしていきたいという方に、ISIDをもっと知っていただきたいですし、ぜひ私たちに会いに来てほしいですね。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年12月22日