アプリケーションの開発と運用をモダン化するVMware Tanzuとはインフラとアプリの両面からDXを推進する

アプリケーションをモダナイズする技術としてコンテナおよびそのオーケストレーターであるKubernetesが注目されている。背景にはアプリケーションを「とにかく速く開発したい」というニーズがあり、これに対してコンテナは「軽量で起動が速い」「持ち運び可能」「コードで自動化」といったメリットで応える。ただしコンテナ/Kubernetesは、従来の仮想基盤と異なる環境を用意しなければならないなど、多くの障壁もあった。この課題の解決策となるのが「VMware Tanzu」である。

» 2021年12月16日 10時00分 公開
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いまコンテナが注目されている理由

 DX(デジタルトランスフォーメーション)により、ビジネスが大きく変化する時代が到来した。アプリケーションの開発スピードも、このビジネスの変化に追従させていく必要がある。

 そうした中で注目されているのがコンテナだ。「いま使っているサーバが遅い」「すぐに本番運用したい」「新しい環境がすぐに欲しい」「バージョン管理を楽にしたい」「APIで他と連携したい」といった開発者の思いにコンテナが応えるのである。

原悠介氏

 仮想マシンがハードウェアからOSを分離する仕組みであるのに対して、コンテナはOSからアプリケーションを分離する仕組みとなる。ヴイエムウェア パートナー第二営業本部 ディストリビューション営業部の原悠介氏は、コンテナのデファクトスタンダードである「Docker」によって得られるメリットとして次の3点を挙げる。

 まずは「軽量で起動が速い」こと。複数のコンテナでOSカーネルを共有するため、リソース消費を少なく抑えることができる。また、OSがないため起動に時間がかからない。次に「持ち運び可能」であること。開発環境で作ったコンテナを別の環境でそのまま実行できる。そして「コードで自動化」できること。Dockerイメージを作成する際に実行するコマンドをコード化して1つのファイルにまとめたもの、いわゆるDockerfileを用いることでコンテナを自動作成できるのだ。

 ただしDockerも万能ではない。「Dockerを単体で運用する際、特に複数のホストが存在する本番環境で課題が顕在化します」と原氏は語る。

 例えば「コンテナ間の負荷分散を図るためにロードバランサーを用意しないといけない」「コンテナをどのホストに配置したらいいのか」「オートスケールの仕組みも内製しないといけない」「ネットワークはどうなる」「ログはどうやって集めたらいいのか」など、実際のプロダクション環境ではさまざまな悩みが湧き上がってくる。

Docker 単体環境の課題

 そこで登場したのがKubernetesというコンテナのオーケストレーションツールだ。これを利用することで、上述したDockerの課題を解決できる。

 「Dockerが1つずつのホストでコンテナイメージをデプロイするのに対して、Kubernetesは複数ホストでコンテナイメージを展開します。ロードバランサーを自動配備し、オートスケールの仕組みも備えています。さらにコンテナがダウンするなど障害が発生した際にも自動で復旧してくれます」と原氏は説明する。

コンテナ/Kubernetesの課題に対するVMwareのアプローチ

 とはいえKubernetesにも課題はある。「既存のサーバ仮想環境と別に環境が必要となる」「用途に応じたクラスタを用意しなければならない」「コンテナのネットワークが複雑化する」「遍在するKubernetesクラスタのライフサイクル管理はどうすればいいのか」といった運用上の懸念が生じてくるのだ。

 この課題に対してVMwareが提示しているのが、次のような解決策である。

 「既存のVMware vSphere環境上でコンテナを並行運用させる機能を提供する他、開発者に対して専用のKubernetesクラスタを用意することも可能です。ネットワークについても1つの製品で包括的に管理することができ、オンプレミスからクラウド上までさまざまな場所に遍在するKubernetesクラスタを束ねて一元管理する製品も提供しています」と原氏は訴求する。

 こうして2020年3月にリリースされたのがVMware Tanzuである。モダンアプリケーションの構築をサポートする「Build」、エンタープライズにおけるKubernetesの実行環境となる「Run」、開発者とIT管理者のための包括的なKubernetes管理をつかさどる「Manage」の大きく3つの要素から構成されたクラウドネイティブに向けたポートフォリオだ。

 「VMwareではこのVMware Tanzuを通じて、インフラストラクチャとアプリケーションの両面からお客さまのDXを推進していきます」と語る原氏。KubernetesにおけるVMware Tanzuの優位性はどこにあるのだろうか。

 VMware Tanzuの発端となったのは、2018年11月のHeptio社の買収である。Heptio社はKubernetesの生みの親であるクレイグ・マクラッキー氏とジョー・ベダ氏によって設立された企業で、要するにこの2人のキーマンがVMwareに参画することになった。こうして現在VMwareは、世界でも有数のコントリビューターとしてKubernetesコミュニティーをリードしている。

 「サーバ仮想化で使い慣れた、VMware vSphereの環境に組み込んだ形で利用できることが、VMware Tanzuの最大の特徴です。加えて業界標準やOSS(オープンソースソフトウェア)に準拠することでベンダーロックインを排除するとともに、他のVMware製品と同様に自由な組み合わせによる幅広い選択肢を提供します。これによって、Kubernetesをベースとしたモダンアプリケーションの効率的かつ迅速な開発、実行、運用を支援していきます」と原氏は語る。

VMware Tanzuを構成する主要製品

 VMware Tanzuのポートフォリオを構成する主要な製品を見ていきたい。

 1つ目の「VMware vSphere with Tanzu」は、VMware vSphere上でKubernetesを実行できる環境を組み込んで提供する。「アプリケーションの開発者はKubernetes APIをセルフサービスで使用し、コンテナ型のアプリケーションをVMware vSphereの安定した基盤にデプロイできます。一方でインフラ担当者はいままでと同じVMware vCenterを使った方法で仮想マシンおよびKubernetesコンテナを管理するとともに、さらにはストレージやネットワークも一括管理できます」(原氏)

VMware vSphere with Tanzu

 2つ目の「Tanzu Build Service」は、ガバナンスを維持しつつコンテナイメージを自動的に作成する。

 3つ目の「Tanzu Mission Control」は、Kubernetesクラスタのライフサイクル管理をつかさどる他、エンタープライズに即した運用機能を提供する。「ポリシーベースの運用管理、脆弱(ぜいじゃく)性スキャン機能、データバックアップリスト機能をサポートします。また、各種オープンソースソフトウェアを利用することでベンダーロックインを排除します」(原氏)

 4つ目の「Tanzu Observability by Wavefront」は、システムを横断する可観測性とアナリティクス機能を提供する。アプリケーションのワークロード、サービス、インフラのデータ収集、可視化や分析機能を提供するSaaSベースの分析ソリューションだ。マイクロサービスやサーバレス、コンテナ、IoTなどさまざまなデータソースからリアルタイムにデータを収集し、ルーティング、4Dデータプロセッシングなどの技術を用いてヒストグラム、メトリック、トレース、拡張ロギングなどの手法で状況を伝える。「例えばアラートや可視化、トラブルシュート、障害予兆検知といった形で、アプリケーション開発者とインフラ管理者の双方に有用なインサイトを提供します」(原氏)

 なお、日本国内では現在VMware Tanzuの4つのエディションを提供しており、自社の課題に合わせて、パッケージ化されたTanzu製品を活用できる。

  • Tanzu Basic:VMware vSphere環境でのKubernetesの実行
  • Tanzu Standard:マルチクラウド環境でのKubernetesの実行と管理
  • Tanzu Advanced:DevOpsに組み込まれたKubernetes上のワークロードの実行と管理
  • Tanzu Community:Tanzu Kubernetes GridのOSS版

情報発信からPoC支援、環境導入まで ネットワールドが提供する支援フロー

 ここまで紹介してきたVMware Tanzuについて、VMware製品のディストリビューターであるネットワールドでは、情報発信からPoC支援、環境導入に至る支援フローを整えている。

 まず発信では、特設サイト「VMware Cloud Frontier」を通じた最新情報やお役立ち資料の提供、メーリングリストによるニュース配信、ウェビナー開催などのプロモーション活動を展開する他、オンラインでのハンズオンも開催している。

松本光平氏

 ネットワールド SI技術本部 統合基盤技術部の松本光平氏は、「ハンズオンでは座学を主とし、コンテナとは何かといった内容から始めて、お客さまごとにVMware vSphere Podの環境を提供し、Kubernetesの動きを体感していただけます」と語る。

 これに続いて「VMware vSphere with Tanzuを実際に触ってみたい」「アプリを動作させてみたい」となった場合、ネットワールドはPoC環境の貸し出しを行っている。「ネットワールド社内のサーバ環境にVMware Horizonから踏み台のVDI環境に入っていただくと、VMware vCenter、VMware vSAN、VMware NSX-Tを含めて構築済みのVMware Tanzuの環境をご利用いただけます」と松本氏。PoC期間は要相談となるが、通常2週間程度の利用は可能とのことだ。

VMware Tanzu Labs

 そしてVMware Tanzuの導入が決まった場合、次のような支援サービスを用意している。

  • ヒアリングサービス:基本設計に基づくパラメーターの確認
  • 導入サービス:コンポーネントやサーバロードバランシングの導入
  • スキルトランスファーサービス:管理者向けマニュアル作成やトレーニングの実施
  • 導入後サポートサービス:VMware Tanzu導入後のオフサイトサポート

 「有償サービスになりますが、お客さま先環境におけるVMware vSphere with TanzuのPoC支援や、設計支援、パラメーターシート作成支援、構築作業など幅広い支援を承っていますので、VMware Tanzuに関するお問い合わせはぜひネットワールドへ」と松本氏は呼び掛け、VMwareと強力なタッグを組みながらVMware Tanzuの普及を加速し、DXへの取り組みを後押ししていくという意向を示した。

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提供:株式会社ネットワールド、ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2022年1月13日

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