「新しいOSへの移行」は企業システムにおける懸念事項の一つだ。「Windows 11」への移行でも、アプリやハードウェアの互換性が心配でなかなか踏み切れないということもあるだろう。そうしたOS移行にまつわる不安や懸念を解消してくれる無償の技術サポートサービスがあることはご存じだろうか。
コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大も収まってきたことから、徐々にオフィスに出社して働くスタイルに戻りつつある。だが、現状では、オフィスと在宅での勤務を適宜使い分けるハイブリッドワークを続けているところはまだまだ多いだろう。こうした新しい働き方をMicrosoftはどのようにして支援していくのか――。その答えの一つが、新たなクライアントデスクトップOSの「Windows 11」だ。
Windows 11は、ハイブリッドワークを強力に支援するために開発、デザインされている。ハイブリッドワークの生産性向上、多様な働き方でコラボレーションを密にする要素が加わり、旧バージョンからの一貫性も保証されている。その上で、さらにセキュリティが強化され、さまざまなデバイスにも対応している。
例えば、生産性向上の面では、「スナップレイアウト」や「タスクバー」を中心に置くことで、カーソルの動きを最小限にするなどして、作業者の集中力を高める工夫が施されている。コラボレーションでは、「Microsoft Teams」との一体化を主軸にした改良が施されている。
一貫性では「Windows 10」とのアプリケーション互換性が、しっかりと確保されている。Windows 10とWindows 11は基盤部分(カーネル)は基本的に同じなので、「Windows 10からWindows 11へ移行しても、アプリ互換性の問題が発生することなく動作するように努めています。しかしながら、互換性の問題が発生した場合には、AppAssureサービスで、無償で、修復支援が可能です」と話すのは、日本マイクロソフトのMicrosoft M365 FastTrack CenterでApp Assure Manager(Japan Lead)を務める上野公益子氏だ。
Windows 11にはさまざまなメリットがあるので、ユーザーにはスムーズに移行してもらいたい。しかし、Windows 10との互換性がしっかりと確保されているとはいえ、何らかの問題が発生する可能性があるのではと不安を抱えている企業もいるかもしれない。
そこで日本マイクロソフトは、Windows OSのバージョンアップや移行の際に、アプリケーションの互換性に関する問題を解決する「App Assure」サービスを提供している。
App Assureは2018年10月から提供されている技術サポートサービスで、「Windows 7」「Windows 8」からWindows 10への移行や、デスクトップ版「Microsoft Office」からクラウドベースのOfficeアプリ「Microsoft 365 Apps」への移行に当たり、互換性の問題が発生した際に技術サポートを回数無制限、無期限、追加費用なしで受けられるものだ。2020年には「Microsoft Edge」も対象になり、さらに「Azure Virtual Desktop」や「Windows 365 Cloud PC」、ARMプロセッサ環境にも対応。そして、2021年からはWindows 11も対象となった。
Windows 11については、特有のプログラミングスタイルやユーザーインタフェース(UI)の変更、標準Webブラウザが「Internet Explorer(IE)」からMicrosoft Edge Chromium(IE mode)で利用するなどの変化がある。万が一、何らかの問題が発生した場合は、App Assureで問題解決の相談を受け付けるということだ。
「AppAssureサービスは、Windows 11への移行のみならず、IE 11からMicrosoft Edge Chromium(IE mode)へ移行された際の事象、また上図の各スコープに対してもご支援可能です。IE 11のサポート終了のアナウンス以降、IE 11からMicrosoft Edge Chromium(IE mode)への移行時の事象のお問い合わせが多くなっております。そのための技術サポートサービスがApp Assureです」と上野氏。日本マイクロソフトは既に数多くの移行問題に対処してきた実績があり、その経験を基にした柔軟な対応が可能だ。
「例えば、Windows 11では、『メモ帳』アプリケーションの置かれている場所が変更されているが、それによって今までと同じことができなくなるケースがあるかもしれない。こうした問題に対しても、どうすればWindows 10と同じようにメモ帳を使えるようになるかを問題解決までサポートします」(日本マイクロソフト Windows App Assure Japan / AppAssure Engineer 高山光正氏)
App Assureが対象とするのは、「互換性」に関する問題が発生した場合だ。それ以外の移行問題については、カスタマーサポートなどと併せて対応、支援することになる。
「App Assureは、互換性の問題が発生した場合のご支援となります。さらに、移行計画をどのようにして立てればよいかは、コンサルティングサービスで、Windows 11の仕様や動作環境の問題などは、ユニファイドサポート(旧: Premierサポート)で対応し、また導入支援が必要な場合は、Microsoft M365 FastTrack Centerと、万全の支援体制を敷いています」と上野氏。
例えば、Windows 11への移行の際、導入に関するガイダンスや懸念点に対応する案内といったところは、「Microsoft M365 FastTrack Center」のエンジニアがフォローするなど、日本マイクロソフトはさまざまな窓口を用意して、ユーザーのスムーズな移行を支援している。
App Assureは、Windows 10またはMicrosoft 365のE3/E5もしくはA3/A5ライセンスか、ソフトウェアアシュアランス(SA)付きのWindows 10 Enterpriseのライセンスを150シート以上購入していることが利用条件となるが、150シート未満でも問い合わせは応相談とのことだ。グローバルなプログラムなので、海外拠点で対応する際には、現地の担当者による支援が、現地の言語および現地時間にて、安心して利用できる。
また、App Assureは製品チームとも密接に連携しているので、きめ細かな対応が行える。具体的に発生した問題は製品チームにフィードバックすることもApp Assureの役割であり、それにより製品の改善にもつなげているという。そのためにApp Assure利用者には簡単なアンケートを実施して、顧客の声を集めて活用している。
具体的にApp Assureが対象とする互換性の問題としては、例えばWindows 10とWindows 11で文字の表示サイズが異なる、アクセススピードが遅い、アプリケーションが起動しないといった事象が考えられる。またWindows 11では標準のWebブラウザがMicrosoft Edgeとなり、IEで動作していたアプリはMicrosoft Edgeが搭載する「IE mode」機能を活用することになるので、その際に発生する問題も対象となる。
App AssureはMicrosoftのアプリケーションだけではなく、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)のアプリケーションも対象になる。この場合は、ISVのエンジニアと日本マイクロソフトのエンジニアが協力して対処する。「ISVさまでWindows 11上でのサポート声明が出ているアプリケーションの場合には、ISVさまと協力しながら、事象の解決を支援します」と上野氏。
企業では、正式移行前に「Windows Insider Program」を用いて検証するケースも多いが、App Assureは正式ライセンス導入前のWindows Insider Programの段階で発生した互換性問題にも対処する。
「既に、Windows11をご購入いただいたお客さまだけではなく、自社アプリケーションをWindows 11上で、動作できるようにWindows Insider Programを利用して検証されているISVさまにもご利用いただいています」と上野氏。
App Assureの対象範囲を超えた場合は、有償のユニファイドサポート(旧:Premierサポート)などと適宜連携して対応する。どの窓口のサービスを利用できるのかは、日本マイクロソフトで適切にアドバイスしながら進めるので、顧客は迷うことはない。
App Assureを利用するには、まずは利用を申請する必要がある。Webサイトで利用申請書に必要な情報を入力し申請すると、顧客ごとに専任担当の「App Assureマネージャー」が割り当てられる。App Assureマネージャーによるサービス開始が案内され、続いて問題をヒアリングして技術サポートが始まる。
(1)App Assure リクエストページ にアクセスしてサインインします(※FastTrack ポータル未登録の場合は、初めに(3)Appendixを参照して登録を完了してください)(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》
(2)以下の画面の情報を入力して、「送信」をクリックします(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》
(3)Appendix【FastTrack ポータル登録画面】ポータルに未登録の場合はログイン後当画面が表示されますので、初めに登録をお願いします(提供:日本マイクロソフト)《クリックで拡大》
ヒアリングの結果、Microsoft Edgeに関する問題の場合はMicrosoft Edgeチームを、アプリケーションの問題の場合は対象アプリケーションのエンジニアをアサインして対処する。適宜アプリケーション開発エンジニアなどとも連携する。さまざまなエンジニアが関わっても、窓口としてはApp Assureマネージャーが一貫して1つの問題を解決するまでサポートする。
「専任のAppAssureマネージャーがいますので、安心してサービスをご利用いただけます」(上野氏)
例えば、Windows 11に移行した際、Windows 10よりも動作スピードが遅くなることがあるかもしれない。この場合、App Assureでは、正常時と問題時のパフォーマンスログを取り、どれだけ差があり、どこにボトルネックがあるかの原因を究明する。トレースツールなども使い、ユーザーの環境に依存するかどうか、日本マイクロソフトの環境でも再現するかどうかも調査する。仮にOSの不具合と分かれば、OSの修復で対処する場合もある。性能問題などは複雑な要素が絡むために対応が難しいが、それに対してもApp Assureでは顧客と一緒にしっかりと対応する。
App Assureで対処する際には、ユーザーのサンプルコードやデータを日本マイクロソフトとやりとりすることも発生するだろう。「日本マイクロソフトはGDPR(一般データ保護規則)やIPコンプライアンスなどにもしっかり対応しています。セキュリティに関して、ご懸念点がある場合には、App Assureマネージャーが、お客さま、またセキュリティ部門の方へ、しっかりとご説明させていただきます」と上野氏は補足する。必要に応じて企業のセキュリティ担当者とも会話し、セキュリティルールに適合するかどうかを納得した上でサービスを利用できるようにしている。
「App Assureは互換性の問題に対して無償で受けられる技術サービスであり、移行時の事象が発生している場合には、積極的にApp Assureサービスを使っていただきたいと考えています」と上野氏。そのためにも、まずは利用申請をしてApp Assureマネージャーによる説明会段階まで進めておくとよいだろう。そうすれば問題が発生した際に、すぐにエンジニアの支援が受けられる。
「申請から説明会の開催までには2週間ほどかかるので、App Assureに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ今すぐに利用を申請してみてはいかがでしょうか」(上野氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2022年3月25日