グローバルで勝負できる舞台がそこにある――ミスミに集う「meviy」(メヴィー)開発エンジニアの醍醐味とは製造業DXに取り組み、社会や産業の課題を解決

ものづくりの調達領域に残る非効率を解消するクラウドサービスとして急成長を続ける「meviy」。開発をしたのはオートメーションの現場で必要とされる機械部品や工具、消耗品などの製造、販売大手、ミスミだ。いわゆる大企業からmeviyのようなグローバルで利用される革新的サービスがどう生まれたのか。開発リーダーが語った。

» 2022年03月23日 10時00分 公開
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「製造業DX」をけん引するmeviyの革新性

 ミスミグループ本社(以下、ミスミ)は、ファクトリーオートメーション製造装置用部品や金型用部品、工具などの製造、販売を手掛ける大手企業だ。多くのものづくり現場には、ミスミの「分厚い商品カタログ」が数冊置いてあり、そこで働く技術者にとって身近な存在である。現在はECサイトでも商品を購入でき、世界で約33万の製造業企業を支えている。そんなミスミが2016年に革新的なサービスを開発し、製造業企業の仕事に大きな変革をもたらした。それがミスミのデジタル部品調達サービス「meviy」(メヴィー)だ。

 ミスミが掲げる重要なミッションの1つが「製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)」の促進だ。国内製造業では将来の生産人口減少による働き手の確保が懸念されている。製造業の現場でも長時間残業の抑制や働き方改革などの取り組みが推進されており、今後、ものづくりの実務に割ける時間はますます少なくなっていく。さらに、昨今ではコロナ禍や、世界各地の自然災害、戦災が起きており、製造業各社はデジタル化や自動化に加え、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化によってこれらの課題を乗り越えようとしている。製造業で大きな存在感を持つミスミへの製造業DXの期待はかなり大きいといえる。

 meviyが変革をもたらしたのは、製造業におけるデジタル化が遅れていた領域だ。製造業における設計、調達、製造、販売といったバリューチェーンの中で、いまだに多くのアナログプロセスが残っていたのが調達領域だ。部品設計は3D CADで行われているのに、部品発注は紙図面で行い、FAXが利用されることも多い。ミスミの試算によれば、部品点数1500点で構成される装置の部品を手配する場合、紙図面作成に750時間、見積依頼の作業に25時間、さらに見積回答の待ち時間や製作時間などで168時間、トータルで1000時間、約4カ月(125日)かかってしまうことになる。

調達現場の実情(提供:ミスミ)

 デジタル部品調達サービスであるmeviyは、部品調達のデジタル化を実現した画期的なサービスだ。複数の部品の3DデータをmeviyのWebサイトにまとめてアップロードするとAIが自動見積もりを行い、ユーザーに価格と納期を即時回答する。ユーザーが発注すると発注情報がミスミの工場へ送られて自動で製造プログラムに変換され、すぐに生産が始まる。ミスミから顧客へは最短1日で出荷可能。この仕組みにより、上記の1000時間が80時間まで削減できるという。部品調達の時間を92%削減できることになり、その分、新しい製品の企画や開発に時間を振り分けることができる。meviyの大きな強みは同社が約60年かけて培ってきたノウハウを基に開発されたAI自動見積もりだ。AI自動見積もりは独自開発の「形状認識エンジン」「価格計算アルゴリズム」を搭載。特許も取得しているという。

meviyの仕組み(提供:ミスミ)

 meviyは2016年に提供開始以来、利用ユーザー数7万、取り扱いデータ数700万まで成長した。年間20を超える機能拡張を続けており、UIや納期短縮、商品拡大などの機能強化に加え、トヨタ自動車などをはじめとするパートナーとのオープンイノベーションの実践など、製造業DX実現の中核サービスとして開発が続いている。さらに、国内だけではなく海外でもサービス提供を開始する予定だ。

 では、成功を収めつつあるmeviyは誰によってどのように開発されたのか。さらなる進化に向けてのエンジニアのチャレンジとは。開発リーダーに開発現場の実際を聞いてみよう。

meviy開発リーダーが語る「ミスミだからこそできた理由」

 「製造業は日本のGDPの2割を占める基幹産業です。その製造業が抱える非効率性を解消することで日本を活性させることがmeviyの使命です」――そう話すのは、meviyの開発プロジェクトをリードする、ミスミ meviyシステム開発室 ジェネラルマネージャー(開発組織責任者)の道廣隆志氏だ。道廣氏がミスミに入社したのは2018年で、meviyがスタートして既に約2年がたっていた。

 道廣氏がmeviyで最初に関わったのは、システムの要件定義、開発方針の検討などだった。当時は、ミスミ社内で定義した要件や仕様を協力企業に依頼して開発を進めてもらう体制だった。「入社当初、自分のミッションはmeviyを今後どのように成長させるか検討し、さらにエンジニアのバックグラウンドを生かしてそれをシステムにどう落とし込むのかを検討することでした。meviyは、既に顧客が付いている人気サービスだったため、システムに拡張性を持たせて構築し、顧客に対してクオリティーの高い体験をスピーディーに提供し、満足してもらうにはどうすればいいかということを考えていました」

ミスミの道廣隆志氏

 道廣氏は当初、開発の上流でプロジェクトをリードする立場だったが、次第にシステム開発現場そのもののリードに仕事内容をシフトさせていった。将来のグローバル展開を見据え、meviy開発の内製化を進めてサービス品質をさらに向上させることが目的だった。

 「将来の方向性を考えると、社内のシステム開発現場に具体的にどのくらいの技術力があるのかが気になってきました。meviyは製造業での展開イメージをはっきり固めた上で走りだしていたこともあり、顧客にとって、生半可で使えないシステムであってはならないのです。そのためには『システム開発の現場を自分自身で直接、指揮した方が良い』と考え、仕事の軸足を変えました」(道廣氏)

 この考えに上長も同意し、ミスミの社内にmeviyのシステム開発に直接関わるエンジニアを増やしてチームを編成しなおし、プログラムの内製比率を高めていった。

 「内製に関わるエンジニアの採用を積極的に強化しています。今は彼らがエンジニアとして実績を重ね、事業部とシステム開発の間の橋渡し役も担っています」と道廣氏は語る。

 道廣氏は、内製システム開発者を採用するに当たって「社会課題を解決する仕事に使命感を持っていている人材で、エンジニアとしても、技術力とリーダーシップを持ってプロジェクトに貢献してきた人がベスト」だと考える。現在、社内の開発チームには、自分の関わる技術だけではなく、開発する製品やサービスを使ってビジネスや社会の大きな課題を解決できるかを考えて仕事に取り組むエンジニアがそろっている。

 「自分自身、過去には技術だけ追い求めていた方が楽しいと思える時代がありました。しかし、それではエンジニアとしてマンネリ化していくと考えていました。今回のチーム増員を通じて、自分と同じようにビジネスや社会の課題解決を考えて働いている人が集まってきてくれてうれしく思っています」(道廣氏)

 一方、組織として重視をしたのは、事業側(部品調達ビジネス)とシステム開発側が直接、密にコミュニケーションを取れる体制を構築したことだ。meviyの開発においてはウオーターフォールで上から下に仕様を落とす方法でも、アジャイルで急激に柔軟性を持たせすぎても駄目だと考え、「半アジャイル」の体制で、計画に沿った開発と、現場での柔軟な開発のバランスを取るようにした。バランスの維持は大変だったがコミュニケーションの頻度を高めてうまく進むようになった。「その結果、システム開発の生産性を図る指標としている、開発案件のチケット数が2.4倍に増えました」(道廣氏)

ミスミでしかできない、ワクワクする仕事がそこに

 meviyのような革新的なサービスがスタートアップ企業ではなく、大企業のミスミからなぜ生まれたのか。「1つの志や目標に向かって妥協なく力をそそぎ込める行動力と潤沢な資金力という要素もあります」と道廣氏はその理由を述べる。ミスミは、世界中からエンジニアやパートナーを探してくる行動力に加え、現場エンジニアが最良のアウトプットをするためには、開発環境への投資も惜しまない方針を掲げている。

 「例えば新興企業がmeviyと同等の仕組みを開発しようとしたら10年はかかるかもしれません」(道廣氏)

 meviyを早期に開発、成功できたのは、開発現場への投資に加えて、ミスミが機械部品メーカーとしておよそ60年間ビジネスをする中で大事に育ててきた、世界約33万社の顧客との間で培った絆やノウハウ、信頼があるからだ。道廣氏は「ミスミは、お客さまであるプロフェッショナルエンジニアのニーズを深く理解しています」と語る。また、ミスミは3Dデータによる設計製造などものづくりの先端技術に業界でいち早く取り組んできた経験も多くある。これらの総合力でmeviyを成功に導いた。

 「製造業に関連して、新規のデジタル事業を自らの手で立ち上げ、産業や社会をよりよく変えるために楽しく活躍できる場は、ミスミしかないという自負があります。日本発の世界No.1を目指すサービスに関わりたいエンジニアには、ぜひ加わってほしいです」と道廣氏は訴える。

 これまでmeviyの内製開発チームにジョインすべく転職してきたエンジニアは、ベンチャー、大手システムインテグレーターでWeb系システムや3D CAD関連システムに関わってきた人など多岐にわたり、ミスミで新境地の開拓に取り組んでいる。

内製開発部隊の士気を高めて、やりがいを作る

 meviy開発部隊では、ミスミの役員クラスと社内外の開発メンバーを集め、四半期に1回、振り返りミーティングを設けている。ミーティングでは、その期間で取り組んできたことや、成果、課題について議論をしている。

 「日々、漠然と目先の業務を進め、課題を解決するのではなく、振り返りをしてその後のアクションを検討して進めることが大事です。エンジニアたちに自分たちの努力の成果でビジネスが伸びていることを実感してもらい、かつ経営層がそれをちゃんと評価していることを認識してもらう場を作っています」(道廣氏)

 ミスミの経営層は、現場の力を尊重しており、現場からの新領域の提案は常に歓迎するという自由闊達(かったつ)なビジネス文化を推進している。エンジニアとしてのスキルを高みへもっていきながら、ワクワクするような課題にどんどんチャレンジできる環境は、ミスミにおける内製システム開発の一番の魅力ではないだろうか。

 meviyは今もなお進化中であり、広大なものづくり業界の中でさらに成長が期待される。過去から在籍する社員やパートナーでは想像もできなかったような仕組みが、これから入社してくる社員の手によりmeviyに実装されることも予想できる。

株式会社ミスミグループ本社

設立 1963年2月23日

売上高(連結) 3107億1900万円(2021年3月期)

従業員数(連結) 1万1682人(2021年3月31日時点)


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提供:株式会社ミスミ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2022年4月4日

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