「だから、僕らもキンドリルを選んだ」――技術理事に聞く“エンジニアの役割”とキャリアの伸ばし方キンドリルに聞く、次の時代のエンジニア像(1)

2021年9月、IBMのマネージドインフラストラクチャサービス部門から独立した従業員9万人のスタートアップ企業、キンドリル。多様なIT人材が活躍している中、同社はエンジニアの役割とキャリアパスをどう捉えているのか。同社技術理事に話を聞いた。

» 2022年06月10日 10時00分 公開
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 社会全体でデジタルシフトが進む中、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。IT人材の重要性は一層高まり、社会や事業に貢献できるエンジニアが強く求められるようになった。ただ、社会の変化は激しく、技術分野も多岐にわたる。多様な選択肢がある中で、どのような力を身に付け、どう社会やビジネスに関わっていくのか、自身のキャリアパスを意識的に描けるか否かによって、そのやりがいや貢献度は大きく変わってくる。

 そうした中、キャリアを磨く選択肢の一つとして注目されているのが、IBMから独立したキンドリルだ。「社会成長の生命線」をビジョンに掲げ、技術のプロ集団として徹底的に顧客に寄り添うスタンスが、社会インフラを支える多数の企業に支持されている。では、そこで働くエンジニアは技術者としての役割やキャリアをどう考えているのか。なぜキンドリルを選んだのか。連載企画の第1弾として、キンドリルジャパン Distinguish Engineer(技術理事)である陳建和氏、前田啓介氏に話を聞いた。

自分の立ち位置を明確にし、「パズルのピース」を埋めていく

──まずキンドリルにおけるDistinguish Engineer(技術理事)とはどのようなポジションなのか教えてください

陳建和氏(以下、陳氏) 技術理事とは、技術的リーダーシップを発揮する技術専門家に与えられる職位です。大規模で複雑なプロジェクトの技術サポートを行う他、技術者のロールモデルやメンターになることが求められています。

陳建和(ちん・けんわ)氏(技術理事 兼 ネットワーク・エッジ事業担当)
1993年に日本IBMに入社。日本IBMで初めてTCP/IPを使ったルーターネットワークを設計・実装したメンバーの1人。アジア全域を担当するネットワークチームやグローバルアーキテクトチームに所属し、2016年にクラウド、ネットワーク、セキュリティ技術を担当するIBM技術理事に就任。ITアーキテクトとして、日本、アジア、グローバルな立場からエンジニアの役割やキャリアを考えてきた。台湾出身。

──「卓越した実践的技術実績を持つ人材」に与えられる職位ということですが。

前田啓介氏(以下、前田氏) はい。陳さんはIBM時代から技術理事を務めていましたが、キンドリル設立時にグローバルで14人の技術理事が任命され、私もその1人になりました。また、技術理事の役割の1つにエンジニアのメンターがあり、陳さんは私のメンターでもあります。

──会社として技術実績を重視しているか、ロールが定められているか否かは、エンジニアが活躍の場を選ぶに当たり欠かせない要素ですね。お二人はエンジニアがキャリアパスを描く際、何を重視すべきだと思いますか。

陳氏 日本は組織型、海外はジョブ型とよく言われますが、組織型は「上の指示を受けて動く」「会社との結び付きが強い」、ジョブ型は「得意な分野を担当する」「仕事との結び付きが強い」という特性があります。また、ジョブ型は会社組織にとらわれないので転職も多くなる、組織型は同じ会社に属する期間が長くなるので同じ先輩や同僚との付き合いが長くなる、といった傾向があります。どちらも一長一短がありますよね。

 キャリアパスを考える上で大事なのは、どちらに自分の適性があるのかを最初に見極めることです。ジョブ型を選ぶなら、特定の1社に執着せず転職するか、同じ会社でも違うチームやプロジェクトに参加すればいい。組織型に向いていると思うなら、同じお客さまと一緒に成長し、自身のポジションを上げていけばいい。最初に自分の立ち位置を明確にした上で、キャリアアップに必要なパズルのピースを明らかにしつつ、一つ一つ埋めていくのです。

前田啓介(まえだ・けいすけ)氏(技術理事 ストラテジックサービス事業部 スペースイノベーション担当)
工学修士で一級建築士として建築事務所で勤務後、1997年に日本IBMに入社。管理建築士として顧客企業のオフィスやデータセンターの設計、ファシリティマネジメント、環境デザインなどの業務に携わる。キンドリルジャパンでは、最初の技術理事14人のうちの1人として、最先端技術を活用したワークプレース変革の取り組みや、ITが支援するサスティナブルビルディング、データセンターに関するファシリティコンサルティングなどに携わる。管理建築士として、設計、設計監理、建設業としての各種工事の実施も担当。

前田氏 同感です。ただ気を付けたいのは、エンジニアのキャリアは年々多様化していることです。技術も長く使われるものもあれば、すぐに廃れるものもある。社会が求める技術が変わるのですから、技術者は社会、技術動向をキャッチアップし、キャリアのロードマップを日々見直していく必要があると思います。

──お二人もそうして歩んでこられたのですね。若い頃には苦労もおありだったのでしょうか。

陳氏 私の若い頃は、先輩に「これやって」と言われたら自分なりにどうすればいいか考えて徹夜してでもやり抜きました。しかし今、若い人に同じことを言えば「なぜですか。モチベが上がりません」と返されますよ(笑)。今は若手のモチベーションを考えてゴールを示し、前向きに取り組める環境を用意する必要があります。リーダーの役割が変わり、進むべき方向を明確に示すこともミッションになったということだと思います。

前田氏 とはいえ、われわれも昔は「覇気がない」などとよく言われたものです(笑)。ただ、陳さんがおっしゃるように、今は業務をデザインすることがリーダーに求められています。デザインとは「de-sign」であり、ロジカルに「何かを判断、定義し、相手に鮮明に伝える」こと。これはタフな仕事で時間もかかるしパッションも必要ですが、若手にあいまいな指示を出すのではなく、タフかつロジカルに取り組むことが大切だと考えています。特に今の若手は生まれたときから身の回りに高度な技術があるため、技術受容性の高さには驚くべきものがあります。そうした強みを引き出すことは非常に重要だと思います。

――人材の強みをいかに引き出すかは全ての会社に求められています。若手に対するそうしたスタンスも貴社の強みの1つかもしれませんね。

「ファネル型」でキャリアを積む、自分と周囲の物事を「可視化」する

――一方、エンジニアとしてキャリアを積む上では何が大切だと思いますか。軸となるスキルを1つ身に付けた上で横展開する「T字型」を目指すべきだとよく言われますが。

陳氏 あるいは軸が2つある「π型」が重要だと思います。強みが複数あれば、どちらかが不調なときも助けになってくれます。また、軸足は技術だけに限らないことも覚えておきたいですね。どうすればその技術がビジネスになるのか、技術をどう届ければお客さまが喜ぶのか、技術を目利きする力も必要です。年齢とともに自身の価値を高める上では「技術を生かす力」も養っておくことが大事です。

前田氏 その意味では、T字を立体的にした「ファネル(じょうご)型」を目指すのが重要かもしれません。軸を持ちながら、自分の成長に伴い、多様な技術知識、ビジネス知識を立体的につなげていくのです。

──広い視野が求められるのですね。特にDXが企業課題となっている今、「技術を生かす力」は重要だと思います。お二人は今求められるエンジニアの役割とは何だと思いますか。

前田氏 キンドリルが目指すビジョンは「社会成長の生命線」ですが、これは「今のエンジニアの役割」と言い換えても通じると思います。組織の成長や課題解決の道筋を明確に示せることが大事です。例えば私の場合、顧客企業のCTO(最高技術責任者)の方などに、どんなビジョン、目的をかなえたいのかをヒアリングした上で、どの技術を、どう使うのかを提案します。このためにはさまざまな技術領域をフルスタックでカバーしていることも求められます。

陳氏 私はDXの鍵は「可視化」だと思っています。ただ、DXはデータや技術だけにとどまるものではありません。組織の目的や課題、自分のプロジェクト、他の人や部門とのつながりなど、あらゆることを可視化して、より良くする、新たな価値を生み出すことが求められます。こうした中で、どんな技術が必要で、どう適用するかをサポートすることが大切です。もちろん目的や課題に対し、技術が必要ないなら使わない決断をすることも大事です。自分のスキルを使うことにこだわったり、必要のない技術を勧めたりすることは絶対に避けなければいけません。

──目的起点で提案できることが大切なのですね。ただ、ユーザー企業のIT部門の場合、目的が共有されないまま、タスクだけを託される例も少なくありません。自分の役割や存在価値を見いだせない若手も多いようです。

前田氏 IT部門は本来、全社横断的な部門ですから経営企画的な観点が持てるはずなのに、それができないのは不幸な話だと思います。しかし、分断されたタスクに見えても「全体の一部」であることは間違いありません。自分の視野までサイロに閉じるのではなく、どことどうつながっているかを探ることで視野を広げることはできるのではないでしょうか。

陳氏 たとえ小さな歯車でも、それにかみ合わさっている別の歯車を見ることはできます。また、自分の組織を外から見て、歯車以外の部分がどう構成されているかを調べることもできます。「全体のパズルのうち、自分が担っているのはどのピースか」を把握することで、仕事の見え方は変わりますし、できる提案も広がっていくと思います。

仲間と共にチャレンジできる、主体的に動ける――それがキンドリルジャパン

──「広い視野を持ち、目的起点で提案する」のは、どんな環境でも不可欠な役割ですし、お二人もそうしてキャリアを積んでこられたのですね。全体観や想像力が求められますね。

陳氏 私は中学時代から三国志が好きで、自分が何をすると物事がどう動くのかについて、三国志に当てはめて考えることがよくありました。三国志のエピソードが各登場人物の行動によって作り出され、物語全体を構成するように、ある技術が別の技術と結び付くことで新しい技術や事象が生まれていきます。常に自分が携わっている物事の周辺も見ていくと、視野はおのずと広がり自分のこともよく見えるようになります。さらに、自分の判断についてトレーサビリティーを高めておくことで、今携わっている仕事全体のアーキテクチャが正しいか否かも検証できるようになります。

前田氏 私の場合、自分の視野や技術の幅が広がったのは日本IBMに入社してからです。大きかったのはテクニカルコミュニティーの存在です。技術者同士でコミュニケーションを取ったり、さまざまな研究会に参加したりするうちに、新しい視座を持つことができました。

──そうした環境はキンドリルにもありますね。貴社としてはエンジニアにどのように成長してほしいとお考えですか。

陳氏 キンドリルは従業員が9万人もいる世界最大規模のスタートアップです。スタートアップの良さは、判断が速く、失敗を恐れないこと。エンジニアにも“フェイルファースト、フェイルスマート”で成長してほしいです。何よりキンドリル自身が、仲間と一緒にリスクを取って何でもできる会社、チャレンジし続ける会社でありたいという理念を持っています。私が今キンドリルジャパンにいるモチベーションも、そこにあるのです。

前田氏 今後、ITの提供企業、ユーザー企業という区別はなくなると思います。働き方も時間と場所の制約がなくなり、さらに仕事がジョブ型になると、エンジニアは自分の技術やスキルをどの組織に提供してもよいという世界になっていくはずです。そうした「エンジニアが主体的に動ける土壌」がキンドリルジャパンにはあります。私自身も日々成長する喜びを感じているところです。

──なるほど。キャリアパスを描く上でのポイントがよく分かりましたが、お二人もそのポイントに基づいてキンドリルジャパンを選び続けているわけですね。本日はありがとうございました。

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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2022年6月22日

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