オンライン、オフラインを問わず、ビジネスイベントでは企業や個人のさまざまな情報のやりとりが発生する。そうしたイベントを運営する企業はどのようなセキュリティ対策を実施しているのか。
プロアクティブは会議や展示会、セミナーなど各種イベントの運営を支援する企業だ。2001年に神戸で創業し、現在は神戸本社を中心に東京と大阪にも拠点を置いている。事務局業務からシステム開発まで、イベント運営に関わる多様な事業を展開している。
さまざまなイベントを取り扱う中で、最近特にセキュリティについての問い合わせが増えているという。確かに、イベントを主催する企業にとって参加者の情報の取り扱いは一番気になるところだろう。
プロアクティブはそうしたイベント主催者の不安を解消するため新たなセキュリティの仕組みの導入を検討。そこで出会ったのが、さくらインターネットが提供するクラウドサービス「さくらのクラウド」と「FortiGate仮想アプライアンス」の組み合わせだった。
プロアクティブのコア事業は「MICE」に関するソリューションを提供することだ。MICEとは国土交通省、観光庁が定義したビジネスイベントに関する造語で、「Meeting」(企業などの研修や会議、セミナー)、「Incentive」(企業などの報奨・研修旅行など)、「Convention」(学術会議、国際学会など)、「Exhibition/Event」(展示会、見本市、イベント)の頭文字を取ったものだ。
このMICEソリューションを主軸に「受託開発」「パッケージシステムの開発、提供」「事務局の運営」「イベントの企画・運営」「システム全般のサポート」といった5つの事業を展開している。
セミナーや学術集会の運営支援、Webコンテンツ制作、MICEシステムの開発などで悩みを抱える企業の相談に乗ることは多いが、最近は特にイベント事業においてセキュリティ対策についての問い合わせが増えているという。こうした声に応えるため、プロアクティブはセキュリティの専門部署「セキュリティ対策室」を設置。これまで開発部門がMICE関連システムの運用で実施してきたセキュリティ対策を提案項目として切り出し、“見えるセキュリティ対策”としてサービス提供を始めた。
プロアクティブの桾本聡彦氏(MICEソリューション事業部 システムオペレーション課 課長 セキュリティ対策室 室長)は、MICEソリューションを提供するに当たり「安心・安全なシステム環境を実現するため最低限のセキュリティ基準を必須と定めている」という。
「イベント主催者にとって、普段業務で当然に実施しているセキュリティ対策と同等のレベルがMICEソリューションでも提供されることは、大きな安心材料になっている」(桾本氏)
セキュリティに人一倍気を使っているプロアクティブが、さくらのクラウドと「FortiGate」に出会ったのは学術集会向けの演題投稿システムの案件を進めているときのことだ。演題投稿システムは、研究成果をまとめた論文や演題を発表するためのシステムで、演題を登録し、査読したものを掲載といった仕組みになっている。
依頼者の要件は幾つかあった。まず「安価に短期利用ができること」。イベントは1年間など長期にわたって開催し続ける場合とある期間だけ利用する場合がある。短期で利用する場合、開催するタイミングに合わせてサーバを新調する必要があるため、費用が高くなりがちだ。この案件は短期利用を可能にしつつ、費用も抑えたいという要望だ。
次に「従量課金制ではなく金額を固定して利用できること」。使った分だけ料金が発生するということは、使ってみなければ総額がいくらになるか分からないということで、予算が決まっている場合は採用しにくい。「アクセスが集中したときの負荷に十分耐えられること」も重要な要件だった。演題投稿システムは、投稿開始時にアクセスが集中し、その後はずっと“凪”の状態が続き、締め切り間近に再度アクセスが集中するという特徴がある。
「プロアクティブに求められたのは、アクセスの“ムラ”に耐えるスペックのサーバを用意し、ファイアウォールなどセキュリティ対策を実施し、短期利用でも十分な費用対効果が出る、固定料金のインフラを用意することだった」(桾本氏)
悩んだ桾本氏は、同部署の藤本飛鳥氏(MICEソリューション事業部 セキュリティ対策室)に相談。そこで出てきた答えはさくらのクラウドと「FortiGate仮想アプライアンス」の組み合わせだった。
「IT部門のFortiGateの知名度は高く、実機を利用した経験のある人も多い。提案時に名前を出すだけですぐに理解し、納得してもらえることが多い」(藤本氏)
プロアクティブは以前から社内システムなどに物理版のFortiGateを利用しており、プロアクティブのIT部門にとっても慣れ親しんだツールだった。
「当初はFortiGate仮想アプライアンスの画面構成が物理版FortiGateとやや異なっており、日本語のマニュアルがなかったので戸惑いはあった。だが基本的な操作感や機能に大きな違いはなく、他の製品を新たに採用することと比べて学習コストが圧倒的に低く抑えられた」と桾本氏は振り返る。
さまざまなクラウドサービスの中でさくらのクラウドを選んだ理由は、要件でもある「固定料金で利用できる」ことが決め手になった。「使用する日程を決めて金額を算出でき、顧客への提案がしやすいというメリットは大きい」と、藤本氏は言う。
演題投稿システムの案件はさくらのクラウドとFortiGate仮想アプライアンスの組み合わせを使うことで無事開発できた。その後もプロアクティブのソリューションではさくらのクラウドとFortiGateの組み合わせを活用しているという。
「FortiGateを従来のように物理サーバと組み合わせるだけでなく、さくらのクラウドと組み合わせることで、顧客に提供できる『ソリューションの選択肢』が格段に広がったと感じている」(藤本氏)
プロアクティブの小林郁子氏(取締役 執行役員)によるとMICE事業はコロナ禍の影響を強く受けたという。
「これまではオンサイトでの開催が主流で、運営を現場の人手に頼る労働集約型が一般的だった。現在はオンライン開催が中心となっており、そのためか『今日発注するが明日には開催したい』というスピード感が求められる案件が増えている。コストを確定させやすい固定料金で利用できるさくらのクラウドと使い慣れたFortiGateの組み合わせはこうした需要にぴったりフィットする。頼もしいパートナー的存在だ」(小林氏)
一方で、さくらのクラウドとFortiGateの組み合わせを高く評価しているからこそ、今後に期待する部分もある。
桾本氏は期待を込めて「基本的な設定項目を保存して使い回せるような機能や他社の従量課金型のホスティングサービスと差別化できる機能オプション、スペック別に料金設定された選択式のパッケージなどがあるとよい。運用面はもちろん、顧客への提案の幅も広がるのでぜひ実装してほしい」と提言している。
オンサイトでのイベントは再開されつつあるが、ウェビナー配信などのニーズは高く、オンライン開催で培ってきた経験や知見はこれからも大いに生かせると小林氏は考えている。多様化するMICEに対して「さくらのクラウドやFortiGateという強力な味方とともに、より良いソリューションを顧客に提供していきたい」と語る。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2022年7月22日