余裕がないのに「安定運用」と「スピード対応」の両立が求められる時代、ITインフラにおける“自動化”はどうすれば実現できるのか?人材不足、属人化、ブラックボックス化の悪循環も課題

DXのトレンドが進展する一方、ITインフラを運用する現場には「安定運用」に加え、「DX推進のためのITインフラ刷新」「スピード感を持った対応」までが期待される事態となっている。余裕のない状況下で、どのような取り組みを進めることが有効なのか。

» 2022年12月21日 10時00分 公開
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人的リソースはすでに限界、新たな取り組みも難しい

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた取り組みが進む一方、多くの企業が「思った以上に取り組みにスピードが出ない。成果が出ない」ことに悩んでいる。

ALT エーピーコミュニケーションズ
執行役員 Vice President 技術開発部 兼 ネットワーク事業部 ACT 部長
名田 和氏

 このことは、経済産業省が2022年7月に公開した『DXレポート2.2』からも分かる。同レポートでは「DX推進に取り組むことの重要性が広がる一方で、デジタル投資の内訳は『DXレポート』発出後も変化がなく、既存ビジネスの維持、運営に約8割が占められている状況が継続している」とし、「バリューアップ(サービスの創造、革新)の取り組みにおいては、実際に成果が出ている企業は1割未満にとどまっている」と指摘している。

 DXが目指す方向性や重要性は理解が進んだものの、実際には「既存ビジネスの維持、運営」に労力を割かれ、DXの本質的な取り組みが実施できていないのが実情のようだ。

 こうした状況に対し、DXを加速させるには「既存の業務そのものや業務プロセスを自動化し、本質的な業務へのリソースを振り向けるための仕組みづくりが不可欠」と訴えるのが、エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)の名田 和氏(執行役員 Vice President 技術開発部 兼 ネットワーク事業部 ACT 部長)だ。名田氏は、こう続ける。

 「ITインフラの効率化や自動化は、DXが叫ばれるはるか以前から実施されてきた取り組みです。これまでも簡単なマクロやスクリプト、基幹システムならバッチファイルやプログラムなど、さまざまなツールを使って多くの企業が自動化に取り組んできました。ただ、結果としてそうした局所的、個別最適な自動化も、DX推進の上で課題になっています。ツールや手順がサイロ化したり、業務が属人化したりしているためです。さらに、自動化していない業務を手作業で取り組んでいたり、作業のために申請、承認が必要だったりと、業務プロセスや組織文化の課題もあります。これらの課題をセットで解消していくことが求められています」

DXとインフラ自動化の取り組みをセットで推進、カギは「ネットワーク自動化」

 名田氏は、DXの取り組みを着実に進展させるには、土台や足場ともいえる「ITインフラ」を地道に改善することが重要だと話す。

 「いくら夢のある話をしても、現実的についていけないようなら取り組みは頓挫します。よく目にするのが『デリバリースピードの乖離(かいり)』です。DX推進を担う企画部門が想定したスピード感と、それに必要なITインフラを提供する実務部門のスピード感が追い付かず、ユーザーに対してサービス提供が遅れてしまうのです。顧客向けサービスの場合は、スピードや品質で競合に後れを取り、ビジネスチャンスを逃すことにつながります。社内向けサービスの場合は、従業員や取引先に対してビジネス上の遅延や障害を引き起こすリスクにもなり得ます。DXはサービスの土台となるITインフラとセットで取り組みを進めることが重要です」

 そこでポイントになるのが「ITインフラの自動化」だ。システムやサービスの基盤となるITインフラの構築や運用を自動化し、提供スピードと品質を向上させることは、その上に乗るアプリやサービスの提供スピードと品質向上に直結する。具体的には、マクロやツールを使ったPC作業の自動化から、コンピューティングリソースの予約や配布、サーバのデプロイの自動化、顧客体験を観測、可視化する監視システムとの連携などを含め、組織が提供するサービス全体を対象に自動化を推進していく取り組みとなる。

 「DXを推進するためには、SaaS(Software as a Service)を中心にしたクラウドや、オンプレミスで稼働する基幹システムや業務システム、テレワーク環境のPCなど、さまざまなシステムの連携が欠かせません。その連携を実現するために重要な存在となるのがネットワークです。ITインフラの中でもサーバの自動化は比較的進んできていますが、ネットワークはサーバほど進んでいないように思います。サーバやクラウドはサービスイン前の作業で自動化されるケースが多いのに対し、ネットワークはサービス提供中の環境で使用されるケースが多いため、リスクが高く着手が難しいのです。しかし、繰り返しの作業であれば、一度自動化を実装してしまえば以後何年にもわたって効果を発揮する取り組みといえます」

Ansibleによるネットワーク自動化が組織にもたらす3つのメリット

 インフラの自動化を進めるツールとしては、Ansibleの活用が効果的だ。サーバのみならずネットワークの自動化にも威力を発揮する。

 Ansibleにはオープンソースソフトウェア(OSS)と、Red Hatが商用提供する「Red Hat Ansible Automation Platform」があり、こちらでは管理ツールとして「Automation Controller」(旧:Ansible Tower)が提供されている。Automation Controllerでは、ダッシュボード、セキュリティ、高度なジョブ管理、ジョブテンプレート、REST APIなどの機能が簡単に利用できるようになる。

 名田氏はAnsibleを利用したネットワーク自動化のメリットとして、「効率化」「正確性」「拡張性」の3つを挙げる。

 1つ目の「効率化」については、次のように解説する。

 「ITインフラ運用の現場は、エンジニアの人材不足が深刻で、人材の流動性も高くなっています。インフラの維持管理にITコストの8割がかかるといわれるなど、運用コストの問題も大きい。Ansibleを利用することで、ネットワーク運用に必要となるコスト対効果の最大化を実現します。エンジニアリソースの有効活用と自動化による作業工数の削減、必要な人的リソースの低減にもつながります」

 2つ目の「正確性」は、業務や部署、担当者ごとにバラバラになりがちな品質を安定化させ、さらに向上させるメリットを生む。

 「ミッションクリティカルなシステムにおいて、ネットワークの品質を維持し、さらに向上させることは、ビジネス継続に欠かせない取り組みです。にもかかわらず、ネットワーク運用はエンジニアの経験や暗黙知に頼り過ぎていたり、マクロやスクリプト、バッチファイル、プログラムなどによる個別最適な自動化をしていたりというケースが散見されます。ネットワークの自動化を進めるに当たっては、これまでの属人的なオペレーションをそのまま自動化しようとするのではなく、自動化を前提に業務フローを組み替えるプロセスが重要です。これにより、属人性が排除され品質の安定、さらには向上が可能となります」

 3つ目の「拡張性」は、小さく始めて大きく展開するスモールスタートが可能なことだ。

 「Ansibleはエージェントレスであるため、管理対象の機器へのエージェントが不要です。そして、OSやベンダー、アプリケーションごとにさまざまなモジュールが用意されています。このため、ネットワークを構成する機器の増減や他機種へのリプレース、管理フローの変更などにも柔軟に対応することができます」

大手企業も採用 自動化の仕組み構築から、内製文化の醸成まで伴走

 もっとも、Ansibleを活用した自動化の取り組みは、単なるツール導入で終わるものではない。例えば、属人化した業務プロセスを解消するには、根本的な原因を見つけて解消したり、ツールだけでは解消しにくい手作業の業務プロセスを自動化のワークフローに組み込んでいったりする必要がある。名田氏は次のように説明する。

 「初めて自動化に取り組むという企業はほぼありません。ほとんどの企業が過去に、自動化に取り組み、さまざまな経験をしてきています。その中で業務プロセスが複雑になり、こうしたツールを導入することすら難しいケースもあります。そこでAPCでは、Ansibleを活用しながら、ネットワーク自動化における高度な課題を解決し、自動化のみならず『攻めの業務』に取り組める体制構築を支援するソリューションを提供しています。それが『Automation Coordinator』です」

 Automation Coordinatorの特徴は、高い技術力と経験豊富なAPCのエンジニアチームが支援すること、自動化の仕組みの構築を伴走型で提供し自律を支援すること、すでに大手企業への豊富な導入実績があること、顧客の都合に合わせたタイミングで利用できるチケット制のテクニカルサポートを用意していることなどだ。

ALT Automation Coordinatorの概要(提供:エーピーコミュニケーションズ)《クリックで拡大》

 大手通信キャリアのKDDIでは、外注ベンダーの委託コスト削減や柔軟な機能追加をできるような内製開発を効率的に行うためにAutomation Coordinatorを活用した。新たなネットワークサービスの導入を経験豊富なAPCのエンジニアチームがネットワーク自動化の観点で支援し、KDDIに引き継ぐことで導入だけではなく運用フェーズにおいても効果的に自動化を行うことができた。

 データセンター事業者のアット東京では、既存の自動化ツールがブラックボックス化し、限られた人材リソースで機能追加やそのための検証を進めることが困難になり、ビジネスチャンスを阻害することが課題となっていた。そこで、Automation Coordinatorを活用し、APCを伴走型のパートナーとして内製化を推進。CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の環境整備やシステム開発のためのルール作り、体制作りを進め、チームに新しい風土と文化を作り上げた。

 いずれも、自動化ツールの導入にとどまらず、自動化プロセスの導入や内製文化の醸成まで変革を実現している。名田氏によると、上記で挙げた社会インフラを担う企業から一般企業まで、すでに数十社の活用実績があるという。

ALT 自動化トレーニングの一例(提供:エーピーコミュニケーションズ)《クリックで拡大》

 「Automation Coordinatorは、現在の状況に合わせた最適な業務プロセスコンサルティングから自動化の導入(実際の運用)、最終的にはお客さまが自動化を自律して運用するためのスキル習得トレーニングまで、幅の広いサービスがそろっており、ユーザーの自動化の理解度・進捗(しんちょく)状況に応じて、最適なサービスを提供しています。作業工数削減や品質向上、エンゲージメント向上だけでなく、DX実現のための『攻めの業務』に集中できるようになり、会社の成長につなげていくことができます」

 ネットワーク自動化というAPCのアプローチは、DX推進の観点でも大きな味方になるはずだ。

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提供:株式会社エーピーコミュニケーションズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年1月7日

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