AI-OCR×与信管理で広がる効率化の波 与信管理サービスのパイオニアに聞く、次の一手企業情報、与信管理、反社チェックなどのAPIを公開

AIを使って紙のデータを自動で取り込み、データ処理ができるAI-OCR技術はさまざまな分野で活用が進んでいる。決算書をAI-OCRで取り込み財務分析まで一貫して効率的に行えるという形でAI-OCR技術を活用しているのが、リスクモンスターが提供している「決算書分析システム」だ。

» 2023年03月29日 10時00分 公開
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進むAIの社会実装 注目集めるAIを組み込んだ「決算書分析システム」

 AI(人工知能)の社会実装が急速に進んでいる。スマートスピーカーや同時通訳などで活用されている音声認識AIや、自動運転や工場製造ライン、施設維持管理で活用されている画像、映像認識AIなど、数十年にわたる試行錯誤を経て一気に花開いた状況だ。最近では、テキスト認識や自然言語処理技術の進化を受け、文脈や意味に基づいてより妥当な提案を行うチャット向けAIなどの発展も著しい。

 AIの活用は、新しいサービスや付加価値創造に向けた取り組みだけでなく、既存の煩わしい業務の効率化でも成果を上げている。そのなかでも最も知られたサービスの一つがAI-OCRだろう。紙の書類をデジタル化する際に、これまではスキャンとテキスト入力を人の手で行っていたが、AI-OCRを使うことで、そうした手作業のほとんどをなくし、劇的に効率化できる。

 AI-OCRは日々進化を遂げており、入出庫伝票や請求書など固定的なフォーマットを持つ紙文書だけでなく、手書き文字や非定型フォーマットの文書なども簡単にデジタル化、テキスト化できるようになった。ディープラーニング技術やロボティクスとの連携、文字認識精度の向上と自動化、APIを使ったシステム連携など、今や業務プロセスの改善や変革に欠かせない要素技術になったといっても過言ではない。

 そんなAI-OCRを与信管理分野に適用し、経理や財務、法務部門などが日々感じている煩わしさを解消するための取り組みを加速させているのが「リスクモンスター」だ。開発本部 開発二部開発センター 課長代理 森田孝男氏はこう話す。

リスクモンスター 開発本部 開発二部開発センター 課長代理 森田孝男氏

 「与信管理は、専門家による経営情報の調査や分析を行うため、多くの手作業が発生し、煩雑化、属人化しやすい傾向があります。リスクモンスターは、ITやクラウドなどの技術を活用して、与信管理にかかる各種作業を効率化します。『あなたの会社のe-審査部』を目指し、サービスの充実とサポートに取り組んでいますが、そのなかで近年特に力を入れているのがAIです。業界のさまざまなAI技術を活用しながら独自のAIを開発し、サービスに組み込んで提供しています」(森田氏)

 AIを組み込んだサービスの一つが、決算情報を自動で読み込み、独自の財務格付を簡単に取得できる「決算書分析システム」だ。煩雑な決算書分析業務を大幅に効率化できるとあって、人気が高まっているという。

与信管理クラウドサービスや反社チェックサービスを提供するパイオニア企業

 リスクモンスターは、2000年に設立された与信管理クラウドサービスのパイオニア企業だ。主力サービスには、取引先が倒産に近いか遠いかを表す6段階(細分化で9段階)の格付や取引先ごとの与信限度額が瞬時に分かる「e-与信ナビ」や、企業検索だけで反社・コンプライアンス情報を網羅した情報の提供を行う「反社チェックサービス」、取引先の全体分析や条件の見直しをコンサルティングする「ポートフォリオ分析」などがある。

 与信管理クラウドサービスはビジネスモデル特許を取得しており、2022年3月末時点で法人会員数は7199ID(グループ合計では1万3000ID超)、上場企業の700以上が同社のサービスを利用している。

 「提供サービスの特徴の一つに、当社独自の『RM格付』があります。2000年12月のサービス開始以来、500万社超に上る膨大な企業群をデータベースとして、統計的に倒産確率を算出、格付し、実績を公表している指標です。約80万社の倒産実績に裏付けられた倒産判別に特化した格付として、与信管理業務の精度を高めることができます。このRM格付のノウハウを財務格付に適用し、決算書を登録するだけで簡単に当社独自の格付を取得できるようにしたのが『決算書分析システム』です」(森田氏)

RM格付(提供:リスクモンスター)

 決算書分析システムは、システムに入力された決算書を基に財務分析を瞬時に実施して、RM格付をベースにした独自の与信管理指標「RM財務格付」を提供するサービスだ。倒産実績に裏付けられたa〜fの6段階で評価された格付を参照することで、財務分析の専門知識がない担当者でも決算書をベースにした客観的な分析と評価が可能になる。

決算書分析システムで出力できる帳票例(提供:リスクモンスター)

 「決算書は法令で決められた項目を記載するものですが、実際にはほとんどが、企業ごとに表記や集計の方法が異なります。決算書を分析する場合、勘定科目から適切な数値を抽出する必要がありますが、その際には、人の目で内容を確認したり、科目や数値を手入力したりする必要がありました。一般的なAI-OCRを使うことで入力作業自体は軽減できますが、勘定科目を同じフォーマットで出力したり、統合したりすることは難しく、財務担当者にとっては悩みの種でした。また、営業担当者などが自分で財務分析を行う難しさもありました。そこで、決算書分析システムでは独自のAI-OCRを活用することでこれら課題を解消し、誰でも使えるサービスとして提供しています」(森田氏)

アップロードした決算書のB/S、P/L、販売管理費帳票を解析し、格付を出力

 決算書分析システムを利用するユーザーは、AI-OCRの存在を意識することはない。ユーザーは「決算書情報登録」画面で、分析したい決算書PDFをアップロードするだけで、システムが自動的に決算書の内容を精査し、必要な項目を見つけ出して、評価シート、財務分析シート、整理された決算書を出力してくれる。出力された分析結果を見るだけですぐに必要な業務に取り掛かることができるというわけだ。

 リスクモンスターで森田氏とともにAIの開発に携わっている開発本部 開発二部 開発センター 主任 ジャパル ジャルキンベック氏はこう解説する。

リスクモンスター 開発本部 開発二部 開発センター 主任 ジャパル ジャルキンベック氏

 「貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)本票、販売管理費帳票を対象に、AI-OCRで情報を読み取りますが、AIが自動的に分類し整理するため、入力に際して高度な会計知識は不要です。決算書ごとにバラバラな項目を、自社の基準で変換し、統一したフォーマットに整えて保存します。一度設定した勘定科目の変換ルールは、それ以降も適用されるので、入手した決算書の勘定科目を毎回見直す必要もありません。勘定科目マスターを用意し、AI-OCRで読み取った決算書の領域ごと(無形固定資産、有形固定資産など)に勘定科目マスターを照合させて精度を向上させることもできます。ばらつきのある勘定科目の名称や決算書レイアウトなど、どんなフォーマットでも取り込める機能は、現在特許申請中です」(ジャルキンベック氏)

 画像解析には、Google Vision APIの活用に加え、AIライブラリによる独自の認識技術を採用している。また、テキストを抽出したり、整理統合したりするために、AIを活用した自然言語処理のライブラリやフレームワークも活用している。AIシステムを自社開発する理由について、森田氏はこう話す。

 「画像解析や自然言語処理など、AIは進化が速く、日々新しい成果が発表されています。製品開発では、そうした成果をスピーディーに取り入れていくことが重要だと考えています。また、AIを実装していくための技術スキルやノウハウも求められます。リスクモンスターではAIを活用するための開発体制の強化にも取り組み、海外の優れたエンジニア人材を確保したり、海外オフショア拠点を拡充させたりしています。AI開発に一緒に取り組んでいるジャパルさんも、そうした海外出身エンジニアのコアメンバーのひとりです」(森田氏)

自社保有データの分析やクライアントのDX支援、デジタルプラットフォーム活用を推進

 リスクモンスターが提供するサービスの多くは「リスモンAPIサービス」としてAPIを公開しており、外部システムに組み込んで利用したり、クラウド上でのデータ共有やワークフロー化したりできる。

 「与信管理サービスの企業情報APIを利用すると、法人番号、商号、郵便番号、所在地の企業基礎情報のデータや資本金、設立年月、決算情報など全24項目を自社システムで利用できます。また、RM格付もAPIで利用できるので、データの名寄せやチェック、マスターデータ管理などの他、営業活動やマーケティング活動の効率化にも役立ちます。反社APIサービスでは、反社警戒、事件事故、行政処分などの区分と、商号、代表者などの区分を掛けあわせて組織を検索することができます。取引先の信用力把握や反社警戒先の判定に活用できます。決算書分析システムについても、必要に応じて、APIで利用できるようにしていきます」(ジャルキンベック氏)

 API連携やAI-OCRの連携をしやすくするために、クラウドパートナーや金融機関などとの協業も進めている。例えば、クラウドシステムの画面上で企業情報を名寄せした上で表示、RM格付を閲覧したり、OCR技術により登記簿謄本をデータ化したりできるようになっている。今後はさらに外部サービスとの連携や協業を進めていく方針のようだ。

 「今後はAPI提供を進めながら、システム利用の利便性を高め、業務改善や生産性向上につなげていきます。また、AI開発についても、AI-OCRだけでなく、テキスト解析や推定、文書の内容からのリスクの推定など、適用範囲を広げていきます。個人的な構想としては、AI活用だけでなくブロックチェーンを活用した与信管理サービスの開発も視野に入れています。リスクモンスターとしてR&D部門を強化しているところです。海外出身エンジニアやオフショアなど保有リソースをうまく活用して、これからも企業を支援していきます」(森田氏)

 与信管理サービスとしては既に業界内で高い認知度を誇るリスクモンスターだが、AI活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の面での支援メニューも強化している。現在は「新しいスタンダードを提供する」をキーワードに長期ビジョン「RismonG-30」を推進しており、AIの活用による自社保有データの分析、クライアントのDX支援、デジタルプラットフォーム活用による業務効率化を推進する。

リスクモンスターのDXへの取り組み(提供:リスクモンスター)

 企業財務・法務といった手作業が多い領域ではAIは劇的な効果を生む。リスクモンスターがどのようにAIを活用して業界を変えていくのか今後に注目したい。

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提供:リスクモンスター株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年4月18日

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