AWS、VMware、キンドリルの3社が語った「クラウド移行のベストプラクティス」とはクラウド移行戦略「7R」を押さえる

クラウド活用、そしてその先のクラウドネイティブ実践が注目を集める一方、クラウド移行は企業にとって大きな課題の一つだ。業務の影響を最小限にクラウド移行を実現する方法はあるのか。AWS、VMware、キンドリルの3社が語った。

» 2023年04月10日 10時00分 公開
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 ビジネス環境が激変する中、企業が持続的に成長するためにはクラウドの活用が欠かせなくなってきた。クラウドはリソースの素早い調達や臨機応変な拡張、災害対策の容易さなど、環境変化にスピーディーに対応できる点が大きなメリットだ。

 クラウドの特性を生かす「クラウドネイティブ」を実践することで、デジタルトランスフォーメーション(DX)に代表される新しい価値の創出や、組織の変革も推進できる。

 とはいえ、クラウド移行と一言でいっても簡単ではない。中でも厄介なのが既存環境のITシステムをどう移行させるかだ。クラウド移行では、リフト&シフトと呼ばれるアプローチが王道だ。しかし、単純なクラウド移行は、運用管理コストが上昇したり、必要なときにオンプレミスに戻せず業務影響が発生したりするリスクもある。

 そこで、業務への影響を最小限にしながらリフト&シフトすることがポイントになってくる。では、どのようにすれば、影響を最小限にリフト&シフトが実現できるのか。先頃、その問いに適切な回答を与えてくれる鼎談(ていだん)が実施された。参加したのは、キンドリルジャパンの田中良典氏(ストラテジックサービス本部 クラウドテクノロジーサービス事業部 クラウドソリューションデザイン 部長)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)ジャパンの河原哲也氏(ISVパートナー本部 部長 パートナーソリューションアーキテクト)、ヴイエムウェア(VMware)の南 宏明氏(パートナー技術本部 パートナー第一SE部 部長)だ。業界のリーダー企業3社がそろい踏みした鼎談で何が明かされたのか、内容をダイジェストでお届けしよう。

クラウドジャーニーにおける「7R」とは

キンドリルジャパン ストラテジックサービス本部 クラウドテクノロジーサービス事業部 クラウドソリューションデザイン 部長 田中良典氏 キンドリルジャパン ストラテジックサービス本部 クラウドテクノロジーサービス事業部 クラウドソリューションデザイン 部長 田中良典氏

 「クラウドジャーニーにおける1つのアプローチとして、新規システムは最初からクラウドネイティブで設計して、最適な構成、構築を推進し、クラウドのメリットを享受します。一方、別のアプローチとして、既存システムでは一気に最適化が難しいため、クラウドに単純移行してそのあと最適化するリフト&シフトがあります。ここで注目したいのは、近年は、単純移行のアプローチを『リホスト』と『リロケート』というように分けて考えるようになっていることです」(田中氏)

 リロケートとリホストは、AWSが提唱する、クラウド移行における7つの方式「7R」のうちの2つでもある。7Rは、既存システムの対処に関する「2R」と、クラウド移行の具体的なアプローチである「5R」で構成される。2Rは「リタイヤ(廃止)」「リテイン(塩漬け)」で、5Rは「リロケート」「リホスト(既存オンプレを単純移行)」「リプラットフォーム(バージョンアップ、UNIXやメインフレームをAWSに移行)」「リパーチェス(SaaSによるサービス利用にシフト)」「リファクタ(コンテナ/マイクロサービス/サーバレスなどの活用)」だ。AWSジャパンの河原氏はこう解説する。

AWSジャパン ISVパートナー本部 部長 パートナーソリューションアーキテクト 河原哲也氏 AWSジャパン ISVパートナー本部 部長 パートナーソリューションアーキテクト 河原哲也氏

 「リロケートとリホストの違いは、環境をそのまま移行できるかどうかにあります。既存の仮想マシン(VM)をそのままクラウドに持っていったり、クラウドに移行した環境をオンプレミスに戻したりできるのがリロケートです。一方、リホストはAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)のインスタンスにVMをコンバートするようにホストを置き換えるものです。以前は、リロケートをリホストの一部として説明していましたが『一時的なクラウド活用など、オンプレミスとクラウドを柔軟に行き来したい』というお客さまが増えています。そこで、リホストからリロケートを独立させたといういきさつがあります」(河原氏)

クラウド移行戦略の7R(提供:キンドリルジャパン) クラウド移行戦略の7R(提供:キンドリルジャパン)

クラウド移行戦略における「リロケート」を支える「VMware Cloud on AWS」

VMware パートナー技術本部 パートナー第一SE部 部長 南 宏明氏 VMware パートナー技術本部 パートナー第一SE部 部長 南 宏明氏

 リロケートのユースケースを実現するソリューションが、AWSとVMwareが共同で提供する「VMware Cloud on AWS」だ。VMwareの南氏はこう話す。

 「VMwareの視点で言うと、オンプレミスで引き続き最適なプラットフォームを提供する一方、クラウドのニーズに合わせて、クラウドでも最適なプラットフォームを提供していこうとしています。『オンプレとクラウドのどちらかを選んでください』ではなく、その時々で自由に選択してほしい。戻れるという保証があるので安心して移行してほしい。クラウドのメリットを最大限活用する勇気をもって取り組んでほしい。そのきっかけにVMware Cloud on AWSが貢献できればと考えています」(南氏)

 VMware Cloud on AWSは、AWSのグローバルインフラストラクチャの上で「VMware vSphere」「VMware vSAN」「VMware NSX」などで構成するVMware Cloud Foundationが稼働し、オンプレミスのVMwareと連携するハイブリッドクラウド環境を提供する。南氏はこう話す。

 「VMware自身がサービサーとしてIaaSのサービスとして提供します。特徴は3点あります。1つ目が、世界でも有数のグローバルで展開されているAWSのプラットフォームを活用していること。2つ目は、VMwareのアーキテクチャに沿って提供しているプラットフォームであること。VMware自身がこれまでの経験をもとにベストな状態、運用形態だと考える設計に基づいて提供する環境だということ。3つ目が、この2つを有効に活用することで、いまお客さまがお持ちの仮想基盤からすぐに移動し、必要に応じて戻すことができるクラウドの環境であることです」(南氏)

VMware Cloud on AWSの概要(提供:キンドリルジャパン) VMware Cloud on AWSの概要(提供:キンドリルジャパン)

 また河原氏は、ソリューションのポイントとして、AWSとVMwareが共同で開発して共同で提供、販売、サポートしている点も挙げる。

 「両社が協業しているため、AWSのネイティブサービスを同じネットワーク内でシームレスにつなぎ、利用するということもできます。リフト&シフトからの最適化をスムーズに実現し、モダンなアプリケーションに近づきやすくなります」(河原氏)

 その上で、田中氏は「SIerの立場で見ても、お客さまのクラウド移行のハードルが取り払われ、リフトしやすいことが魅力だと思っています。SIerとしてお客さまの移行計画を支援しやすくなっています」とした。

4つの代表的なユースケースで見る、VMware Cloud on AWSの魅力と効果

 VMware Cloud on AWSのユースケースは、大きく分けて4つ挙げることができる。「データセンターの拡張」「災害対策(DR)」「クラウド移行」「次世代アプリケーションの構築」だ。

 1つ目のデータセンターの拡張は「クラウドバースト」のように既存のデータセンターのキャパシティーを拡張する用途で利用するケースだ。「テストや開発など、一定のシーズンだけ使いたい、PoC(概念実証)をしたいといったニーズに対応」(河原氏)し、「クラウドらしい使い方や拡張ができる点は魅力」(田中氏)となる。

 2つ目のDRは、クラウドを活用してDRサイトを構築するものだ。「災害の際にはクラウドを活用し、復旧したらオンプレミスに戻ることもできます。実際、多くのお客さまに利用されています。『VMware Cloud Disaster Recovery(VCDR)』というソリューションも利用いただくと、災害が起きた場合は、新規に Software Defined Data Center(SDDC)をデプロイしてサービスを再開することも可能です」(南氏)

 「大阪リージョンもVMware Cloud on AWSに対応しているため、東京の自社データセンターで運用している企業が大阪リージョンをDRサイトとして利用することもできます。お客さまの資産状況に応じて最適なパターンが組みやすいこともポイントです」(河原氏)

 3つ目のクラウド移行は「SIerとしてもクラウドのメリットをお客さまに提供していく上でも最も有効なユースケースです」(田中氏)だという。「当初はデータセンター拡張のニーズが多いだろうと考えていましたが、実際にはクラウドファーストの考え方のもと、全面的にAWSクラウドに移行するお客さまが多かった。VMwareから見ても、このユースケースが圧倒的に多い状況です」(南氏)。また河原氏も「既存のOS、データベースをシステムに手を加えずにそのまま持っていけることは大きな魅力」とした。

VMware Cloud on AWSの代表的なユースケース(提供:キンドリルジャパン) VMware Cloud on AWSの代表的なユースケース(提供:キンドリルジャパン)

AWS移行コンピテンシーパートナーとして、お客さま問題解決と業務変革を推進

 クラウド移行にはさまざまな方法がある。VMware HCXを用いると、オンプレミスのデータセンターから専用線を使ってL2延伸し、VMの停止時間を極力抑えた状態での移行が可能になる。もっとも、南氏によると「注意点として、技術的には移行が可能であっても、物理環境を含めてお客さまのさまざまな状況とシステム環境全体を意識して移行計画を作ることが必要」だという。その点では、田中氏は「キンドリルとしても、IBMからの分社化前から、お客さまのさまざま環境をクラウド移行するなど豊富な経験を持っています。移行計画から方式含めて支援することがわれわれSIerのミッションです」とした。

 4つ目の次世代アプリケーションの構築は、AWSネイティブサービスの活用やクラウドネイティブアプリの作成を指している。河原氏は「セキュリティのサービスをつないでセキュリティを高めることや、必要に応じてマネージドのデータベースサービスへの切り替え、VMベースのシステムをコンテナ化、サーバレス化していく取り組みもあります。お客さまの将来的なロードマップに合わせて適材適所で使い分けていただけると、よりクラウド活用が進んでいきます」とアドバイスした。

 このように、クラウド移行では移行支援プログラムや支援するパートナーの存在が重要になる。AWSでは「AWS Migration Acceleration Program(MAP)」という方法論、ツール、トレーニング、プロフェッショナルサービスを提供するプログラムで、企業のクラウド移行を支援している。また、MAPの中で「AWS移行コンピテンシーパートナー」を認定しており、キンドリルもその認定パートナーとなっている。

 「認定プロセスは第三者の監査機関が行います。実績や支援サービス、認定資格者数、体制などを多角的に監査し厳しく認定するものです。クラウド移行のことで悩んだらAWS移行コンピテンシーパートナーにご相談いただけます」(河原氏)

 実際、キンドリルジャパンでは、MAP方法論を適用し、計画、構築、テスト、移行、移行後の運用の各フェーズでクラウド移行を進める企業を支援する体制だ。

キンドリルジャパンがクラウド移行計画から実施、移行後の最適化、運用まで支援(提供:キンドリルジャパン) キンドリルジャパンがクラウド移行計画から実施、移行後の最適化、運用まで支援(提供:キンドリルジャパン)

 「分社化により、フラットな立場で最適なソリューションを提供できます。キンドリルは、VMwareさん、AWSさんとのパートナーシップのもと、VMware Cloud on AWSを活用して、お客さまの問題解決と業務変革を推進していきます」(田中氏)

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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年5月10日

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