「AI活用に前向き」な企業が60%超 外観検査や予知保全など「画像分析」に熱い視線 成果をあげる導入方法は?

» 2023年10月27日 10時00分 公開
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 積極的にDXを推進する企業が多い中、その手段の一つとしてAIを活用するケースが増えている。一昔前の「取りあえずAIを導入しよう」という姿勢とは違い、現場の課題を具体的に解決し、成果をあげるためにAIを取り入れて自社の変革を着実に進めている。

 一方で「何から始めればいいのか分からない」「具体的な導入方法や効果が不明で予算がとれない」という悩みがあるのも現実だ。そこで今回はITmediaのサイト上で実施した、企業のAI活用に関するアンケート調査を基に現在の動向を確認していく。アンケートを主催したデル・テクノロジーズの“AI担当スペシャリスト”の目で、回答結果からAI活用のヒントを読み解いてもらった。

photo アンケート結果について話を聞いた2人。左から、デル・テクノロジーズの小野良夫氏と江籠圭介氏

60%超がAI活用に前向き どんな用途に使っている?

 今回は「画像分析AIによる業務効率化」と題して、2023年5月8日〜6月26日に実施したアンケートを参照する。回答数は631件だった。ITmedia NEWS編集部の荒岡瑛一郎(編集記者)と、デル・テクノロジーズの小野良夫氏(DCWソリューション本部AI担当スペシャリスト)、江籠圭介氏(データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部システム周辺機器部 ビジネス開発マネージャー)の3人で鼎談(ていだん)した様子をお届けする。(以下、敬称略)

荒岡 AI活用の現状を聞いた設問「勤務先では、AIを活用したシステムやツールを導入していますか?」では、回答者の約24%が本番環境またはテスト環境でAIを導入していると答えました。導入検討中が約37%で、合わせて61%がAI活用に前向きだと読み取れる結果でした。どうご覧になりますか。

photo AI活用の現状を聞いたアンケート結果

江籠 IPA(情報処理推進機構)の「DX白書2023」では、AIを全社または一部部署で導入している割合は22.2%ですから、アンケート結果は現実に近い結果だと見ています。AIを普及させる要因としては、製造業の国内回帰やデフレ脱却による需要の増加、人手不足、人件費の上昇といった外部要因と、AI関連技術の進展(GPU、センサー/カメラの価格性能比の向上、AI活用の認知度上昇)だと考えています。AI関連技術はニーズに支えられて着実に進展し、今後も成長を続けていくと思います。AIはDX推進にとって重要な手段ですし、企業のIT環境が抱える課題が表面化するとされる「2025年の崖」への対応策としても注目度が上がっています。

photo AIの活用傾向について話す江籠氏

小野 生成AIが登場してから特に、一般のビジネスパーソン層にまで関心が一気に広まりました。またAI製品を提供するベンダーが増えたことで身近になったという側面もありそうです。

荒岡 AIの話題が増えただけでなく、どのような効果があるかといった情報も得やすくなりましたよね。その点では、今回のアンケートの名前にもある「画像分析AI」はその典型です。AIが画像で判断するのは分かりやすいし、製造業などの現場で成果をあげています。

小野 私たちが過去3回実施した、AIがテーマのウェビナーで実施したアンケートでも画像分析AIへの関心が最も高かったですね。少し前は「すごい技術だ」と思っても自社の業務に活用するのは、もっと普及してからだと考えている経営者が多かったという印象を持っています。しかし事例が増えたことで自社での具体的な活用イメージを持ちやすくなり、検討が進むケースが増えています。

荒岡 普段から顧客に接する中で、どのようなニーズを聞きますか。

江籠 AIビジネスの現場からは、製造関係や物流倉庫、社会インフラ系など特定の業種に特化した要望が多く寄せられています。顔認証や物体検知といった汎用(はんよう)的なAIだけでなく、バーコードを読み取ったり、自社基準で部品の劣化具合を評価したりと高精度かつ自社向けにカスタマイズしたAIのニーズがあります。

 なお、今回のアンケート結果には、外観検査や品質管理、異常検知、予兆保全、監視や顔認証などのセキュリティ対策、AI-OCRなどがあります。特に、外観検査に関しては、工場で生産ラインや製品に傷や異常がないかどうかチェックするものから、橋やトンネルなどの老朽化や破損を画像診断するシステムまで幅広いニーズが読み取れました。

photo 画像分析AIの用途を聞いたアンケート結果

AI活用の課題は「人材不足」「理解不足」

荒岡 いざAIの導入や活用を進めようにも、課題が山積しているといった声も聞きます。具体的にどのような課題があるのでしょうか。

江籠 AI人材の不足や、継続的な予算の確保が難しいこと、AI活用を計画的に進められないなどの課題が表面化しています。DX白書では、IT分野に見識がある役員が27.8%とされており、多数派とはいえないことが背景の一つにあると考えています。

荒岡 アンケートでも課題を複数回答で聞くと、回答が多かった上位2つは「AIを活用する人材の不足」(54%)、「社内の知見や理解が追い付いていない」(36%)でした。社内での理解も大切になるし、人材が足りない中でどう対応するか考える必要もありますね。

AIで成果を出すには? 導入方法の見極め方とは

荒岡 それでは、AIを導入して成果を出すにはどのように取り組めばいいのでしょうか。

江籠 自社開発を例にすると、従来のAI導入は、ユースケースの明確化として求められるAIモデルの精度や予算、スケジュールの整理に始まり、PoC、エンタープライズシステムとしての可用性・拡張性の設計、そして本番環境へのSI開発・実装といった手順になります。しかし、それぞれのフェーズで不明確なことが多く、経験者の知識や支援がないと推進しにくいものでした。例えば、プロジェクトの経験者でなければ、初期段階のモデル作成費用を明確にすることは困難だと思います。

小野 AIモデルの自社開発に制約がある場合は、外部委託も手段の一つになります。負担が大きいAIモデルの開発やPoCを委託することで、AIベンダーが提供する完成品、または実証済みのAIを含む業種別ソリューションを検討することができます。

荒岡 AIモデルの開発形式を見極めるのですね。自社開発か外部委託かを考えるとき、企業はどこに着目すればいいのでしょうか。

小野 AIを企業の核となる業務に導入するなら自社開発で、それ以外なら外部委託をお勧めしています。前者は、競合他社より秀でていて、まねされにくいサービスや技術、強みを持つ業務です。経営資源を集中すべき分野で、AI導入も同様です。

 デル・テクノロジーズでは自社開発を希望されているお客さまに、GPUサーバや開発ツールなどを提供しています。AI開発支援ツールは、機械学習を自動化する「AutoML」ツールの「H2O.ai」やAIプラットフォーム「NVIDIA AI Enterprise」などです。どんなことでも、ご相談いただければその企業に適した方法をご提案できる体制を整えています。

photo AIの導入について解説する小野氏

「すぐに使い始めて、早く結果を出せるAI」 求めるAIを見つけるには

荒岡 外部委託の場合はどのように取り組むのがいいのでしょうか。

小野 アンケートにあるような製造・流通・金融業界でDXを進める多くのお客さまにとっては、できることと予算があらかじめはっきり把握できて、確実に成果を出せるAIが重要です。特にイチから開発するのではなく、完成品として提供されているAIソリューションやすぐに使えるAIを求めるケースが多いです。

江籠 デル・テクノロジーズのAIの取り組みとして、「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」プログラムを提供しています。これは「AIの活用を検討している企業」と「AIサービスを提供する企業」をマッチングする取り組みで、AIソリューションを開発する際の外部委託先となるAIパートナーさまを紹介することができます。

荒岡 これからAI活用に取り組みたい企業を支援するのですね。どのようなサポートを受けられるのでしょうか。

小野 提携するAIパートナーさまを紹介し、既に製品としてパッケージ化されているAIサービスを中心にご提供します。すぐに使い始めて、なるべく早く結果を出せるAIを導入したいと希望されるお客さまが、開発済みのAIを手軽に短期間で導入できる仕組みです。

photo Dell de AIの概要

小野 Dell de AIのパートナー企業は約20社いて、その多くは画像分析AIを扱っています。それぞれ得意な分野があり、専門的な用途から自社向けのカスタマイズまで幅広く対応可能です。多数のラインアップからお客さまが選択できるので、短期間かつ廉価に導入でき、運用やメンテナンスのアドバイスを継続的に受けられます。

荒岡 自社開発でも外部委託でも、AI活用のスタートダッシュを図れそうな取り組みですね。完成品なので予算の目安を付けやすそうです。

小野 導入時の予算という観点では新たな取り組みも始めています。例えば映像分析をする場合、カメラや画像分析AI、映像管理ソフトウェア(VMS:Video Management Software)などをデル・テクノロジーズが一括で提供します。「一式そろって100万円」というように見積もりがシンプルになるので社内を説得しやすく、各製品のベンダーに相談してバラバラに導入するよりも時間的・費用的なコストを抑えられ、互換性の心配も不要になります。

荒岡 企業のAI導入を本気で支援しようという気概を感じます。

江籠 さらに、AIを導入する際、実行基盤となるITインフラを新規に用意する場合もあります。そこでデル・テクノロジーズではGPUサーバなどを試せる無料のデモ環境をご用意しています。導入の効果を検証でき、遠方からのリモート検証にも対応可能なので、ご活用ください。

photo ITmedia NEWS編集部の荒岡と、デル・テクノロジーズの小野氏・江籠氏の3人で鼎談(ていだん)した

「AI導入を真剣に考えている方の強力なパートナーに」

荒岡 最後に、これからAI活用を進めようとしている読者へのアドバイスを頂けますか。

小野 これから取り組むのなら、まずはAIを取り入れたい業務が自社のコア業務なのか、効率化やコスト削減の面で成果をあげたい業務なのか分けてみることをお勧めします。そうすれば自社開発か外部委託なのか次の一手を考えやすくなり、その先にも進みやすくなります。迷ったり不安があったりするのであれば、デル・テクノロジーズにご相談いただければ適切にアドバイス致します。

江籠 当社がDell de AIを通じて築いた“AIエコシステム”やパートナー企業との強力なネットワークを、ぜひ役立てていただきたいです。デル・テクノロジーズでは、AIを導入する上で自社開発/外部委託どちらもご提案が可能です。また、その前提となるデータ管理についてもトータルでご提案できます。

 デル・テクノロジーズは、AI導入を真剣に考えている方の強力なパートナーでありたいと考えています。各社さまに担当者が付きますので、どんな疑問や相談でもお気軽にお問い合わせください。

この記事はITmedia NEWSで掲載されたものの転載です。


Dell de AI(でるであい)とは──

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「AIをビジネスで活用する」──そう言い表すのは簡単です。しかし、組織にとって本当に価値のあるアクションへ落とし込むには、考えるべきことがあまりに多すぎます。誰に相談すればいいのか、どうすれば成果を生み出せるのか。「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」は、そんな悩みを持つ企業や組織にポジティブな出会いや思いもよらぬうれしい発見──「Serendipity(セレンディピティ)」が生まれることを目指した情報発信ポータルhttps://www.itmedia.co.jp/news/special/bz211007/です。

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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年12月7日

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