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» 2023年12月27日 10時00分 公開

日本総合研究所とNECが語る、「AI」「マルチクラウド」活用の今「VMware Explore 2023 Tokyo」開催

VMwareの年次イベント「VMware Explore 2023 Tokyo」が2023年11月14〜15日に開催された。基調講演に登壇した日本総合研究所の真壁 崇氏と日本電気の小玉 浩氏が、AIやマルチクラウドにどう取り組み、成果を挙げているのか紹介した。

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 近年、生成AI(人工知能)をはじめとするAI技術やマルチクラウドの活用が注目を浴びている。AIは、データから価値を引き出し、付加価値の高い業務や新たな事業を創出するのに役立つ。マルチクラウドはさまざまなクラウドの機能を活用して業務を効率化したり、生産性を高めたりするのに今や不可欠ともいえる存在だ。

 「VMware Explore 2023 Tokyo」では、日本総研とNECにおけるAIとマルチクラウド活用の取り組みが披露された。本稿は、日本総合研究所(日本総研)の真壁 崇氏(取締役 副社長執行役員)と日本電気(NEC)の小玉 浩氏(Corporate EVP CIO、CISO、コーポレートIT・デジタル部門マネージングディレクター)の講演内容を紹介する。

「新たな顧客価値の共創」を目指し、プラットフォーム戦略を推進

画像 日本総研の真壁 崇氏

 日本総研は、三井住友銀行や三井住友カード、SMBC信託銀行、SMBC日興証券などSMBCグループをITでけん引するテックカンパニーであり、AIやマルチクラウドの取り組みを加速させている。

 真壁氏は、旧住友銀行のシステム統括部などを経て2011年に日本総研に入社、都銀統合や地銀、外銀とのシステム統合、クレジット、信販、リースのグループ内再編といったプロジェクトをリードしてきた経験を持つ。現在は、MITスローン経営大学院を卒業し、日本ディープラーニング協会エンジニア資格なども保有する「金融とITの二刀流」としてビジネスをリードしている。

 「日本総研は、次世代の国づくりや社会的価値の創出をテーマに『新たな顧客価値の共創』を目指してシンクタンク、コンサルティング、ITソリューションの3つの機能を展開しています。6年前に立ち上げた先端技術ラボでは約40人のリサーチャーがAI、ブロックチェーン、XR(クロスリアリティー)、量子コンピュータといった技術レポートを発信しています」(真壁氏)

 日本総研の主要な事業となるのがITソリューションだ。SMBCグループにおけるほとんどの基幹システムの開発、運用を手掛け、膨大な金融ITのノウハウを生かし、高度な機能と盤石の信頼性を実現している。

 「最近手掛けた開発プロジェクトの一つに、個人向けの金融、決済のフルモバイルサービスとして2023年3月にリリースした『Olive』があります。キャッシュカード、デビットカード、クレジットカード、『Vポイント』、証券、保険などのさまざまなサービスをシームレスに統合するスマートフォンアプリで、リリースから半年で100万口座を超えるなど人気を博しています」(真壁氏)

 Olive開発プロジェクトでは、クレジットカードと銀行口座の両方の基幹システム『Vpass』と『SMBC Direct』というそれぞれのチャネル、さらにクラウドネイティブな統合チャネルシステムやスマートフォンアプリなどのチームが参加し、短期間での開発を実現した。真壁氏は「インフラも短期間でスケールアウトしました。それが実現できたのも、われわれが進めてきたプラットフォーム戦略が奏功したことに起因すると自負しています」とITシステム基盤の重要性を振り返った。

開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を

 日本総研のプラットフォーム戦略は、業務システムの特性に合わせて最適なプラットフォームを提供するものだ。

 「オンプレミスに構築したプライベートクラウドには450システム以上、ハイブリッドクラウドで使えるコンテナ基盤は2000コア以上、IaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)/SaaS(Software as a Service)として利用しているパブリッククラウドは1800個以上のサービスが稼働しています。金融はレガシーだというイメージを持たれるかもしれませんが、しっかりと新しいテクノロジーを活用しています」(真壁氏)

 昨今は、基幹システムの在り方が変化してきており、「モード2」(攻めのIT)としてスピードと効率性を重視した開発をパブリッククラウドで行うケースが増えている。だが真壁氏によると「実際に使ってみると思ったように使えないことも多い」という。

 「障害時の影響範囲の特定や業務継続プラン策定の難しさ、従量課金に伴うコストの不確定さや強制アップデートなど、パブリッククラウドならではの留意点があります。一方で、時代が変わっても、安定稼働やレジリエンス強化は引き続き重要です。『モード1』(守りのIT)とのバランスをとり、“攻めと守り”を両立できる基盤が必要です」(真壁氏)

 そこで同社は「オンプレミスを進化させること」を目標に、さまざまな取り組みを進めてきた。2010年からサーバ共通化に取り組み、今日ではプライベートクラウドが3万コア、仮想マシン(VM)が8000台にまで拡大している。2023年度からは、VMwareが提供する自動構築や自動メンテナンスの機能を活用し、レジリエンスも強化した「第4世代の新基盤」を提供している。

 「この基盤をパブリッククラウドの進化も踏まえてさらに高度化し、IaaSからPaaSへとサービスを拡大する方針です。パブリッククラウドの機能をプライベートクラウドでも同じように使えるようにします。これによって、オンプレミスによるレジリエンス強化とPaaSを使った技術集約による内製化の促進、オンプレミスとクラウドを意識させない社内の人材の流動化を進めていきます」(真壁氏)

 将来的には、社内のエンジニアができるだけ高い生産性と低ストレスな環境でアプリケーション開発に専念できるようにする「次世代オンプレミス基盤」を構築する方針だ。

 真壁氏はVMwareが提供する機能やサービスを活用しながら、プライベートクラウドを進化させていくと強調した。

自社を「ゼロ番目の顧客」として社内システムをクラウドシフトしたNEC

画像 NECの小玉 浩氏

 NECの小玉氏は、同社における社内DXの取り組み「コーポレート・トランスフォーメーション(CX)」を紹介した。システムエンジニアとして入社した小玉氏は、大手小売業のシステムに携わる中で「基本の徹底と変化への対応力」をたたき込まれ、現在はCIO(最高情報責任者)兼CISO(最高情報セキュリティ責任者)として、業務変革に携わりながら「業務とITが一体となった変革」をリードしている。

 「NECはテクノロジーを活用して『海底から宇宙まで』の事業を展開し、社会価値の創造を目指しています。グローバルで12万人、収益は3.3兆円ですが、私が一番誇りに思っているのは120年以上続いたお客さまや社会との信頼関係が構築されている会社だということです」(小玉氏)

 NECがCXで目指すのは、企業理念である「NEC Way」の下、企業の本当の価値である人や文化を変革することだ。魂を込めた変革のDNAを全社に埋め込むべく、制度、プロセス、ITにデータを加えた「三位一体Plus Oneの改革」を推進する。

 「改革の実行に当たっては、全体がバラバラにならないようフレーム化しています。DXのビジョンを明確にし、その上でアジァイルなカルチャー変革、チャレンジする組織、エンゲージメント、全社プロセスの整備、お客さまや社会とのエコシステム構築、新しい事業、ブランディングへのフィードバックをしています。成果はまだ一部ですが、例えば、社員の働き方においては、エンゲージメントスコアは19%から36%へと約2倍になりました。生成AIの社内活用の仕組みを2週間で構築し、3万人以上が活用しています。また、経営やマネジメントもプロセスマイニングの実践や、ITグループ一体化による年間約10億円の運用効率化、データの民主化に向けた12TBのデータの整備、クラウドネイティブ化率27.3%などの成果があります」(小玉氏)

 NECは、自身を「ゼロ番目の顧客」(クライアントゼロ)と位置付け、これらの成果を、顧客や社会へ還元することを目指している。

 「NECが目指すのは“クラウドエコシステムで形成されたクラウドスマートな世界”です。そのために、オンプレミスやパブリッククラウド、エッジなどさまざまな分散した環境において『統制された、クラウドネイティブな運用』を実現する必要があります。一例として『VMware Cloud on AWS』を用いて、スピーディーに社内インフラのクラウドシフトを実施した事例を紹介します」(小玉氏)

スピードと安心安全を重視して移行を推進

 NECが取り組んだ「社内インフラのクラウドシフト」で重要視したのはスピードと安心安全の確保だ。

 「社内にある424台の仮想マシンを70日でクラウドに移行しました。システム単位では301システム、1日当たり4.3システムを移行した計算です。これは過去の移行事例の中でも最も優れた効率とスピードでした。成功した要因は、VMwareと“One Team”になって準備と検証に取り組み、そのナレッジを活用できたことだと考えています。その結果、移行コストは91%、運用人員コストは19%、サービス提供コストは20%それぞれ削減できました。円安の影響でクラウドの利用コストは上昇傾向ですが、サービス提供コストを20%も削減したことは社内からも評価されています」(小玉氏)

 次のステージとして目指すのは、現在保有する約1000システム、1万3000台の仮想マシンを整理整頓し、最適な形で次の環境に移行することだ。

 「NECグループの企業価値を最大化させるためには、データやITの価値向上が欠かせません。そのための整備を進め、最終的には『One NEC System』といえる環境を作り上げることが目標です。エクスペリエンスを統合し、1つの統制された環境でオペレーションマネジメントを実施します。コアなプロセスはクリーン化しつつ、付加価値領域も作り込んでいきます。また、プロセスを可視化してプロセスマイニングができるようにもする予定です。そのためにはサービスの連携も重要になるので、何よりもまずインフラが重要だと考えています。こうした取り組みの中で、AIをあらゆる領域に浸透させ、AX(AIによるトランスフォーメーション)を推進します」(小玉氏)

 小玉氏は「VMwareはDXの取り組みを推進する上で欠かせないパートナー」と強調した。例えば、オペレーションマネジメントにおいては統合マルチクラウド管理ができる「VMware Aria」を、NECのデジタルプラットフォーム基盤としてはVMware Cloud on AWSを活用するという。

 「クラウドに移行してからも、オンプレミスと同等のアーキテクチャで動作する。これは素晴らしいことです。移行中もオンプレミスとクラウドを適切にディスパッチする(タスクの割り振りをする)仕組みが整っているため、業務を止めることなく取り組みを進められます。今後もNECは、VMwareと共に改革の歩みを続けていきます」(小玉氏)

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提供:ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年1月12日

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