サーバやストレージ、モダンアプリケーション開発、さらには生成AIまでをカバーしているAWS。2023年12月時点で約250もの機能、サービスを提供しているAWSを一から学ぶにはどうすればよいのか。AWSトレーニングサービス本部のマネージャーにオススメの学習方法を聞いた。
企業がクラウド活用を推進する上で、重要な役割を果たしている「Amazon Web Services」(AWS)。必要なときにサーバやストレージなどのリソースを素早く調達できることはもちろん、生成AIアプリケーション基盤の構築や大規模データを使ったデータ分析、コンテナを活用したモダンアプリケーション開発など、企業システムに求められるさまざまなサービスを提供している。
2023年12月現在、AWSには実に約250もの機能、サービスが存在している。これほど多機能なクラウドを最大限に活用するには、自分の目的とニーズを明確にし、ある程度の絞り込みが必要不可欠である。
AWS上での開発経験が乏しい段階では「何をどう使ってよいのか分からない」と感じる人も多いのではないだろうか。そのためには、AWSの全体像をつかみ、自分にとって必要なサービスを絞り込むための学習が重要だといえる。
では、クラウド初心者が「AWSを一から学ぶ」にはどのような方法がよいのか――。AWSのサービスや生成AI(人工知能)に興味を持つアイティメディアのカワバタが、AWSトレーニングを担当する部門のマネージャーを務める西村 航氏にオススメの学習方法を聞いた。
カワバタ 本日はよろしくお願いします。個人的には生成AI絡みで「Amazon Bedrock」が気になっています。今からAWSや生成AIを学ぶとしたら、どういうふうに進めていけばよいのか、オススメの方法を教えてください!
西村 こちらこそよろしくお願いします。Amazon Bedrockはお客さまからの注目度が高い生成AIサービスの一つですね! 「AWSをどうやって学べばよいのか」ですが、結論から言いましょう。AWSを学びたいなら、2024年1月18日に開催される「AWS Builders Online Series」(以下、Builders Online)に参加登録してください! 参加登録したらもう大丈夫です! 「習うより慣れろ」です!
カワバタ えっ!? ちょっと待ってください。Builders Onlineとは何なのか、どんな内容なのか、もう少し詳しく説明していただけますか!
西村 Builders Onlineは、夏と冬の年2回開催されるAWS初心者向けのオンラインイベントです。AWSはさまざまなイベントやセミナーを開催していますが、Builders Onlineの特徴は、幅広い内容になっていることです。技術だけ、ハンズオンだけ、認定資格だけではなく、それら全てを包含しています。
カワバタ 初心者向けに全部の学習パッケージがそろっているようなイベントなんですね。どんなふうに学べるイメージなんでしょうか?
西村 トレーニングコースでも同様なのですが、最初にクラウドとは何か、これまでのIT技術との違い、AWSの基本的なサービスなどを概要レベルで理解することが大切です。また、「可用性って何?」「拡張性って何?」といったITの基礎知識も必要ですが、これらも併せてこのイベントで学ぶことができます。
カワバタ 初心者にとって用語の整理ができるのはありがたいですね。
西村 次に、AWSの代表的なサービスのデモを見て、実際の活用イメージがつかめます。例えば、「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」を使って仮想マシンを立ち上げたり、「Amazon VPC(Virtual Private Cloud)」を使ったネットワーク環境を作成したりする方法などです。生成AIのデモももちろん見ることができます。
カワバタ それはいいですね。頭の中で想像するよりも、実際に動いているものを見た方が理解が早いですよね!
西村 さらに、デモで見た環境をそのまま試せるハンズオンが用意されているので、セッションを視聴した後に実際にAWSを触ってみることをお勧めします。サンプルのWebシステムなどの構築を体験することで、AWSの特徴をつかむことができます。
カワバタ 習うより慣れろ、の意味が分かってきました。
西村 その上で、セキュリティや監視など、AWSを運用する上での基本的なスキルを身に付けることも大切です。今回、運用に関わるセッションも多数用意していますので、ぜひ参考にしてください。最後に、自分の関心のある分野や目的に合わせて、特定のサービスをより深く学んでいくことをお勧めします。AWSには多くのサービスがあるので、自分のニーズに応じて特化していくことがAWS活用の近道です。例えば、生成AI、データ分析、モダンアプリケーション開発に関するサービスなどですね。
カワバタ 取り扱う分野が幅広く、内容も特定の技術に片寄らずITの考え方からしっかり学べ、デモやハンズオンまでフォローされているのですね。アジェンダを見ると「AWS基礎1」「AWS基礎2」「モダンアプリケーション開発/スタートアップ」「SaaS/AWS認定」という4つのトラックがあって、トラックごとにさらに4つのセッションがありますね。
西村 1セッションは30分で、クロージングセッション含めて計17セッションあります。Amazon Bedrockに興味があるなら、T2-1「わがまま DX 部隊に配属された俺、Amazon Bedrock と出会い、生成AIシステムを構築して無双する」にぜひご参加ください。コンテナ、サーバレス、セキュリティ、データ分析などのセッションもあります。クロージングセッションでは、「AWS re:Invent Recap」として、2023年12月に発表されたAWSの最新技術動向をいち早く紹介します。これら、どのセッションにも自由に参加できます。
カワバタ 開始時間が「9時」「14時」「19時」と、1日に3回あります。どの時間帯のセッションに参加してもよいのでしょうか。
西村 はい。どの時間帯でもセッション内容は変わりません。例えば、9時からスタートしてリアルタイムで4セッション+クロージングセッションを聴講すると12時30分に終了します。続けて、14時からスタートして前回とは異なるセッションを聴講すると17時30分に終了というイメージです。オフライン開催では同時刻のセッションを聴講できませんが、オンラインで3回開催なので、好きな回と好きなセッションを自由に組み合わせて聴講できます。
カワバタ 平日開催だと業務もあるので、19時スタートはうれしいですね。許可さえもらえれば、朝から聴講するのもいいかもしれません。AWS認定にも興味があるのですが、今回、認定関連のセッションがありますよね。
西村 認定資格のセッションは、参加者のフィードバックが基になっています。「セミナーやイベントに参加してもそのままになりやすい」「学んだことが直接的に資格につながればいい」「体系的に学びたい」といった声を受け、認定資格の取得につなげやすい内容を新たに用意しました。資格は「AWS Certified Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)」と「AWS Certified Solutions Architect - Associate(ソリューションアーキテクト – アソシエイト)」の2つに関する内容です。
カワバタ 内容以外でユニークなポイントはありますか?
西村 各セッションでチャットによるライブQ&Aを実施します。セッション中に質問を投げると、AWSのエキスパートが質問者専用のダイレクトメッセージで回答します。自分以外には非公開なので、何でも気軽に質問して、リアルタイムに学びを高めていくことができます。
カワバタ なるほど。ちなみに「『Amazon S3』のバケットってそもそも何?」といった、本当に初歩的な質問をしてもよいのでしょうか……?
西村 大歓迎です! それができるのもBuilders Onlineの醍醐味(だいごみ)の一つです!
カワバタ 「習うより慣れろ」とおっしゃいましたが、それができるのがBuilders Onlineなのですね。ちなみに、普段はどうやってAWSを学んでいけばよいのでしょうか。
西村 Builders Onlineには、普段AWSを学んでいくためのコンテンツの全てが含まれています。逆に言うと、Builders Onlineへの参加をきっかけにして、普段の学びにつなげていくことができます。ここでは、4つの取り組み方を紹介したいと思います。
1つ目は、ウェビナーの「AWSome Day Online Conference(次回2024/3/21開催予定)」(AWSome Day)の活用です。AWSome Dayは、AWSクラウドの基礎を学ぶことができる年数回実施するオンラインイベントです。デモを通して実際の活用イメージを持ちながら、AWSの基礎を学ぶことができます。
2つ目は、eラーニングプログラムの「AWS Skill Builder」です。プログラムの中に初心者向けのコース「AWS Cloud Practitioner Essentials」があります。法務や営業、マーケティング担当者など、非技術者の方もAWSクラウドの知識を深めることができます。
3つ目は、初心者向けのハンズオン資料です。Builders Onlineで利用するハンズオン資料もそうですが、その他のさまざまなイベントやセミナーで用いた資料が公開されています。その中から初心者向けハンズオンとしてオススメの資料をまとめています。
4つ目は、3D RPG(ロールプレイングゲーム)の「AWS Cloud Quest」です。ゲームの中でロール(クラウドプラクティショナーやソリューションアーキテクト)を選択し、専門的なスキルを学ぶことができます。今回のBuilders Onlineでは、Builders Onlineに参加した方のみがエントリー可能なAWS Cloud Questのトーナメント開催を予定しておりますので、ぜひご参加ください!
カワバタ まさに「Builders Onlineに登録すれば大丈夫」というわけですね! 最後に、学習に当たってアドバイスはありますか?
西村 私は前職のSIerで、ストレージやネットワークを専門に、金融業のお客さま案件でプロジェクトマネジャーなどを務めてきました。インフラエンジニアとしてAWSを学ぶ際には、初学者の皆さんと同じような悩みを抱えていました。ただ、AWSを学ぶことがITを学び直すことにもつながりましたし、自分が学んで得た知識や経験を共有することが周りの人を幸せにすることにも気付けました。例えば、同僚に「AWSってどうやって勉強したらいいの?」と聞かれたときに、適切な答えを返してあげることができるようになりました。まずは大きな目標ではなく、小さな目標から学びをスタートさせて、学びを積み重ねていってほしいと思います。
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