仮想GPUで実現するデジタルワークスペースの新たな未来:NVIDIAとOmnissaのパートナーシップを語り合う

CPUだけの仮想デスクトップ環境(VDI)を利用するテレワークでは、負荷の高いアプリケーションの利用時だけでなく、オフィスソフトウェアやWeb会議などの日常的な業務にも問題が発生することがある。こうした状況を打開するため、エヌビディアとOmnissaがタッグを組み、仮想化向けGPU「NVIDIA vGPU」を搭載した新たなVDI環境を提案している。

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» 2025年03月31日 10時00分 公開
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 近年、PCやスマートデバイスの多くがGPUを標準搭載するようになっている。しかし、仮想デスクトップ環境(VDI)などの仮想環境はその限りではない。GPUを搭載していないVDIを利用している場合、CPUに大きな負担がかかり、アプリケーションの利用時にパフォーマンスの低下などの問題が発生しがちだ。

 このような問題を解決するために、仮想化向けGPU「NVIDIA vGPU」を提供するエヌビディアと、包括的なデジタルワークプラットフォームを提供するOmnissaは連携を強化し、新たなVDI環境を積極的に提案している。グラフィックス処理をGPUに任せてCPU負荷を軽減することで、パフォーマンス改善による業務効率化や、サーバ1台あたりの仮想マシン集約率向上、運用保守業務の削減などを実現している。

 エヌビディア日本法人代表の大崎 真孝氏と、Omnissa日本法人代表の竹下 雄輔氏が、仮想GPUで実現するデジタルワークスペースの未来について語り合った。

※以下、敬称略。

日本を重点市場と位置付けて、事業に取り組む

――最初に自己紹介とそれぞれの事業についてお話しください。

エヌビディア 日本法人代表 兼 米国本社副社長
大崎 真孝氏

大崎 私はエヌビディアに2014年に入社し、現在は日本法人代表と米国本社副社長を務めています。エヌビディアは「世界の困難な課題に挑む」というビジョンの下、コンシューマーや組み込み機器、グラフィックス、コンピューティング、データセンターやAI向けのGPU、CPU、DPU、さらにソフトウェアビジネスなどを展開しています。

 日本には200人ほどの社員がおり、主に日本企業のサポートをしています。グローバルでは米国、ヨーロッパと中国を含むアジア、そして日本の4つのリージョンに分かれています。歴史的に見て、エヌビディアは日本のパートナーと強い信頼関係で結ばれていて、戦略的に重要な役割を果たしてきました。そうしたいきさつもあって、日本は独立したリージョンとして本社に直結しています。

Omnissa Japan カントリーマネージャー
竹下 雄輔氏

竹下 私は2024年10月にOmnissa Japan立ち上げと同時に、カントリーマネージャーに就任しました。Omnissaは「どこからでも最高の仕事ができるデジタルワークスペースの提供」を掲げる、ワークスペースセキュリティの専業ベンダーです。仮想デスクトップとアプリケーション、統合エンドポイント管理(UEM)、セキュリティとコンプライアンス、デジタル従業員体験(DEX)の4つの軸で事業を展開しています。

 Omnissaも、グローバルでは米国、英国、フランス、ドイツ、日本の5カ国を重視していることから、日本法人は本社との関係も緊密で、迅速な意思決定ができるようになっています。

「GPU分身の術」でVDIのパフォーマンスを最大化

――GPU技術の現状と未来についてお聞かせください。

大崎 CPUは数コアから数百コアを持ち、パソコンやサーバの全体処理を行うコンピュータの頭脳です。一方、GPUは数千コアから数万コアを持ち、グラフィックスと計算の頭脳で、大量の処理を一斉に実行します。CPUはいわば「総合職」で、GPUは「専門職」なのです。

 近年はPCにもGPUが搭載されるようになっていますが、VDIなどの仮想環境では現在でもGPUが搭載されていないことが多く、CPUに大きな負担がかかっています。そのためVDIでテレワークをすると、Web会議でカメラが使えないなどのパフォーマンス問題が発生することがあります。グラフィックスやコンピューティングを扱うプロフェッショナルユーザーは、そもそもテレワークができないという問題も抱えています。

 そこで、エヌビディアが提案しているのが「GPU分身の術」です。サーバに搭載された1枚のGPUを仮想GPU(vGPU)として分割し、複数台の仮想マシンで高いコア性能を効率的に共有します。ハイパーバイザーに「NVIDIA vGPUマネージャー」をインストールすることで、費用を抑えて多くのユーザーがGPUを使用できるようになります。GPU分身の術を使った仮想基盤は、今まで仮想化では不可能だった「DX推進仮想基盤」という使い方ができます。VDIによるスムーズなテレワークや3Dグラフィックス、デジタルツイン、AI、データアナリティクス、HPCの可視化、シミュレーションなどを、仮想レイヤーで高いパフォーマンスで動作させることができます。

エヌビディアが提案する「GPU分身の術」(出典:エヌビディア提供資料)

 エヌビディアはDX推進仮想基盤について「不可能を可能にする仮想ワークスペース」と「AI・デジタルツイン基盤」の2つの活用方法を提案しています。これによって、ユーザーは軽量ノートPCからでもデバイススペックに依存しない作業環境を実現し、ファイルアクセスの高速化と、データセンター内での大規模なデータ活用とデータ保護が可能になります。そして、場所や時間の制約を改善して、戦略的なDXを進めることができるのです。

どこからでも最高の仕事ができる環境の実現

――デジタルワークスペースの可能性について教えてください。

竹下 これまで多くの日本企業は、従業員がデータセンターや自社ネットワークに社内からアクセスすることを前提にITインフラを構築してきましたが、コロナ禍以降はテレワークが浸透しています。オフィス回帰の動きもあるものの、働きやすさや効率性などの面から見て、デバイスや働く場所の多様化は確実に進んでおり、デジタルワークスペースの可能性は大きく広がっています。

将来のデジタルワークスペース(出典:エヌビディア提供資料)

 Omnissaの主力製品である「Horizon」をベースにしたVDIも、従来はデータセンターに社内からアクセスする方法がほとんどでした。しかし、テレワークが広がる中でさまざまな場所からのクラウドへのアクセスや、グラフィックスなどの強力なコンピューティングパワーの利用が求められるようになりました。

 ところが、CPUだけのVDI環境ではWeb会議や負荷の高いアプリケーションには対応できないという課題があります。NVIDIA vGPUを活用することで、ユーザーの使い方の変化や負荷の高いアプリケーションにも柔軟に適応できるため、次世代の仮想化プラットフォームとして大きな可能性を持っていると思います。

NVIDIAとHorizonでパフォーマンスの大幅な向上を実現

――エヌビディアとOmnissaの連携によるシナジーはどのような形で発揮されるのでしょうか。

竹下 この20年ほど、OmnissaのソリューションはVDIやデバイスマネジメントの領域で事業を展開してきました。その中で特に日本のお客さまになじみ深いのはVDIであり、現在ほとんどのお客さまはCPUをベースにした設計と、昔ながらのアプリケーションの使い方をしています。エヌビディアが提案している領域はとても進化が速いので、連携してソリューションを提供することで、エンタープライズのお客さまにとっては先を見据えたプラットフォームとなり、大きなメリットがあると思います。

大崎 テクノロジーが進化する中で、CPUに大きな負荷がかかる状況が増えています。それに対応するためには、NVIDIA vGPUを活用し、性能を上げながらコストを抑えることが重要です。Omnissaとの協業は、その最適な解決策となります。

竹下 日本のお客さまはガバナンスを利かせたIT環境を維持するためにセキュリティを重視しています。エヌビディアとはセキュリティを保証しながら、グラフィックスやAI活用を含めて今までとは異なった形の柔軟なコスト構造のソリューションを一緒に作り上げていきたいと考えています。

大崎 オフィスユーザー向けの仮想環境では、CPUが全体を処理し、GPUでグラフィックス処理をした場合、CPUの負荷を約10~60%削減し、ユーザーの体感も約34%向上します。パフォーマンスと、サーバ集約率も改善します。通常、3000VM(仮想マシン)のVDI環境では60台のサーバが必要になりますが、NVIDIA vGPUを活用することで必要なサーバは36台減の24台になり、仮想化やソフトウェア保守、作業費なども大幅に削減できます。

 ある国内大手ITサービス企業は2012年にVDIを導入しましたが、2020年のコロナ禍以降にCPU負荷が急増しました。2022年にサーバを増設して仮想マシンを分散してもパフォーマンスが改善されないため、従業員の不満が増加。VDIの利用をやめ、物理PCに移行することも視野に入れていました。

 2024年に、NVIDIA vGPUとHorizonの組み合わせで課題を解決できることを発見し「VDIをやめるのを止めて」新たなVDI基盤に刷新。パフォーマンス改善による業務の効率化と従業員満足度の大幅な向上を実現しました。

 ある国産自動車メーカーは、生産技術業務用のワークステーション5000台の運用保守が限界を迎えたことから、NVIDIA vGPUとHorizonのVDI環境を導入し、運用保守業務を大幅に減らすことができました。

両社の連携を強化し、新たなVDI環境を積極的に提案

――今後、協業はどのように展開されるのでしょうか。

大崎 近年、グラフィックスとAIの融合が大変な勢いで進んでいます。例えば工場のデジタルツインは産業メタバースの世界を作り、仮想空間でグラフィックスとAI活用やシミュレーションを実現しています。このような大規模なデータをフルに駆使するためには、データセンター内でのデータやコンピューティングリソースの活用が必要です。

 日本でもこうした取り組みを進めている企業が多数出てきていて、どの場所からでもセキュアにパフォーマンス良く作業できるエヌビディアとOmnissaのテクノロジーを組み合わせた仮想環境のソリューションは、今後ますます重要になっていきます。

竹下 エヌビディアと一緒に展開していく、新しいソリューションはまだ十分に認知されていません。現在、Omnissaではエグゼクティブ・ブリーフィング・センターの開設を準備していますが、そこでお客さまにNVIDIA vGPUによるDX推進仮想基盤を積極的に提案し、認知度を上げるとともに、導入を支援したいと計画しています。

※本稿は、Omnissa Japanからの寄稿記事を再構成したものです。

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提供:Omnissa Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年4月30日