AIを活用した個人レベルのプログラミング(バイブコーディングなど)は急速に広まりました。しかし、企業がAI活用を開発組織全体に展開してビジネス価値を生み出そうとすると、コスト管理やガバナンス、既存資産の継承といった複雑な課題に直面します。アイティメディア統括編集長の内野宏信と、日本IBMの張重陽氏による対談を基に、次世代のAI駆動開発アプローチをQ&A形式で解説します。
いまやシステム開発に欠かせない手段になったAIコーディング。昨今はコーディングにとどまらず、開発ライフサイクル全体をカバーするAI駆動開発が浸透しつつあります。
本記事では、日本IBMの張重陽氏とアイティメディア統括編集長の内野宏信による対談を基に、AIの開発組織全体への展開を阻む「構造」「基盤」「人」という3つの壁を解説。さらに、次世代AI駆動開発パートナー「IBM Bob」と標準プロセス資産「ALSEA」の活用を通じて複雑な大規模開発やレガシーモダナイゼーションにおいて開発プロセスを再定義し、組織の限界を超えるための実践アプローチをQ&A形式で解説します。
Q 開発業務におけるAI活用の最新トレンドと、企業が直面している課題は何ですか。
A 開発業務でのAI活用は、個人の作業効率化から「開発組織全体への展開」に大きくシフトしています。
AIの企業活用が進む一方で、生成されたコードのレビュー体制やガバナンスの確保、トークンコスト増加への対応といった課題が顕在化してきました。アイティメディアの内野宏信も、個人レベルの活用から全社展開へ移行する中で、成果よりも管理上の課題が注目されやすくなっていると指摘しています。
日本IBMの張重陽氏は、AI駆動開発の実践形態を、非エンジニア向けの「バイブコーディング」、重要システムを担うエンジニア向けの「仕様駆動開発」、そしてその双方を組み合わせた「ハイブリッド」の3つに分類し、目的に応じた組織的アプローチの重要性を提示しています。
Q エンタープライズ開発において、AIの開発組織全体への適用を阻む主な課題(壁)は何でしょうか。
A 日本IBMは、主な原因として「構造」「基盤」「人」という3つの壁を挙げています。
1つ目は、コスト効率の把握やセキュリティ、コンプライアンスを担保する仕組みの不足による「構造的な壁」です。2つ目は、SaaSやオンプレミスが混在するハイブリッド環境全体にAIを適用する難しさという「基盤の壁」。そして3つ目が、スキルギャップを埋める教育や環境整備が追い付かず、現場に定着しない「人の壁」です。
Q 「IBM Bob」とはどのようなツールですか。
A IBM Bobは、開発の各工程においてコスト効率や安全性、セキュリティを担保しながら対話型で開発を進められるAIエージェント駆動のツールです。
IBM Bobは人の判断や考察を重視しており、コード分析を行う「Ask」、計画策定の「Plan」、自動生成やテストを担う「Agent」、自社固有ルールに対応する「Custom」という複数のモードを備えています。IBMの大規模開発ノウハウを体系化した「AI Lifecycle Shared Engineering Artifacts」(ALSEA/アリーシア)と組み合わせることで、組織全体で再現性の高いAI駆動開発を実現します。
Q AIはドキュメントがないレガシーシステムや独自仕様のシステムにも有効ですか。
A ドキュメントが不足しているレガシーシステムに対しても非常に有効です。
IBM Bobを活用することで、ブラックボックス化したCOBOLやRPGのソースコードを解析し、現状の可視化や仕様書、ドキュメントの復元を効率的に進められます。国産ベンダー独自のメインフレームであっても、独自のデータベースや文字コードといった周辺部分を除けば、業務ロジック自体は標準的な言語で記述されていることが多く、コードそのものから仕様を読み解くことで着実にモダナイゼーションを推進できます。
Q AI駆動開発を導入することで、エンジニアの役割や働き方はどのように変化しますか。
A エンジニアの役割は、単にソースコードを書く「作業者」から、AIパートナーと協働してビジネス価値を最大化する「価値の創出者」に変化します。
AI駆動開発パートナーであるIBM Bobを導入することで、これまでエンジニアの時間を奪っていたコード生成やテスト、複雑な既存コードの可視化、仕様書作成といった作業が効率化されます。エンジニアは作業負担から解放されて「どのようなビジネス価値を実現したいか」という上流の設計や創造的な業務に注力できるようになります。
AIを単なる個人の効率化ツールにとどめず、組織全体の開発能力として定着させるには、「構造」「基盤」「人」の壁を超える標準化されたアプローチが不可欠です。IBM BobとALSEAを活用したAI駆動開発は、レガシーシステムのモダナイズから最新の開発ライフサイクルの再定義まで可能にし、エンジニアが本来の創造性を発揮できる環境を提供します。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年10月14日