VM移行のダウンタイムを極小化し、ランサムウェア対策とデータ保護も実現する仮想化基盤刷新の現実解:継続的データ保護(CDP)製品の意外な使い道

仮想化基盤ソフトウェアのライセンス体系変更によってIT戦略の見直しを迫られた企業は、代替製品への移行を積極的に検討している。ただし移行先の選定や、移行時のダウンタイムの最小化といった課題を前にして、計画が停滞するケースもある。短時間で仮想化基盤を移行し、移行後もDRやランサムウェア対策として活用できる実践的な手段を紹介する。

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» 2026年10月21日 10時00分 公開
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 BroadcomがVMwareを買収してから約3年が経過した。買収後に実施されたライセンス体系の変更は市場に影響を与え、ユーザー企業は運用コストの増加に直面した。利用期間が長いほど「既存の仮想化環境をこのまま維持したい」と考えるのは無理もない話だが、コストの増大は将来的なIT戦略や運用方針に影響を及ぼす。そのため、代替となる仮想化基盤への移行を本格的に検討する企業は増えつつある。

 移行先の選定や移行手法の策定は容易ではない。「どのハイパーバイザーを移行先にするのか」「ダウンタイムを抑えてどのように移行するのか」といった基本方針が定まらず、計画が停滞しているケースも見られる。こうした課題を踏まえて、システムの停止時間を最小限に抑えつつ確実な移行を可能にする新たな仮想化基盤と移行手法が注目を集めている。

VME 9系へのアップデートで旧バージョンの課題を解消

 VMware製品の代替となる候補の一つは、HPEの仮想化ソフトウェア「HPE VM Essentials Software」(以下、VME)だ。Linux KVMベースのハイパーバイザーに、HPEが2024年夏に買収したMorpheus Dataのマルチクラウド管理ツールを組み合わせたものだ。ライブマイグレーションやHA(高可用性)クラスタリング、外部ストレージ接続(NFS/iSCSI/FC)など、エンタープライズレベルの要件を満たす機能を備える。HPE製サーバに限らず各社サーバへの導入が可能だ。日本ヒューレット・パッカードの武居健一氏は「VMEの導入企業はグローバルで2000社以上、国内で200社を超えています。VMEの技術検証と導入が進み、2026年に入ってからも弊社への問い合わせはさらに増えています」と語る。

武居氏 日本ヒューレット・パッカードの武居健一氏(データソリューション事業統括本部 データソリューション技術部 シニアテクノロジーアーキテクト)

 VME普及の背景にあるのは、バージョン9.0系(2026年6月の9.0.0および同年7月の9.0.1 LTS)のリリースだ。リリース当初のバージョン8.0系で報告されていた、クラスタ管理やHA、ディスク管理機能(GFS2)などの問題をバージョン9.0系は解消して安定性と信頼性を向上させている。「VMEの安定性・信頼性は飛躍的に向上し、自信を持ってお客さまにお勧めできる仮想化基盤になりました」と武居氏は強調する。HPEのサポートサイト「My HPE Software Center」から無償の評価ライセンスを入手でき、他社製サーバを用いた検証も可能だ。

Zertoによる移行でダウンタイムとコンバージョンの課題を解消

 仮想化基盤の移行先を決めたら、次の課題は既存環境からの移行手段だ。異なるハイパーバイザー間での移行には、システム停止時間やVM(仮想マシン)のイメージ変換(コンバージョン)に伴う動作不良などの懸念がある。

 この課題には、継続的データ保護(CDP)製品の「HPE Zerto Software」(以下、Zerto)が解決策になる。CDP製品だからこそ災害復旧(DR)やランサムウェア対策の用途を想定しがちだが、仮想マシンの移行にも役立つ。特筆すべき点は、システムの停止時間を最小限に抑えられることだ。

 日本ヒューレット・パッカードの國分功氏は「『VMware vSphere』環境からVME環境への移行で、ZertoはVMのイメージ変換を伴いません。稼働中のシステムの変更差分を継続的に同期するため、データ損失を抑えて短時間での移行を可能にします。システムの停止時間は、最終差分データを送る(同期する)までのわずか数分程度です」と説明する。

國分氏 日本ヒューレット・パッカードの國分功氏(パートナー営業統括本部 ストレージ営業部 パートナービジネスマネージャー)

 この説明通りの移行が可能なのかどうか、SB C&Sが検証した結果を紹介しよう。同社は社内に移行元サイト(VMware vSphere)と移行先サイト(VME)の実機環境を用意し、WindowsをゲストOSとして稼働している容量約100GBのVMを移行した。SB C&Sの金井大河氏は「VMEの標準移行ツール『Bulk Migration』を使用した場合のシステム停止時間は26分でしたが、Zertoを使用した場合の停止時間は約3分でした。もちろん移行時間は環境やデータ容量に依存しますが、標準ツールに比べてZertoは停止時間を大幅に抑えられますので、この点は大きなメリットだと感じました」と説明する。

金井氏 SB C&Sの金井大河氏(ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部 第1技術部 2課)

 SB C&Sはシステム停止時間の短縮の他にもZertoの主要機能を検証した。「本番移行前のテスト移行や、本番切り替え後(デフォルトで約1時間)の動作確認が可能な点は有用です。問題が発生した場合は移行元の環境にロールバックできます。移行前に設定したIPアドレスを移行先に反映する機能も備えており、従来は手動設定が必要だったことを考えると効率化が期待できます。今回の検証でも、ロールバックして元の状態へ正常に戻せることを確認しました」

図1 図 Bulk MigrationとZertoの比較(提供:SB C&S)《クリックで拡大》

移行後もDRやランサムウェア対策として活躍するZerto

 移行が完了した後も、ZertoはそのままDRやランサムウェア対策の用途で活躍する。一般的なバックアップ製品では、日次バックアップの復旧ポイントは最大24時間前になるが、Zertoは継続的なレプリケーションによって数秒間隔で復旧ポイントを保持する。システム障害やサイバー攻撃が発生した直前の状態を選択して復元することで、ダウンタイムを最小化できる点が強みだ。

 ランサムウェア対策では、レプリケーション中に動的エントロピーを用いて異常を検知する機能を備える他、「CrowdStrike」「Microsoft Defender」などのEDR製品とAPI連携して、不審な振る舞いが検知された時点を復旧ポイント上に示す。「EDRと連携して『感染の直前』をより精密に特定できます。オンプレミスだけでなく、クラウドインフラをDRサイトとするハイブリッドクラウド運用でも同じように使えます」(國分氏)

 Zertoのサービスは「移行用ライセンス」「ECE(Enterprise Cloud Edition)ライセンス」「ARE(Advanced Resilience Edition)ライセンス」の3種類がある。仮想化基盤の移行のみを目的とする場合は移行用ライセンスを1VM単位で購入可能だ。移行用ライセンスはDRやランサムウェア対策の機能を含まないため比較的安価な上に、システム全体で重要なVMだけに適用することでコストを抑制できる。システムの保護要件が高まった段階でECEライセンスやAREライセンスへのアップグレードも可能だ。

図2 図 Zertoが実現する3つのメリット(提供:SB C&S)《クリックで拡大》

 武居氏は「VMware vSphere 8のサポート終了に向けた仮想化基盤のモダナイズ、ランサムウェア対策、データ保護を一貫して実現できる選択肢として、VMEのバージョン9.0系とZertoの組み合わせを検討していただきたいです」と述べる。金井氏も「SB C&SはHPEと協力し、技術ブログ『C&S ENGINEER VOICE』での情報発信や詳細な移行手順をまとめたホワイトペーパーの提供を通じて、IT担当者や販売パートナーの導入を引き続き支援します」と意欲を示した。

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提供:SB C&S株式会社、日本ヒューレット・パッカード合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2026年11月20日

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