Apacheの基本インストール:ApacheによるWebサーバ構築(3)(1/5 ページ)
Apacheについて理解できたところで、今回から2回に分けてApacheのインストール方法を解説する。まずは標準モジュールとApacheのコンパイル/インストール方法をマスターしよう。
前回までApacheの概略を紹介してきたが、今回はいよいよApacheをインストールしてみるとしよう。また、ここで紹介するインストール手順はApache以外のオープンソース・ソフトウェアにも応用できる。多くのオープンソース・ソフトウェアも、ここで紹介する方法とほとんど変わらないからである。
コンパイルとは?
Apacheを最も簡単にインストールする方法は、OSに合わせてコンパイルされたバイナリファイルを見つけ、それをコピーする方法だ。Linux/Solaris/HP-UX/AIXなど、大半のプラットフォームはインターネットで公開されたファイルを見つけられるだろう。しかし、以前にも紹介したとおり、コンパイル済みのバイナリでは自分の好みに合わせたカスタマイズは期待できない。
例えばSSLを使いたい場合や、PHPをDSOで使いたい場合には、それに応じたカスタム・インストールが必要となる。それには、自分でApacheのソースコードを入手し、コンパイル前にカスタマイズ設定をしなくてはならないのだ。「コンパイル」というと難しそうに感じるかもしれないが、Linuxの基本的な操作が理解できていて、多少の問題にもあきらめることなく立ち向かう気力さえあれば、必ずApacheをインストールできるはずだ。
なぜコンパイルが必要なのか
「コンパイル」(compile)を日本語に訳すと、「まとめる」とか「編集する」「寄せ集める」といった意味になる。Apacheをはじめとするアプリケーションは、C言語と呼ばれるプログラム言語を用いて作成されているが、1つのプログラムはたいてい複数のファイル(ソースコードなど)から成っている。これに由来するのだろう。
コンパイルを行うと、プログラムの無駄を取り除いて最適化するなどしたうえで、プログラムコードをコンピュータが理解できる機械語(バイナリコード)に変換する(ソースコードは人が理解できるテキストで作成される)。つまりコンパイルとは、この機械語への変換作業なのである。これを行わなければ、C言語のプログラムを実行することはできない(図1)。
厄介なことに、ハードウェアやOSごとに機械語が違っていたりする。このためバイナリファイルを用意しただけではあらゆるケースに対応できないのである。そこで、自分の環境に合わせたコンパイルを行うか、だれかが同じ環境でコンパイルしてくれた結果を使うしかない。この作業は面倒かもしれないが、ソースコードを開けばプログラムを見ることもできるし、その気になれば改造することもできる。これらのソースコードは、プログラムの書き方や、Webサーバの動作原理を知るうえで非常に有益なものだ。まさにオープンソース万歳! である。
ちなみに、コンパイルを行うためのアプリケーションを「コンパイラ」というが、このコンパイラにもいろいろな種類が存在する。CやJavaなど、言語別にコンパイラが存在するのは当然だが、同じC言語用のコンパイラにも複数の種類が存在する。コンパイラが違うと、プログラムの最適化手順が違っていたり、解釈できる命令に若干の差(方言のようなもの)があったりする。それゆえに、たいていのアプリケーションでは、「コンパイルするときには何々コンパイラを使ってほしい」などといった指定がある。このあたりの歴史や現状を調べてみるだけでも、十分面白い研究対象になるほどである。
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