Apacheの基本インストール:ApacheによるWebサーバ構築(3)(2/5 ページ)
Apacheについて理解できたところで、今回から2回に分けてApacheのインストール方法を解説する。まずは標準モジュールとApacheのコンパイル/インストール方法をマスターしよう。
インストールの準備作業
Apacheの入手
Apacheのソースコードの最新版を入手するなら、迷わず本家本元のサーバ(http://www.apache.org/)に行ってみよう。ここからリンクされているhttp://httpd.apache.org/dist/で各バージョンのApacheを入手することができる。ソースコード自体に日本語版も何もないから、ここからダウンロードすれば最新のものが手に入る。
ついでなので、筆者が利用したことのある、バイナリファイルを配布しているサイトも紹介しておく。コンパイルが面倒だったり、コンパイル時に必要なツールが足りない場合は、これらのサイトを利用するのもいいだろう。
- Turbolinux用 http://www.turbolinux.co.jp/download/
現時点では、Apache-1.3.14のRPMがある。
ftp://ftp.turbolinux.co.jp/pub/TurboLinux/stable/tested/6/i386/apache-1.3.14-7.i386.rpm - Red Hat Linux用 http://www.redhat.com/apps/download/
こちらも同じく、Apache-1.3.14のRPM。
http://www.redhat.com/swr/i386/apache-1.3.14-3.i386_dl.html - Solarisユーザーには必見のサイト http://sunsite.sut.ac.jp/
Solaris2.6(SPARC)用では、現時点でApache-1.3.3があった。
ftp://SunSITE.sut.ac.jp/pub/sun-info/Solaris/sparc/2.6/apache-1.3.3-sol26-sparc-local.gz
Solaris8(SPARC)用の場合は、Apache-1.3.12。
ftp://SunSITE.sut.ac.jp/pub/sun-info/Solaris/sparc/8/apache-1.3.12-sol8-sparc-local.gz
ソースコードの解凍
それはさておき、早速インストールを進めていくとしよう。Apacheのソースコードは、tarで1つにまとめた後、さらにgzipで圧縮したファイル(tar.gz)になっている。まずはこの逆の手順でファイルを解凍し、ソースコードを元の状態に復元する。
コラム 必要なディスク容量
Apacheそのもののインストールに必要なディスク容量はおおよそ3Mbytesと、意外に小さい。しかし、モジュールを追加したりすればそれ以上のディスク容量が必要になる。もちろん、Apacheを使って公開するコンテンツのために、別途ディスク容量が必要となる。
このほか、インストール時にはソースコードの展開などのために12Mbytes程度のディスク容量が必要になる。
このとき、入手したファイルをどこに置くか、どのユーザーで解凍するかは皆さんの自由である。しかし、あえてrootユーザーを避けて一般ユーザーで行うくらいの方が、おかしなところにファイルを作るなどの間違いを犯す心配がなくていいだろう。筆者も「ichishi」というユーザーを作成し、/home/ichishiの中にファイルを置いて解凍するようにしている。
ファイルを解凍すると、バージョンに応じたディレクトリ(/home/ichishi/apache_1.3.14など)が作成され、圧縮されていたファイルが展開される。これらがApacheのソースコードであり、コンパイルに必要な各種のファイルである。ソースコードに興味のある方は、作成されたディレクトリの中に「src」というディレクトリがあるはずだから、その中を参照してみてほしい(拡張子がcのファイルがメインのプログラム類だ)。
さて、肝心の解凍手順だが、以下のようなコマンドを使えば一度に解凍できる。以下では、2001年3月現在の最新バージョンであるApache 1.3.19を例に説明する。
$ tar -zxvf apache_1.3.19.tar.gz
このコマンド(tar)でzオプションを使うと、gzipとtarを一度に解凍できる。しかし、商用UNIXに搭載されているtarコマンドの場合は、zオプションが使えないことが多い。その場合は、以下のようにgzipで解凍してから、そのファイルをtarで展開する。
$ gzip -d apache_1.3.19.tar.gz $ tar -xvf apache_1.3.19.tar
必ず見るべき2つのファイル
作業の前に、ファイルを解凍して作成されたディレクトリ(以下ソース・ディレクトリ)に移動し、「README」と「INSTALL」の2つを見ておきたい。これらは2つとも単なるテキストファイルだから、moreやlessで見ることができる。
$ cd apache_1.3.19 $ less README (あるいは) $ less INSTALL
READMEには、そのバージョンを使ううえでの注意事項やApacheについての簡単な説明が書かれている。INSTALLには、インストールの方法やインストール時の注意事項などが書かれている。また、これらのドキュメントにはインストールに必要なツール(とそのバージョン)などが書かれている場合もある(補足1)。
どちらも英語なので少々読みづらいと思うが、さらっとでも目を通したいところだ。Apacheに限らず、この手のファイルには、案外重要な情報が含まれている。上記の2つ以外にも関連するファイルがあるから、余裕があれば1つ1つ見ておいてほしい。
コンパイル前設定を行うconfigure
ここまでできたら、インストール前の準備を行う。ここでの作業は「コンフィグ」と呼ばれ、Apacheのインストールオプションの設定を行うものだ。この作業をWindowsのアプリケーションに例えると、インストーラでカスタムインストールを選択し、自分が使いたいコンポーネントを選択する画面に相当する。
ソースディレクトリで
$ ./configure --help
と入力してみてほしい。何やらドサッとメッセージが表示されると思う。この「configure」というのが設定を行うためのコマンドで、表示されたメッセージは、設定できる内容についての説明書きになっている。
設定内容といっても、実はそれほど多くない(表1)。よほど特別な場合や特殊な環境でのインストールでなければ、決めるべきはインストールするモジュールだけとなる(補足2)。それも、一般的なモジュールはデフォルトでインストールされるから、それ以外で追加・削除するようなモジュールは限られるだろう。
$ ./configure (オプション)
を実行してコンパイル前の設定を実施する。ここで実行したconfigureの内容は、同じディレクトリに「config.status」というファイル名で保存されている(リスト1)。もしも、若干の変更を加えてもう一度実行したければ、このファイルの内容を修正して「./config.status」と実行すればいい。
#!/bin/sh ## ## config.status -- APACI auto-generated configuration restore script ## ## Use this shell script to re-run the APACI configure script for ## restoring your configuration. Additional parameters can be supplied. ## ./configure \ "--enable-rule=SHARED_CORE" \ "--with-layout=Apache" \ "--enable-module=so" \ "--enable-module=status" \ "--enable-module=info" \ "--enable-module=rewrite" \ "--enable-module=usertrack" \ "$@"
./configureを実行すると画面に進行状況が表示されるが、何かエラーがあると作業はそこで中断される。一見うまくいったように見えてもエラーになっていることがあるから、作業が終わったら画面をもう一度よく確認しておこう。特に問題がないようなら、次の作業に進むことができる。
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