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履歴書の正しい書き方、効果的な書き方とは?:2005年秋編履歴書の正しい書き方、効果的な書き方とは?

転職に必要となる書類のうち、必須、かつ最も基本的な書類「履歴書」。その効果的な書き方について、元IT系人材ビジネス企業の採用担当者が解説します。なお、この記事は「@IT自分戦略研究所 Weekly」のメールマガジンで連載したコラムに加筆修正したものです。

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@IT自分戦略研究所からのお知らせ〜この記事の最新版、「2008年編:履歴書の正しい書き方、効果的な書き方とは?」を公開いたしました。サンプル図版や写真を大幅に追加し、内容も更新しています。併せてご覧ください。


なぜか〜履歴書の情報は少ない!?

 今回、なぜわたしが履歴書の書き方を解説するのかというと、転職に必要な書類「職務経歴書」については多くの場所で語られているのに対し、同様に必要な「履歴書」についての情報がまだまだ少なく、その重要性に対しての認識が一般的に認知されていないのではないか、と危ぐしたからです。

 転職の第一関門「書類審査」であなたが自分を表現できるのは、履歴書と職務経歴書の2種類の書類です。では、その2つの役割の違いは何でしょうか。企業の採用担当者から見ると、職務経歴書はあなたの「知識と経験」を、履歴書はあなたの「人となり」を読み取るものです。それでは採用担当者は、あなたの履歴書のどのような点に注目しているのでしょうか。それは、大きく次の2点です。

(1)この会社で働きたい、という意欲が伝わるか

(2)相手(採用側)に読まれることを意識した書面になっているか

(1)はともかく、(2)についてはあまり意識したことがない方も多いのではないでしょうか。履歴書も一種のビジネス文書です。相手に自分の伝えたいことが正確に伝わって、初めて意味をなすのです。

 では上記2点を踏まえたうえで、項目ごとに説明しましょう。

【用紙】〜履歴書にも種類がある

写真1 履歴書用紙は間違ったものを購入しないようにしましょう
写真1 履歴書用紙は間違ったものを購入しないようにしましょう

 履歴書は、一般的には市販の用紙に直筆で書かれたものが好まれます。応募要項に用紙が指定されていない場合もありますが、“形式自由”と明記されていない場合は、市販の履歴書を使用する方が無難でしょう。

 このときに注意したいのが、履歴書用紙の選び方です。履歴書には「新卒用」と「転職者用」があるのをご存じでしょうか。「新卒用」の履歴書には「得意な学科」「保護者」などの項目があり、すでに社会経験がある転職者には不向きです。対して「転職者用」の履歴書には、「セールスポイント」などの項目があり、あなたの「人となり」をよりアピールすることができます。この履歴書の種類はパッケージに書いてありますので、購入するときは間違えないように注意してください。

 応募要項に“形式自由”と明記されている場合は、Wordなどで作成してみるのもよいでしょう。ただし、この場合でも名前と日付だけは直筆にしてください。用紙サイズは職務経歴書と同じ大きさにするとスマートです。記入項目は、市販の履歴書の項目に加え、自分を特徴づける項目を付け足すと、よりパワフルにあなたをアピールすることができます。

ちょっとポイント

まれに転職雑誌に付録で付いてくる履歴書を使われる方がいらっしゃいますが、これはあまりお勧めできません。必要な費用をけちっていると取られ、応募先の会社が軽く扱われているような印象を与えかねないからです。


【写真】〜唯一のビジュアル情報

 写真は、採用担当者にとっては本人を知るための大切な手掛かりです。履歴書の中で唯一のビジュアル情報ですので、この中から社会人としてきちんとしたマナーを携えている人かどうかということを読み取るのです。「この人に会ってみたい」と採用担当者に思わせるようなものを用意しましょう。少し手間とお金がかかっても、写真館で証明用の写真を撮影してください。

写真2 この写真のように、友人などに撮ってもらうのはやめましょう。写真館などできちんと撮影してもらいましょう
写真2 この写真のように、友人などに撮ってもらうのはやめましょう。写真館などできちんと撮影してもらいましょう

 カラーコピー、カラープリンタで出力したものは好ましくありません。その理由は履歴書の用紙と同じく、費用と手間暇を省略していると取られ、入社への意欲を疑われてしまう可能性があるからです。わたしは、前職で1度だけプリクラをペタリと貼られた履歴書に遭遇したことがあります。正直、この方の入社意欲以前に、社会人としての常識を疑ってしまいました。

 写真撮影時の服装は、スーツもしくはそれに準ずるもの。色は濃いめが良いでしょう(表情がしまって見えます)。ヒゲや髪の毛が長い場合は清潔感を忘れずに。顔がはっきりと見えるように整えてください。

 女性はメイクにも注意を払ってください。濃過ぎるメイクはもちろんですが、ノーメイクもマイナスにとられる可能性があります。健康かつ理知的に見えるように、眉のライン・口紅の色など、日ごろから自分の顔に合うメイクを研究しておくとよいでしょう。

 撮影の瞬間は自信を持って。あごを引き肩を少しそり気味にすると、背筋が伸びます。

 せっかく素敵に撮れた写真です。履歴書に貼るときは、所定の枠内にまっすぐ貼るように注意しましょう。

【文字】〜読まれることを意識する

 字は多少下手でも構いません。それよりも、1文字ずつ丁寧に読みやすさを意識して書かれていることが大切です。誤字脱字はもってのほか。修正液や二重線での訂正も好ましくありません。別用紙に下書きをして、提出用に書く前に確認することをお勧めします。

【氏名、住所、連絡先】〜複数の手段を提示する

 丁寧に省略することなく書きましょう。住所は都道府県から、ふりがなも都道府県からすべて記入します。連絡先は、複数の手段(自宅電話、ファクス、携帯電話、電子メールなど)を明記すると親切な印象を与えます。

 また、日中連絡が取れる方法などを書き添えるのもよいでしょう。例えば、こんな1文を添えると、採用の過程で連絡がスムーズに取り合えるようになります。

「日中ご連絡いただける場合は、携帯電話の留守電にメッセージを残してください。折り返しこちらより当日中に連絡致します」

ちょっとポイント

ふりがな欄は、「ふりがな」と書かれている場合はひらがなで、「フリガナ」と書かれている場合にはカタカナで書きます。


【学歴】〜事実を脚色せずに書く

 小・中学校は卒業年度のみ。高校以降は、入学年度と卒業年度の両方を記入しましょう。大学は学部・学科まで記入します。留学経験がある方は、そのことも忘れずに記入しておきます。休学・中退などの経歴は、隠さずに書く方が賢明です。履歴書はあくまでも公的文書。多少自分にとって不利な情報でも、正直に書く方が、後々困ったことにならないのです。会社によっては、入社時に卒業証明書の提示を求めるところもあります。

【職歴】〜うそは禁物

 職歴は職務経歴書を別途作成して添えますので、履歴書の職歴欄では在籍した会社の入退社の記述にとどめ、具体的な職務内容は職務経歴書でアピールしましょう。

 職歴のうそは禁物です。在籍期間が短かった会社などはついつい省いてしまいたくなりますが、これは入社後にばれてしまう可能性があります。あなたが過去に在籍した会社の履歴は社会保険の記録に残っています。せっかく念願の会社から内定をもらったのに、保険の手続き中に職歴のうそがばれて、気まずい雰囲気になり内定辞退、なんて事態は悔やんでも悔やみきれませんよね。

ちょっとポイント

生年月日、学歴、職歴、そして資格取得年月。和暦と西暦を混ぜていませんか。集中力に欠けた人だと思われないように、どちらかで統一しておきましょう。


【免許・資格】〜取得時期も注目されている

 わたしが採用を担当していたときは、この項目からはその方の志向や傾向、向学心などを見ていました。そのため、業務に直接関係なさそうな免許や資格も記入してもらいたいと思います。ただ、資格なら何でも書いてよいわけではなくて、英検であれば2級以上、など世間的に認められるレベルのものを書きましょう。また、種類や数が多いときは別紙に一覧表にして書くなど、分かりやすく見せる工夫も必要です。

 内容と同じくらい注目されるのは、資格取得の時期です。バージョンアップに対応していないベンダ資格、何年も前のTOEICのスコアなど「取りっぱなし」感が漂うものは、資格の価値が半減してしまいます。逆に「最近取得した資格」からは、あなたの常に学ぼうとする姿勢が感じられます。

生年月日、学歴、職歴、そして資格取得年月。和暦と西暦を混ぜていませんか。集中力に欠けた人だと思われないように、どちらかで統一しておきましょう。

ちょっとポイント

現在資格取得のために勉強中のことがあれば、忘れずに書きましょう。まだ取得していない資格でも、向上心をアピールすることができます。


【趣味・特技】〜自分らしさを伝える

 あなたの自分らしさをアピールできる項目です。手を抜かずに書きましょう。

 趣味は「読書」「音楽鑑賞」などが一般的なのですが、一説によると「読書・音楽鑑賞は趣味ではない」という考え方もあるようです。なぜならば、これらは「受け身な行動だから」とのこと。とはいえ、本当にこれらが趣味の方が多いのも事実です。そこでこれらを趣味欄に書く場合は、好きなジャンルや作家などを具体的に明記することをお勧めします。あなたならではのエッセンスを伝えることで、ありがちな趣味も「イキイキとした情報」に変わります。

 特技も同様です。ただ項目を書くだけではなく、経験年数やスコアなどの具体的な数字を加えましょう。そうすることでその特技の習熟度合いを、そしてあなたの人となりを伝えることができます。

【志望動機】〜熱意を伝える

 履歴書の中で最も重要な項目です。ここでは「熱意」をアピールしましょう。「なぜこの会社に転職したいのか」「転職先に何を求めているのか」「入社できたらどんなことをしたい/できるのか」など、あなたの考えを“自分の言葉”で書いてください。

ちょっとポイント

採用側が知りたいのは「あなたについて」です。「御社の将来性に……」といったその会社の人がすでに知っていることだけではなく、「自分はここで何がしたいのか」を表現してください。


【マナー】〜してはいけないこと

 他社から返却された履歴書の使い回しは厳禁です。日付欄を修正液で消して書き直している、職歴の最後の1社だけ違う色のインクで書かれている、志望動機の内容がおかしい……、など履歴書を使い回した形跡は、採用担当者にはすぐ分かってしまいます。用紙や写真の項目でも書きましたが、必要な経費と手間暇を惜しむことは入社への意欲を疑われ、マイナスの印象を与えてしまいます。

総論〜良い履歴書とは

 良い履歴書とは、ひと言でいえば「一生懸命、誠実に書かれたもの」です。応募企業へのラブレターだと思って、あなたの人となりと熱意が相手に伝わるよう心を込めて書くように心掛けましょう。

さらに新しい履歴書の情報につきましては、この記事の最新版、「2008年編:履歴書の正しい書き方、効果的な書き方とは?」をご覧ください。サンプル図版や写真も大幅に追加しています。


筆者プロフィール

鈴木麻紀

GCDF-Japanキャリアカウンセラー。ITサービス系人材ビジネス会社で、人事採用とキャリアカウンセリングに約6年間従事。2004年春、アットマーク・アイティ入社。現在@ITジョブエージェントを担当している。


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