仕事もせずに残業する輩のメール内容を確認するには
律子さんの会社ではこれまであまりインターネットの私的利用についてとやかくいわなかったせいか、仕事中でも平気で私用メールを出している人が後を絶ちません。
会社もさすがに仕事中に遊ばれてばかりでは困るので、最近では私用のネットワーク利用はなるべく控えるよう通達が出されましたが、あまり効果はなく、めいめい勝手気ままに使っているようです。
ある日プロジェクトのリーダーになった陽一さんが、メンバーの拓司君が私用のメールを書いてばかりで、全然仕事をしていなかったのを見付けて、怒り心頭で律子さんの所にやって来ました。
陽一 「律子君、拓司なんだけど、最近出会い系か何かやっているらしくて、仕事もせずにメールばっかりやってるんだよ」
律子 「だからあんなに残業してるんですか。困った人ですね」
陽一 「そこで相談なんだけど、証拠を突き付けて、メールをやめるように仕向けてくれないか」
律子 「ご自分で直接話してみればいいじゃないですか」
陽一 「どうせしらばっくれるに決まってるからな」
律子 「それにしても、どうやって証拠をつかむんですか?」
陽一 「よく分からんけどできると思うので、頼んだ」
律子 「え、そんな」
自分のいいたいことだけいうと、さっさと陽一さんは立ち去っていってしまいました。いつも面倒なことを押し付けてきますが、律子さんもサラリーマンの端くれとして自分より偉い人には逆らわない主義です。
とはいえ、他人のメールなんてどうやって読めばいいのでしょう。律子さんはどうしていいのか分かりません。一番頼れそうな博君に相談してみることにします。困ったときには先輩も後輩もありません。
博君 「帰りまで待って直接拓司さんのマシンをのぞいちゃえばいいんじゃないですか」
律子 「それはいいね。頼んだよ」
博君に押し付けて律子さんは帰ってしまいました。博君は取りあえず、拓司君が帰るのを待っていますが拓司君はなかなか帰ってくれません。泣きそうになりながら待っていると、終電間際にようやく帰りました。
博君は拓司君のマシンに電源を入れて、直接ログインしようとしたのですが、悲しいことにログインするにはパスワードが分かりません。しばらく適当なものを入力して頑張ってみましたが、まったくダメです。
博君 「無理だよ」
社員のメールなど、個人情報の取り扱いについては「労働者の個人情報保護に関する行動指針」による指針があります。
ガイドラインには、「モニタリングは通知する配慮が望ましい」「実際に労働者に対して常時ビデオ等によるモニタリングを行うことは、労働者の健康及び安全の確保又は業務上の財産の保全に必要な場合に限り認められるものとする」「原則として、個人情報のコンピュータ等による自動処理又はビデオ等によるモニタリングの結果のみに基づいて労働者に対する評価又は雇用上の決定を行ってはならない」などとされています。
本記事はフィクションであり、記事の内容を実際に試す場合などは、上記のガイドラインなどを順守することが望ましいといえます。
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