なぜiPhoneは日本で使えないの?:5分でネットがわかるシリーズ(9)(2/5 ページ)
日本では使えないというAppleの携帯電話「iPhone」。日本と各国の携帯電話の通信規格とそのなぞについて解明してみましょう
携帯電話の「世代」を知ろう
このページでは、携帯電話が生まれた時代について解説をします。昔の携帯電話はなんと重量が7?もあったようです。
携帯電話の技術と仕組みを知る際に重要になってくるのが、「世代」です。最近よく「3G携帯」という単語を聞きますが、「3G」の意味はご存じですか? 3Gは「3rd Generation」の略なんです。だから「3G携帯」は「第3世代携帯」となります。
「世代」は携帯電話の接続技術が大きく変化するたびに変わっていきます。現在が第3世代まで実用化されていると、第1世代があるわけで、まずはそこから見ていきましょう。
携帯電話の元祖1G
第1世代携帯電話(1G=1st Generation)の通信規格は代表的なものが2つあります。共通していえることはすべてアナログ方式で、周波数の帯域をいくつかに区切って、チャンネルを割り当て複数ユーザーの通信を可能とする「FDMA方式」を採用している点です。アナログ携帯電話は音声データをそのまま電波に乗せており、1つの帯域に1通話を割り当てるため音声の質は高いですが、周波数は効率的に利用できず、また盗聴される危険性もありました。実際に広帯域受信機(とても高性能なラジオみたいなものです)を使えば、アナログ方式の携帯電話の通話ぐらいは簡単に聞けたようです。
日本の携帯電話の歴史は、1979年に始まった自動車電話のサービスから始まります。このサービスは、電話機本体は日本電信電話(電電公社現:NTT)からのレンタルで、保証金20万円、月額使用料金3万円、通話料金は6秒10円と、とても高いものでした。また通信端末も7kgもあり、車のトランクなどに搭載していたようです。その後、1985年に「ショルダーホン100型」という端末を使ったサービスも開始されます。文字通り、肩からぶら下げて通話をするのです。通信機器なのですが、重さはなんと3kgほどありました。見た目もいまの携帯とは違い、まるで軍用の無線です。
そして、電電公社から1987年4月に手軽に持ち歩きができる携帯電話のサービスが始まりました。携帯電話は「TZ-802型(参照:NTTドコモ歴史展示スクエア - 携帯電話)」といわれるもので、体積500ml、重量900gというサイズです。いまから考えると巨大ですが、「ショルダーホン100型」に比べるとだいぶコンパクトになっています。
当時利用されていた通信規格は「FDMA方式」(周波数分割多元接続)というものです。これは、1つの帯域に音声のデータ周波数をずらして、電波に乗せるといったものです。
第1世代ではFDMAを使って2つの通信規格が生まれています。1つは、同時通話に強い「NTT方式(HICAP)」というものです。1988年12月に電電公社だけでなく、日本移動通信(現:KDDI(au))がNTT方式を使って、携帯電話ビジネスに参入しました。
もう1つは、モトローラ社がイギリス向けに開発をした通信規格「TACS方式」です。NTT方式に比べて、同時に通話ができる人数が劣っています。がこの方式を採用している地域が多い、ローミングに強いといった点や、日米間の政治的な理由もあり、DDIセルラーグループ(現:KDDI(au))が、TACS方式を利用したサービスを開始しました。
第1世代の規格は現在日本ではもう使われておらず、NTT方式は1999年3月、TACS方式は2000年9月にサービスが停止されています。
方式名 | 利用国 |
---|---|
NTT方式 | 日本 |
TACS方式 | 日本、ヨーロッパ |
AMPS、NAMPS方式 | アメリカ |
NMT方式 | ヨーロッパ |
表1:第1世代携帯電話(1G) アナログ方式 |
いま見てみると、携帯電話のサイズが信じられないほど大きいですね。しかし、当時筆者の周りに「TZ-802型」のユーザーがおり、使わせてもらったのですが「電話線がないのに通話ができる!」という感動の方が大きかったです。では、次ページではデジタル方式となった携帯電話について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.