いつかは起きる「DHCPが止まる日」のために:もう一度見直したいDNS/DHCP(3)(2/3 ページ)
クライアントにIPアドレスを配布するDHCPサーバ、オフィスでは縁の下の力持ちとして利用されている場合が多いのではないだろうか。今回から2回にわたり、DHCPサーバの利用手法、そしてDHCPサーバを止めないための方法についてを解説する。
DHCPサーバの居場所
ここでは、一般的に使われているDHCPサーバについて説明していきたいと思います。
Linux、UNIXのDHCPサーバ
まずは、オープンソースを利用して構築している場合です。OSとしては、Linux、FreeBSDやSolarisなどの上で動いているかと思います。Linuxの多くのディストリビューションでは、ISC DHCPDが標準で収録されていますので、こちらを利用していると思います。設定方法については、多くのドキュメントをインターネット上に見つけることができますので、そちらを参考にしていただければと思います。
基本的には、エディタでdhcpd.confを編集して、払い出すIPアドレスのレンジやオプションを設定することになります。払い出されているIPアドレスの情報についても、ログインしてdhcpd.leasesを確認するか、syslogを確認することで見ることができます。
うまくIPが払い出されない場合なども、syslogを見ることでDHCPのエラーメッセージを見ることができます。また、tcpdumpなどによりパケットを採取することもできますので、原因の調査はさほど難しくはないでしょう。
Windows ServerのDHCPサーバ
次にWindows Serverを利用する例です。Windows Serverには標準でDHCP機能があります。そのため、DHCPサーバにWindows Serverをそのまま利用している場合も少なくないと思います。
WindowsのGUIから設定できますので、Linuxで設定するよりは少しハードルが低いでしょう。
ブロードバンドルータ/アクセスポイントのDHCPサーバ
最後は、ブロードバンドルータやアクセスポイントを利用している場合です。会社では、このような例はそんなに多くないと思いますが、人数が少ないオフィスや家庭では、このような環境が一番多いのではないでしょうか。
多くの場合、ブラウザベースのGUIを持っていますので、ブラウザから設定することができます。同様にして、IPアドレスを取得しているクライアントの情報も見ることができます。
このようにDHCPサーバの選択肢はいくつか存在します。「DHCPサーバ用に用意する」というよりは、そこにLinuxやWindows Serverなどがすでに存在するから、そいつにやらせよう、といった場合が多いのではないでしょうか。確かにあるものを利用した方が楽なのですが、DHCPサーバは、DNSサーバと同様に止まってしまうと大変な影響を及ぼすサービスの1つなのです。
DHCPサーバが止まった世界を想像してみよう
では、実際にDHCPサーバが止まってしまったときのことを考えてみたいと思います。おそらく、ほとんどの方はDHCPサーバが壊れたときのことは想定していないのではないでしょうか。止まった場合は、「適当な別のサーバで再構築すればいいかな」という程度の認識の方もいらっしゃるかもしれません。実際に、いままで特に問題がなければ、そう考えるのも無理がないことなのかもしれませんが……。
さて、DHCPサーバが止まった場合、すぐにクライアントのIPが使えなくなるのでしょうか。
すでにIPアドレスを取得しているクライアントは、リース時間内は再起動をしなければ問題なく利用できます。ですが、リース時間が経過したときに、再度IPアドレスを取得しようとしますので、そのときにサーバが止まっていると、IPアドレスを取得することができません。DNSと違って、すべてのクライアントが頻繁にアクセスするわけではないので、止まった時間によっては、止まっていることに気付きにくい場合もあります。
例えば、月曜日の始業前にサーバが止まってしまった場合を考えてみましょう。
多くの企業では、週末はクライアントPCの電源は落とすようになっていると思います。そういった場合、月曜日の始業時には一斉にDHCPサーバへIPアドレスの要求が送られます。その時間帯にDHCPサーバが止まっているということは、クライアントはIPをもらうことができず、ネットワークを利用することができなくなってしまいます。
特にネットワーク上のサーバ(Notes、ERP、グループウェアなど)への依存が高い企業ほど、DHCPサーバが停止した場合のインパクトが大きいのです。
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