ケータイJavaアプリはキャリアによって何が違うの?
連載第1回「あなたの携帯電話でJavaアプリは動きますか?」では、Javaの開発環境(JDK)と実行環境(JRE)をインストールして、Javaアプレットも動作させてみました。
では早速、ケータイ(本連載では、携帯電話/PHS/スマートフォンなどの端末をまとめて「ケータイ」と表記します)Javaアプリの作り方を学びましょう。といきたいところなのですが、そこをグッとこらえて最初に説明しておかなければならないことがあります。それは、
ケータイJavaアプリの作り方は
キャリアによって違う!
ということです。前回、使用しているケータイのキャリア(回線/通信事業者、電話会社のこと)に合わせてDoJaやMIDPのようなマークを覚えてもらいましたが、これは作るケータイJavaアプリのプロファイル(実行環境の仕様)を表しています。
DoJaはDoCoMo専用プロファイルで、MIDPはNokia社でも使われているように、世界標準のケータイJavaプロファイルです。そして、困ったことにDoJaとMIDPは互換性がありません。
日本の主なキャリアとプロファイルの関係
ここでキャリアとプロファイルをおさらいします。
キャリア | 作成するアプリ | プロファイル |
---|---|---|
DoCoMo | iアプリ | DoJa |
au | オープンアプリ | MIDP |
SoftBank | S!アプリ | MIDP + MEXA |
WILLCOM | WILLCOM Javaアプリ | MIDP |
DoJaは前述したようにDoCoMo専用なので、iアプリしか作れません。MIDPは世界標準なので、DoCoMo以外のキャリアで共通です。各キャリアによってアプリの呼び方が異なりますが、以降はDoCoMo向けのアプリは「iアプリ」、それ以外は「MIDPアプリ」と呼ぶことにします。
DoJaとMIDPとMEXAの機能を図に表すと、図1のような感じになります。
MIDPとMEXAは機能が重なっている部分がありますが、これはMIDP 1.0からMIDP 2.0にバージョンアップした際に、MEXAで補完していた機能が追加されたためです。
コラム 「SoftBankのMEXAって?」
SoftBankのS!アプリのプロファイルはMIDP+MEXAと紹介しました。MEXAというのはMobile Entertainment eXtension APIの頭文字で、MIDPを補完する機能を持つプロファイルです。
その歴史は古く、MIDPが1.0のころから(現在のMIDPのバージョンは2.1ですが、ケータイに載っているのはおおむね2.0です)JSCLという名前でMIDPの機能を補完してきました。
MEXAを使用すれば、MIDPだけではできない(例えば、3Dグラフィックス、ファイルアクセス、カメラ、メール、音声発信など)機能を使用して、よりリッチで楽しいアプリを作成できますが、SoftBankのケータイでしか動作しないので、注意してください。
本連載では、iアプリもMIDPアプリも併せて説明するのでご安心ください。
コラム 「全キャリア対応アプリは難しいの?」
iアプリとMIDPアプリは互換性がないのですが、うまく作ればかなりの部分を共通化することが可能です。本連載ではそうした部分も解説していきます。
初めてのケータイJavaプログラミング
本稿では、最初にiアプリまたはMIDPアプリ開発環境を整え、その後に初めてのプログラムを作成します。
初めてのプログラムでは、一般的に「hello, world」という文字列を表示するようにするものです。ここでも、趣向を凝らしてiアプリまたはMIDPアプリで動作する「hello, world」を作成します。
コラム 「いまさら聞けない、『hello, world』とは?」
「hello, world」は新しいプログラミング言語を習得する最初のステップや、習得済みのプログラミング言語の新しい技術を習得する最初のステップで作成するプログラムです。
プログラムは「hello, world」という文字列を出力するだけの非常にシンプルな内容で、開発環境の構築に問題がないことを確認するための意図が強いですが、入門者が作成した初めてのプログラムが上げる産声としては、「hello, world」はこれ以上ない出力だと感じます。
ここからは、iアプリ(DoJa)編とMIDPアプリ(MIDP)編に分かれて解説しますので、適宜ご活用ください。
iアプリ開発キットのセットアップ 【DoJa】
ここからは、ポイントを絞ってiアプリ開発ツールのセットアップの説明をします(以降、iアプリ開発キットは頭文字を取って「iDK」と表記します)。
DoJaプロファイルのダウンロード
iアプリを作成するための「iアプリ開発ツール」はNTT DoCoMo社が提供しています。NTT DoCoMoのサイトから「iアプリ開発ツールのダウンロード」に行き、iアプリ開発用のツールの最新版5.1(2008年2月現在)をダウンロードします。本連載では、「DoJa-5.1プロファイル向けiアプリ開発ツール」を使用しますので、「DoJa-5.1プロファイル向けiアプリ開発ツールのダウンロード」に移動してダウンロードしてください。
次ページでは、さらに「iDK」のインストールと設定、サンプルアプリについて解説します。
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