品質とは要求を満たすこと:メンバーに贈るプロマネ基礎講座(6)(2/3 ページ)
本連載は、これからプロジェクトマネージャへの転身を考えている方、現在PMBOKベースでマネジメントされているプロジェクトに参加しているメンバーの方などを対象にしています。『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第3版(日本語版)』(以下、PMBOKガイド)の解説を行いながら、プロジェクトマネジメントの基本を解説していきます。なお、各小見出しの横には、対応するPMBOKガイドの章を記載していますので、PMBOKガイドを学習する際の参考にご利用ください。記事の最後には演習問題を用意しました。復習にご利用ください。
まずは、品質マネジメント方針の策定から 〜品質計画プロセス (第8章1項)
プロジェクト品質マネジメント知識エリアのプロセスは「品質計画」です。これは「スコープ計画」(第3回「プロジェクト全体の成否を左右する、スコープ」参照)と同じく、どのように品質マネジメントを進めていくかの方針を策定し、計画書にまとめていくプロセスです。まとめられた計画書は「プロジェクト品質マネジメント計画書」と呼ばれ、適用する品質規格や、それを実現するための方策などが記述されます。
また、このプロセスのもう1つ主要なアウトプットして「品質尺度」が挙げられます。品質尺度とは、品質管理をすべき対象がどのようなものであり、どのように品質を測定するのかといった運用基準を定義したものです。例えば、ITプロジェクトの場合、バグの発生率などが挙げられます。
成果物の品質を確認する 〜品質管理プロセス (第8章3項)
次に、「品質管理」プロセスを説明します。品質管理プロセスの役割を単純にいうと、“成果物の品質を確認すること”です。従って、主要なアウトプットとして「確認済み要素成果物」が含まれます。
ところで、スコープ・マネジメントの回(第3回「プロジェクト全体の成否を左右する、スコープ」)で、このプロセスの名前が出てきたのを覚えていますでしょうか? そのときは、スコープ検証のプロセスで品質管理プロセスに触れました。そのときの話の繰り返しになりますが、スコープ検証プロセスと品質管理プロセスの違いと、品質管理プロセスの役割について、図を使って紹介します(図2)。
プロジェクト・チームはこの品質管理のプロセスで、一般的なツールを使用します。例えば、管理図、特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)、パレート図などのQC7つ道具をはじめ、検査やレビューなどのツール、技法を使用します。今回はせっかくですので、QC7つ道具を紹介しておきます(図3)。
ツール名 | 概要 |
---|---|
特性要因図 | 別名フィッシュボーンダイアグラムともいいます。ある結果に対し、それを引き起こす要因を系統立てて分析するために使用します。 |
管理図 | 時系列に品質尺度の測定値をプロットし、ある一定の範囲に含まれているかを分析し、適切にプロセスが管理されているかを判断します。 |
ヒストグラム | 棒グラフです。ある測定値を範囲ごとに分割し、分布を確認します。 |
パレート図 | 棒グラフと折れ線グラフを組み合わせて作成します。ある特定の要因が全体の不具合にどの程度影響を及ぼしているかを分析します。 (パレートの法則を表現する際に使用します)。 |
散布図 | ある2つの要素の相関関係があるかないかを見ることができます。 |
層別 | 複数の要因が重なり合って結果が表現されている場合、それを分離して整理することをいいます。 |
チェックシート | 文字通り、ある項目に対し、状態を確認してチェックするためのものです。 |
図3 QC7つ道具 |
品質マネジメント活動全体を監視する 〜品質保証プロセス (第8章2項)
「品質保証」プロセスは、品質マネジメント活動全般を監視し、無駄をなくしていくための活動です。トヨタ自動車の「カイゼン」活動に代表されるように、プロジェクトの活動が適切なプロセスを踏んで行われているかを監視し、継続的に無駄を排除するためにプロセスの見直しを行います。その代表的な技法が「品質監査」です。品質監査は品質マネジメントの活動が、プロジェクトの方針や手順などに従って行われているかを第三者(例えば、母体組織の品質保証部門)がレビューし、プロセスを改善するための提案を行います(アウトプットに提案済み是正処置が含まれます)。
また、ツールと技法に、「品質計画のツールと技法」「品質管理のツールと技法」と定義されているように、このプロセスは品質マネジメント全般にわたる活動であることが分かります。
最後に、今回の範囲のおさらいで、演習問題を解いて終わりましょう。
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