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ストレージをデータ保護から理解する:ストレージとは何か(2)(1/3 ページ)
ストレージはいうまでもなくデータを記憶し、保持する装置だ。だが、データの価値が高いほど、そのデータを確実に保持するというデータ保護の機能が重要になる。今回は、ストレージをデータ保護の側面から解説する
前回の「ストレージを接続から理解する」では、ストレージの基本、接続の種類について解説した。今回はSANストレージの内部アーキテクチャ、そしてデータ保護や可用性、信頼性について解説する。
ストレージの内部アーキテクチャ
まず、ファイバチャネル(FC)接続型のSANストレージの内部機構を紹介しよう(図1)。SANストレージの主なコンポーネントはコントローラ、ディスクエンクロージャ、電源で、各々のコンポーネントは以下のようなパーツで構成される。
コントローラ
- フロントエンドポート
ネットワークとの接続インターフェイス(FCポート サーバと直接またはFCスイッチと接続) - CPU
RAIDの構成情報に基づいたデータ配置やパリティ計算などの制御全般を司る - キャッシュメモリ
データを一時的に保存しI/O性能の向上を図る - バックエンドポート
HDDとの接続インターフェイス (主にディスクエンクロージャと接続)
ディスクエンクロージャ
- エンクロージャ
HDDを格納しコントローラのバックエンドポートと接続する - HDD
ハードディスクドライブ(FC、SAS、SATAなど)
電源
- 電源ユニット
商用電源と接続し各パーツに直流電気を供給する - 予備電源(バッテリ)
電源障害時に一時的に電気を供給する
ストレージへのデータの読み書きの手順
次に、サーバとストレージの間のデータの流れについて解説する。
データの書き込みは、次のような手順で実行される。
- サーバが発行した書き込みI/O(データ)はHBAからネットワークに送信される。
- コントローラはフロントエンドポートでデータを受信しキャッシュメモリに書き込む。
- コントローラは書き込み完了通知(ACK)をサーバに送信する。
- サーバはACKの受信によりデータ書き込み完了を認識し、メモリ内のデータを消去する
- コントローラはキャッシュメモリに蓄えたデータを、サーバからのI/Oとは非同期にバックエンドポートを介してHDDに書き落とす(キャッシュディステージ)。
以上のように、データフローにキャッシュメモリが介在することで、サーバからのデータ転送速度と物理HDDの書き込み速度の差を吸収する。このようなキャッシュの実装はライトバックキャッシュと呼ばれる。
データの読み取りは、次のような手順で実行される。
- サーバが発行した読み取りI/OはHBAからネットワークに送信される。
- コントローラはフロントエンドポートで読み取りI/Oを受信し要求データを判別する。
- コントローラは要求データをHDDから読み取りキャッシュメモリに書き込む。
- コントローラはキャッシュメモリ上のデータをフロントエンドポートからサーバのHBAに送信する。
上記3.において、読み取りI/Oの過程でキャッシュメモリ上にデータを配置するのは、再利用による高速化を期待するためだ。
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