Mashup Awards授賞式レポート マッシュアップ+ひとひねり=MA4の受賞作:D89クリップ(1)(2/3 ページ)
リクルートとサン・マイクロシステムズが主催するマッシュアップアワードの授賞式をレポートする。今年の猛者たちの「ひとひねり」が光るマッシュアップWebサービスの数々をチェック!
高い技術力で審査員をうならせた「Newsgraphy」
優秀賞・テクノロジー賞(Sun Microsystems賞)
サービス名:Newsgraphy
作者:浜本階生
URL:http://newsgraphy.com/
Newsgraphyは、ニュースサイト(Yahoo! JAPANニュース)の記事を、そのカテゴリを色と位置で、話題性をエリアの広さで分析し、“地図”として表現するサービスだ。はてなダイアリーを対象にした「hatenarMaps」が話題になったが、Newsgraphyは一般ニュースを対象にしたバージョンで、一目で世間の動向を把握できる。
ニューヨークタイムズのサイトに掲載された米国人の消費動向グラフを見たのが、制作のきっかけになった。APIによって取得したデータを斬新なUIで表現することで、親サービスにはなかった新たな価値を生み出すというマッシュアップのお手本ともいえる作品だ。
「制作に当たって念頭に置いたのは、グラフをマウスで自由に操作できるようにすることと、Web上のデータと連係して動的に地図を作るということ。最初に地図全体を見渡して、ニュースの分布を大まかに把握し、それから興味のある分野にズームインして個別の記事にたどり着くというNewsgraphyのUIは、直感的で合理的、そして楽しいもの。今後もUIの新たな可能性を追求していく」(浜本階生氏)
Newsgraphyは、ニュースによる世間の動向を時系列で表示できるという点。例えば、9月の中旬ごろを見てみると、自民党総裁選による政治エリアの盛り上がりが、世界金融不安によって一気に金融エリアへ移る様子が把握できる。
当日、浜本氏は海外出張のため授賞式には参加できなかったものの、ビデオメッセージで新しいアニメーション機能の紹介などをした。
いますぐにでも利用できる実用性の高い「モバロケ」
優秀賞・Business賞(RECRUIT賞)
サービス名:モバロケ
作者:クリエイトシステム
URL:http://mloc.jp/
モバロケは「ケータイCMS×マッシュアップ=おもてなし」というコンセプトによるWebサイト制作サービス。ケータイを使って、PCやiPhone、ケータイ(NTTドコモ、au、ソフトバンク)に対応したWebサイトを作ることができる。
まず、会社や店舗の住所を入力するところから始まり、それを中心に周辺地図や経路検索、近くの店舗情報などをWeb APIを使って組み合わせていく。
「5分で作れる会社の携帯ホームページ」というキャッチフレーズにあるように、ケータイでの操作を考慮したUIのCMSによって入力事項は最低限で済むため、短時間でケータイサイトを制作できる。これらがすべてケータイだけで可能な点や実用性の高い内容である点が評価された。
「新しい点は、会社の所在地が起点になるということと大量生産できるということ。こだわったのは、API提供元のサイトへいかに自然に誘導できるか」(太田氏)
デモでは、ケータイの画面上で見せるために、また、限られた時間内で伝えるために、あらかじめ用意しておいた動画を使って解説。早回しで流れる制作過程の映像に太田氏がテンポよく解説を付けるというプレゼンも好評だった(本人いわく「4倍界王拳」とのこと)。ちなみにクリエイトシステムは、前回も「StartCommand」という作品でマッシュ賞を受賞している。
思わず審査中に……「MASHUP×CROSSWORD」
優秀賞
サービス名:MASHUP×CROSSWORD
作者:チームオクヤマ(奥山晋・岩瀬智子/ザクラ)
URL:http://xword.zakura.jp/
MASHUP×CROSSWORDは、クロスワードパズルのサービス。最初にすることは「ゲームスタート」のボタンを押すだけ。後はパズルが自動的に生成され、それを解くという非常にシンプルなもの。
さまざまなAPIを使ってテキストデータを組み合わせ、クロスワードパズルに仕立て上げるという点が斬新だ。ケータイからでも利用でき、パズルをブログに投稿できる機能もある。
「マッシュアップというと地図を使ったサービスが多いが、あえてそれを拒否し、ベースとなるコアエンジンを作るところから始めた。マッシュアップコンテストなので、より多くのAPIをしっかりと組み合わせたマッシュアップサイトにしようと考えた。おもちゃのようにならず、パズルゲームとしてそれなりに難しくて大人でも楽しめるものにした」(奥山氏)
22ものAPIを駆使したという点や技術力もさることながら、審査中には審査員が思わずゲームを始めてしまうという完成度の高さが評価された。
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