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新生ブロケードのシスコ対抗策は?SAN製品の信頼性をネットワーク製品にも適用

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 ブロケードコミュニケーションズシステムズは2月26日、ネットワークスイッチベンダのファウンドリネットワークス買収に伴い、今後の展望を説明した。


米ブロケード ワールドワイドセールス担当シニアバイスプレジデントのイアン・ホワイティング氏

 買収プロセスは2008年12月に完了した。日本は同社の2009会計年度第3四半期(4月末〜7月末)に、アジア・パシフィックを離れて独立リージョンとなり、事業責任者には、現ファウンドリネットワークスジャパン 社長の青葉雅和氏が就任する。ファウンドリネットワークスジャパンの組織の実質的な統合は5月に行うという。

 米ブロケード ワールドワイドセールス担当シニアバイスプレジデントのイアン・ホワイティング(Ian Whiting)氏は、ストレージ・ネットワーキング・ベンダからネットワーク全般を対象とするベンダに生まれ変わったブロケードの方向性を示すキーワード、「Extraordinary Networks」(普通のレベルを超えたネットワーク)を紹介した。


Extraordinary Networksの構成要素

 図のように項目には比較的一般的な要件が並ぶが、例えば技術的な革新も、冒険的でなく、現実的な形で導入すべきだという。ホワイティング氏が特に強調するのは信頼性。「SANには信頼性が不可欠。そしてこの信頼性はより広くネットワーク全般に適用されなければならない」。さらに円の中心にはエコシステムが置かれている。これは「地球に優しいシステム」という意味ではなく、業界内パートナーとの共存共栄関係が重要だというのだ。これはブロケードが、システムベンダやストレージベンダへのOEM供給でビジネスを伸ばしてきたことを今後も強みとしていく意図の表れだ。

 日本における事業責任者となる青葉氏は、国内における取り組みとして、ネットワーク製品の品質向上を挙げる。「ネットワーク製品の品質はブロケード製品の3分の1。顧客からはブロケード製品の信頼性や品質を日本に持ってきてくれといわれる」。この顧客の声を確実に伝えるのが1つの役割だと認識しているという。


ブロケード日本法人の事業責任者となる青葉雅和氏

 ストレージネットワーキングとイーサネットネットワーキングを統合した新生ブロケードは、シスコシステムズにとっての強力な競合相手として浮上してくる。ではシスコとどう闘うのか。

 青葉氏は、自身も過去に在籍していたシスコが優れた企業であることを認めながら、データセンター分野でシスコがサーバ仮想化を中心に独自の製品群を構築しようとしていることを挙げ、シスコとは違うやり方があると強調する。また、キャンパスネットワークやサービスプロバイダの分野でも、コスト効率や高速性の確実な発揮など、差別化できる部分はまだあるという。「シスコの代替選択肢としての期待は、顧客の間でも高まっている」(青葉氏)。ファウンドリの代理店がブロケード製品を扱いたい、あるいはブロケードの代理店がファウンドリ製品を扱いたいといったリクエストも多いと話す。

 ホワイティング氏は、「シスコは1社ですべてをやろうとしている。一方ブロケードはパートナーのビジネスを助けることに力を入れてきた。EMCのストレージ仮想化ソフトウェアをSANスイッチに組み込めるようにするなど、OEMパートナーが提供したいソリューションに合わせて製品を提供してきた」。これが同氏のいう「エコシステム」で、ネットワークの世界にも同じ方式を展開していきたいと話した。

 SANスイッチでは、スイッチに搭載するサーバブレード(アプリケーションブレード)上で他社のソフトウェアを動作させるための認定プログラムをすでに展開している。同様なプログラムをネットワーク製品でも行う可能性は高いという。

 ホワイティング氏は現在構築中のチャネルプログラムについても、シスコとは違う方向性を目指していると語った。

 「社内の営業の人員ではシスコに負けるが、当社では代理店を自社の営業の延長と考え、ハイバリューな販売機会を提供するチャネルプログラムを構築する」。シスコよりも深いマージンを得られる機会をチャネルパートナーに提供するという。

 ホワイティング氏はまた、ファウンドリは企業規模が小さいため、一部の顧客では信頼できるベンダとして認識してもらえなかったが、大規模ユーザーに食い込んでいるブロケードの一部になったことにより、安心して買ってもらえるようになったとも話した。

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