日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は3月26日、同社の無停止サーバ製品「HP Integrity NonStopサーバー」シリーズで、価格を大幅に抑えたエントリモデル「HP Integrity NonStop NS 2000サーバー」を発表した。
HPはNonStop製品ライン全体にわたり、ハードウェアを同社のx86サーバ・ベースのものに移行を進めている。2008年6月には「HP BladeSystem c7000」のエンクロージャにデュアルコアItanium 2ベースのプロセッサモジュールをブレードとして装着するメインストリームモデルを発表した。今回の製品もデュアルコアItanium 2を採用し、プロセッサモジュールはx86ラックマウントサーバを利用。プロセッサモジュールにおける拡張性を4モジュール4 CPU(8コア)までに抑えるとともに、NS14000で提供されている低価格I/Oモジュールの「Versatile I/O」(VIO)を採用、これまでにない最小構成価格とプライスパフォーマンスを実現したという。
UNIXクラスタと同等な価格でありながら、大幅に優れた耐障害性能を提供するというのが売りで、NonStopシリーズのすそ野拡大を図る。
日本HP 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏は、「日本のITは、これまでそれぞれのコンポーネントが最適化され、透明度が確保されていたかは大変疑問」とし、2009年に入って同社がx86サーバ製品の大幅値下げを実施したことと併せて、今回の発表はIT投資促進の点からも意義があると話した。
新製品は、すでに販売を終了しているMIPSベースのSシリーズを利用している既存ユーザーに対し、移行パスを提供することが目的の1つ。S88000に比べ、プロセッサのパフォーマンスは約3倍という。
だが、新たな価格ポイントを武器とした新規需要開拓も重要な役割だ。日本HPは、大企業で複数稼働しているサーバの統合を目的とした置き換えや、中小企業におけるメインフレームからの移行に期待する。同社は今年夏をめどに、メインフレームアプリケーションを変換するソフトウェアツールを提供する予定。
新製品の具体的な利用例として、NonStopサーバ事業部 事業部長の浅野勉氏は、流通BMSに始まる新たなEDIがあると説明した。100Mbps以上のインターネットを使ったデータ転送が可能な新世代EDI用に、信頼性を確保できるNonStopシリーズは有効だが、これを協力企業との間で展開する際に、低価格な今回の製品が役立つと浅野氏は話した。
発表の場で、同社は一般的なクラスタとNonStopサーバの障害復旧性能を比較するデモの録画を見せた。NonStopサーバは構成がシンプルで、アプリケーションが代替機上で再び元のパフォーマンスを回復するまでに数秒しかかからない点をアピールした。
NS2000の最小構成価格は2168万1660円(税込)。同社は10台限定で1942万5000円のバンドルパッケージを提供する。これにはTPモニタをはじめ、必要なソフトウェアが一とおり含まれている。
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