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HP-UXの新バージョンは“頼れる仮想化”を目指すライブマイグレーション機能を搭載

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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月21日、HP-UXの新バージョン「HP-UX 11i v3 Update 4」と関連製品を発表、これらの製品によるサーバ仮想化機能の強化について説明した。

 「UNIXは決して古いものではない。進化し続けている。HP-UXは高信頼性、管理性向上、仮想化推進を提供できる唯一のOSだ」と日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長の上原宏氏は話した。


日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長 上原宏氏

 HP-UXは3種類のサーバ仮想化技術を提供している。「nPars」(1つあるいは複数のセルボードで、論理的にサーバを構成する技術)、「vPars」(各nParsを複数のパーティションに分割できる技術)、そして「HP Integrity VM」(CPUやメモリなどのリソース共有に基づいて、細かい単位の仮想OSを構成できる技術。VMware ESXやHyper-Vなどに近い)だ。今回強化されたのはIntegrity VM関連の機能。

 「仮想化というとヴイエムウェアがいわれるが、Integrity VMではUNIXの信頼性を保ったまま仮想化が実現できる」(上原氏)。Integrity VMではハイパーバイザとして機能するホストOSが堅牢であるとともに、HP-UXを直接利用する場合と同様な診断ツール、復旧プロセスが適用でき、サポートレベルについてもHP-UX環境と大差ないと、日本HPではアピールしている。

 今回は、Integrity VMが新バージョンの「HP Integrity VM 4.1」となり、仮想化管理機能が向上した。

 具体的には、「オンライン・ゲスト・マイグレーション」という新機能が加わった。これは、一般的に「ライブ・マイグレーション」などと呼ばれる機能で、仮想マシンを無停止のまま別の物理サーバに移動できる(実際には数秒のメモリコピーの間、移動対象の仮想マシンはサービスリクエストに応答できない)。計画メンテナンスに便利な機能だ。

 HP-UXでは、物理/仮想サーバの計画外停止に対応するクラスタリング・ソフトウェア「HP Serviceguard」が提供されてきた。これについても今回、新バージョン「HP Serviceguard 11.19」で機能強化が図られた。


純粋なサーバ切り替えの所要時間は約30秒から約4秒に短縮された

 最大の機能向上ポイントはフェイルオーバにかかる時間の短縮。これまでServiceguardにおけるサーバ切り替え作業だけで30秒程度かっていたが、新バージョンではこれが約4秒に短縮された。説明会では仮想マシン上のMySQLが、別サーバに切り替わってサービスを開始するまで、約10秒で済む様子がデモとして示された。前バージョンでもこれほど回復時間は短くないもののの、高速フェイルオーバを実現するツールを別売で提供していたが、別途監視サーバを立てる必要があった。

 Serviceguard 11.19では仮想マシンのOSに監視エージェントをインストールすることにより、アプリケーション(プロセス)の死活監視が可能になった。これにより、仮想マシンのOSまでは良好に動作していながらアプリケーションに障害が起こった場合にも、自動的な切り替えが実行される。また、これまでフェイルオーバ構成は1対1だったが、新バージョンではN+1構成が可能になった。

 HP-UX 11i v3 Update 4における仮想化以外の主要な新機能には、プロセッサ消費電力の削減がある。これまで未利用プロセッサの電力消費を最小化する機能があったが、今回はアクティブなプロセッサの電力消費についてもOSからコントロール。最大8%の追加的な電力削減効果を実現した。また、OSアップデートに必要なサービス停止時間を50%削減した。


管理ツールも特徴。HP-UXやVMware ESX環境の物理サーバ、仮想マシンなどを一覧し、統合的に管理できる

 日本HPは、HP-UXの新バージョンとともに、従来は個別見積だった導入サービスを定額メニューとして提供し、UNIXをより身近なものにするとしている。リースに導入サービスを含めたサービスも提供するという。

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