ヴイエムウェアは4月22日、サーバ仮想化ソフトウェア群のメジャー・バージョンアップを発表した。「VMware Infrastructure 3」(VI3)の後継となる新製品は、「vSphere 4」と命名された。
米国における日本時間4月21日の発表を受け、ヴイエムウェアの日本法人が22日に都内で開催した記者発表で、代表取締役社長の三木泰雄氏は、「企業がシステムを社内クラウド化して使うための製品」とvSphere 4を表現した。
米ヴイエムウェアは「Cloud OS」という表現も使っているが、グーグルやアマゾンなどが提供しているパブリック・クラウドサービスと同じような土俵に立とうという意図は同社にはない。企業がまず社内クラウドを構築し、その延長線でピーク対策や災害対策などのために、サービス品質やセキュリティの確保された形で外部の業者を活用するような将来の姿につなげていくのが目的。
社内クラウドを実現するために必要なのは「あらゆるアプリケーションに対応できること」(三木氏)。大量の演算リソースを要求するアプリケーションや、データベースのようにI/O負荷の高いアプリケーション、ミッションクリティカルなアプリケーションがx86サーバ仮想化に適さないと考える人々はまだいる。これらの懸念あるいは疑念を払拭(ふっしょく)するために、vSphere 4では数々の機能強化が図られた。
まず、ヴイエムウェアはハイパーバイザ「VMware ESX 4.0」の拡張性を高めた。VMware ESX 4.0では仮想マシン当たり最大8個のCPU、255GBのメモリを割り当てることができる。また、個々の仮想マシンの仮想I/Oに特定の物理ポートを直接割り当てる機能などにより、IOPS(1秒当たりI/O)は従来の2倍の20万以上に向上した。仮想マシンの稼働を止めずにCPUおよびメモリを追加することもできるようになった。ストレージ領域(LUN)もオンデマンドで拡張できる。
また、vSphere 4における主な新機能の1つであるVMware FTは、仮想マシンレベルでの完全無停止フォールトトレランスを実現する。従来FT専用のサーバハードウェアを使用するしかなかったノンストップ・オペレーションを、ソフトウェアで安価に実現できる。このほかStorage VMotion、Data Recovery、vShield Zones、vNetwork Distributed Switchなどの新機能を搭載し、管理性を向上している(機能と製品パッケージに関する詳細は別記事に掲載)。
ヴイエムウェアはvSphere 4で、中堅・中小企業対策も強化した。従来も一般向けエディションのインストール台数を制限することで価格を抑えたパッケージが存在したが、今回は明確に中堅・中小企業をターゲットとした「Essentials」「Essential Plus」の2エディションが設定された(機能と製品パッケージに関する詳細は別記事に掲載)。複数サーバにまたがるサーバ仮想化環境が利用できて、1CPU当たりに換算すると約2万円からの設定だ。Essential PlusにはVMware HAや統合バックアップ機能も搭載。中堅・中小企業に「Always On IT」(ダウンしないIT)を提供するという。
新製品は第2四半期中に出荷開始する。国内における施策として、三木氏はサポート要員の増員、ソリューションごとのトレーニングの強化、VI3ユーザーに向けた優待プロモーションなどを挙げた。米国で展開している「ギャランティプロモーショナルプログラム」の国内提供も行うという。これは一定の条件を満たす企業を対象にヴイエムウェアがサーバ仮想化コンサルティングを実施、サーバ機の固定費を50%削減できるまで、企業はコンサルティング料を支払う必要がないというものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.