ブロケードコミュニケーションズシステムズは5月初め、米ブロケードが4月7日に発表したFCoE(Fibre Channel over Ethernet)対応スイッチとCNA(Converged Network Adapter)について国内で説明した。
FCoEは、専用のアダプタやスイッチを必要とするファイバチャネルに対し、このプロトコル(の上位レイヤ)をイーサネット上で動かすようにすることで、IPネットワークとストレージ・ネットワークの配線を統合することを目的とした技術。ただしこの場合、ストレージアクセスの信頼性やリアルタイム性を確保する観点から、従来のイーサネットは使えない。「CEE」(Converged Enhanced Ethernet)などと総称される次世代イーサネット規格のサポートが必要。
米ブロケードが発表した「Brocade 8000」スイッチは、ラックマウント型のボックススイッチ。CEEをサポートする10Gbpsイーサネット・ポートを24ポート、そしてファイバチャネル・ポートを8ポート固定で搭載している。
ファイバチャネル・スイッチングが特徴
シスコシステムズなどは、次世代イーサネット規格をサポートした10Gbpsイーサネットスイッチをすでに販売開始しているが、これらはイーサネットスイッチにFCoE―ファイバチャネル変換機能を持たせたもの。シスコのスイッチでは、ファイバチャネル接続をオプション・モジュールで行う。対してBrocade 8000は、純粋な小型ファイバチャネル・スイッチとしても利用できる帯域とポート数を備えている。ここに本来はストレージ・ネットワーク製品ベンダであるブロケードと、IPネットワーク機器ベンダであるシスコなどとの違いが見られる。
ブロケードでは、サーバ側ではCEE/FCoEの採用が進むとしても、ストレージ側ではFCoEへの移行メリットが少ないため、FCoE直結のストレージ機器が一般化するのは2012年以降と見ている。このため、当面はストレージをファイバチャネル接続する顧客のために、本格的なファイバチャネル接続機能を提供するという。
米ブロケードはスイッチと同時にサーバ用のCNAも発表した。CNAとはCEEとFCoEに対応したサーバ用のアダプタ。従来のネットワークアダプタとファイバチャネルHBA(ホストバスアダプタ)の双方の機能を果たすことができる。CNAは10Gbpsイーサネットが前提であり、この帯域幅を生かして、複数の論理的な接続を単一のアダプタで処理することが可能だ。
ブロケードが発表したCNAは、1ポートの「Brocade 1010」と2ポートの「Brocade 1020」。すでに、米QLogicや米EmulexがCNAを提供開始済みだ。しかしブロケードのCNAは、CEEとFCoEを単一のASICで処理できる点に違いがある。FCoEの処理能力についても、他社製品が4Gbpsであるのに対し、8Gbpsに対応しているという。
上記製品の出荷開始時期は、OEM供給先ベンダにより異なる。5月後半から夏にかけて各社から提供の予定という。また、ブロケードはデータセンタースイッチ「Brocade DCX」用のCEE/FCoEブレードも、今年中に提供開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.