12月17日、「アメリカでエンジニアをしている新井さんにお話を聞こう!」というイベントにおいて、サンフランシスコに本社を置くソフトウェア企業エンバカデロ・テクノロジーズのDocumentation and Localization Manager 新井正広氏は、サンフランシスコにおけるエンジニア採用の在り方について語った。
サンフランシスコでは、採用を担当する部署が日本とは異なる。日本の場合、人事が面接を担当することが多い。しかし、サンフランシスコでは一緒に働く同僚、つまりエンジニア採用であればエンジニアが面接を行う。エンジニアが「この人と一緒に働きたいか」次第。面接では、純粋に「エンジニアリングができるかどうか」が問われるのだ。
採用担当者が違えば、採用方法も異なる。採用に当たって必要な情報は、「できるか、できないか」この1点のみだ。結婚をしている、小さい子どもがいる、病気の親を抱えている…… そのようなことは質問してはいけない。なぜならば、アウトプットとは一切関係がないためだ。もし、それらのことを聞いた場合には裁判になるという。唯一可能な質問は、「合法的に働くことができますか?」―― それだけだ。
重要なのは、スキル。「できるか、できないか」だけである。そのため、直接会って面接する必要もない。電話で話せば、それでいい。リクルートスーツもいらないし、自分の性格を文章で書き記す必要もない。「性格なんて、コードを見れば大体分かる」と新井氏はいう。それでも人格やスキルが気になる場合は、友達の友達の友達の友達に聞くという。
また、日本のように新卒一括採用という習慣もない。何度転職しても誰も気にしないという文化があるため、採用側としてもその人のスキルに不安があれば短期採用後に長期採用できる。サンフランシスコでは、そもそも「解雇」に躊躇(ちゅうちょ)がない。「血を入れ替えるのは大事だ」と、定期的に一定数を入れ替える企業さえあるくらいだ。一方、従業員側も「これ以上もうからない業界」だと感じたら、1度学校に戻って違う業界に行くケースも多くあるそうだ。
現在、日本の採用も少しずつ変わってきている。今後は「スキル」を重視した現場よりの採用が、日本でも多く見られるようになるのかもしれない。
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