運用管理者はシステム運用が複雑化する中、スキル不足にどう対応していくべきか?:資格取得によるスキルの標準化が急務
仮想化やクラウドの普及でシステムが複雑化する中、運用管理者の人員・スキル不足が深刻化している。この問題を解消するためには、運用の自動化や人員の全体的なスキルアップがキモになる。今回は運用管理者の効率的なスキルアップの一助となる「日立ITプラットフォーム技術者資格認定制度」を紹介する。
対象システムが増える中、人員/スキル不足が深刻に
仮想化やクラウドの普及拡大に伴い、企業ではITシステムの運用コスト削減を図るとともに、ユーザーの利便性向上の実現などにより業務効率化が進みつつある。一方で、運用管理の視点から見ると、物理サーバ、仮想サーバから、ミドルウェア、データベース、ストレージなどまで、システムの構成はさらに複雑性を増しており、結果として運用管理者の工数が激増しているのが実状だ。
また、仮想化・クラウドテクノロジの急速な進歩によって、新たな技術や製品が次々に開発されるため、ITエンジニアには、より高度な知識や技術力を迅速に身に付けていくことが求められている。加えて、システム構築における企業からの要件レベルも高まっており、このニーズに応えられるソリューション提案力も、これからのITエンジニアに欠かせないスキルといえるだろう。
実際、アイティメディアが実施した調査「システム運用管理についての読者調査」において、運用管理の課題を聞いたところ、「運用管理担当の人員、スキル不足」と答えたユーザーが最も多く過半数の51.6%に、続いて「対象システムが増えていて管理が煩雑」を48.0%のユーザーが挙げている。このように仮想化やクラウドの普及によって、急速に管理対象システムが増えていく中、それを管理する運用人員とそれら人員のスキル不足が浮き彫りとなっている。
こうした環境の変化は、ユーザー企業のシステムを預かるSI企業にも影響を及ぼしている。複雑化するシステムを着実に運用保守するだけでなく、プラスアルファの要素として、顧客企業のニーズにきちんと対応できる提案力の向上も急務だ。従って、各SI企業は、自社の抱えるITエンジニアや営業部員の個々の知識やスキルのボトムアップと標準化を図り、高度な技術力や問題解決能力を備えた人財をいかに育成していくかが火急の課題となっている。
そして、これらの課題解決を支援するべく、日立製作所(以下、日立)が提供しているのが「日立ITプラットフォーム技術者資格認定制度」だ。この資格認定制度は、ITプラットフォームの重要な構成要素である「オープンミドルウェア」「ストレージ」「サーバ」の3つの分野からなり、それぞれの分野で製品のセールススキルやテクニカルスキルを認定する制度となっている。
幅広い技術やスキル修得への近道として資格を組み込む
具体的には、各分野において、「資格認定講座」と「資格認定試験」を用意。製品や各種機能・サービス、受講者のスキルレベル別に体系化された「資格認定講座」では、各製品の提案・構築・運用などに必要な知識とノウハウを短期間で効率よく修得できる。また、ITプラットフォームの基礎知識から製品知識、高度な機能までを体系的に学びながら、マニュアルの解読だけではなく、講座によっては実機演習を交えて構築ノウハウも修得できる点がポイントだ。
そして、「資格認定試験」では、厳格・公正な評価基準でそのスキルレベルを認定。ITエンジニアは、この試験に合格することで、資格取得者として自身のスキルレベルを客観的な形で示すことが可能となる。また、認定講座を通して身に付けたITプラットフォームに関する幅広い知識と各製品の強みを最大限に生かし、より高品質なサービスやソリューションを提案できるようになり、顧客先からの信頼度および満足度向上につなげることができる。
一方、SI企業にとっては、この資格認定制度を導入することで、ITエンジニア毎にバラツキのあるIT知識やスキルのボトムアップと標準化を図ることができる点が大きなメリットだ。資格認定試験の採点結果を、ITエンジニアのスキルレベルを把握する重要な指標の1つとし、管理者がITエンジニアのスキルアップやキャリアアップを図る上での評価基準として有効活用できるのである。そして、スキルレベルの現状把握とフォローにより、目標達成に向けたモチベーションアップを促すことで、高度な技術力と問題解決能力を備えた人財の育成、さらには組織力の強化へとつなげられる。
すでに多くのSI企業が、幅広い技術やスキル修得への近道として、自社独自の人財育成プログラムに「日立ITプラットフォーム技術者資格認定制度」を組み込み、ITエンジニアのスキルアップやキャリアアップに有用な手段として採用。これまでの資格取得者は延べ5万人を超えている。
ミドルウェア、ストレージ、サーバと幅広い分野の知識を習得可能
各分野別に見た資格認定制度の特長として、まず「オープンミドルウェア」では、統合システム運用管理ツール「JP1」、クラウドサービスプラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」、データベース「HiRDB」の3製品を対象にした認定資格を提供。各製品の導入を検討している担当者から、すでに構築・運用を手掛けているエンジニア、販売に携わるセールエンジニアまで、それぞれのレベル(初心者〜上級者)や立場に応じて、さまざまな講座を用意している。特に「JP1」は、統合システム運用管理ツールとして国内市場で最大のシェアを持ち、資格取得者が同ツールの機能を最大限に引き出すことで、仮想化・クラウド環境におけるITシステムの運用管理工数を大幅に軽減可能だ。
「ストレージ」では、日立のストレージ製品「Hitachi Storage Solutions」のセールススキル、テクニカルスキルを認定する各種資格を用意。資格認定講座は、「Hitachi Storage Solutions」に関する製品・機能分野、さまざまなスキルレベルに応じて最適なスキルを修得できるように設計されており、運用・維持およびシステム構築に関するスキルを効率的に学ぶことができる。また、ストレージ分野においてグローバルで通用する唯一ともいえる技術者認定プログラムである「SNIA(Storage Networking industory Association)」の取得につながる認定資格となっている点も、今後もスキルアップを目指すエンジニアとしては見逃せない特長だ。
「サーバ」では、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」の提案や見積もり、システム構築を手掛けるITエンジニアを対象に、セールススキルやテクニカルスキルを認定する資格制度を提供する。また、「BladeSymphony」は、障害発生時に自動的に予備のサーバブレードに切り替え、システムの高可用性を実現する独自機能「N+1コールドスタンバイ」を搭載している数少ない機種として注目度が高い。この認定資格では、実機を使いながら同機能の構築技術を習得できる資格認定講座も用意している。
今後はさらなるスキルアップをサポートする取り組みに注力
今後、日立では、「日立ITプラットフォーム技術者資格認定制度」の資格取得者に対して、さらなるスキルアップをサポートする取り組みに力を注いでいく考え。まず、現在一部の資格で提供している資格取得者専用ページの機能を拡張し、「One to Oneサイト」を新たに開設する。この「One to Oneサイト」では、資格取得者が自分の取得している認定資格の種類やレベルを確認できるほか、各資格取得者の属性に応じて、今まで以上にきめ細かい情報を提供していく。
また、「One to Oneサイト」を通して、現在取得している認定資格のレベルアップを支援するだけでなく、資格取得者の次のステップアップに向けて、新たな分野の認定資格の取得を促す情報も提供する。今後、「オープンミドルウェア」「ストレージ」「サーバ」の各分野を横断し、「ディザスタリカバリ」や「ビッグデータ」といったソリューションを切り口とした認定資格を立ち上げることで、ITエンジニアのソリューション提案力の向上も支援していく予定だ。将来的には、すべての分野の認定資格を取得したITエンジニアを「マイスター」として認定することも視野に入れている。
このほか、資格取得者向けのセミナーやイベントも積極的に展開していく予定で、資格取得者との情報交流を通して各製品に対する意見や要望を汲み上げ、今後の製品開発に生かしていく考えだ。
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