アジャイルってなんなんだ!?:ブラックアジャイルによろしく(3/4 ページ)
本企画はWeb開発企業『クレイ』におけるアジャイルソフトウェア開発の経験を漫画「ブラックジャックによろしく」の名シーンを挿絵に紹介するドキュメンタリーです。
初期に導入したプラクティス
ここまで何度も述べてきたように、アジャイルソフトウェア開発のプラクティスは決まったやり方のあるものではありませんが、便宜上、ここではクレイのやり方を「スクラム」「XP」における呼称に当てはめて紹介します。
スプリントレビュー
「スプリントレビュー」は、開発中のソフトウェアを定期的にユーザーやプロダクトオーナー(後述)に見せ、フィードバックをもらうことを指します。アジャイルソフトウェア開発における改善の対象は製品とプロセスの2つであり、製品の改善のためには顧客からのフィードバックが不可欠です。
また、「ふりかえり」も「スプリントレビュー」も定期的に行うことから分かるように、アジャイルソフトウェア開発においては工程や改善活動を定期的に反復することが重要であり、前提でもあります。
この反復の期間を「スクラム」では「スプリント」と呼びます。一般的に「スプリント」の長さは2週間に設定することが多いのですが、クレイではほとんどのプロジェクトで1週間に設定しています。スプリントが短いことで、より頻繁に顧客からのフィードバックを得られ、早期に問題に対応できます。
「スプリント」が短いことによる直接のデメリットは今のところ感じていませんが、例えば顧客が遠方にいてレビューのたびに訪問しなければならない場合、移動時間がコストになります。
「プロダクトオーナー」と「チーム」
「プロダクトオーナー」は製品のビジョンを示し、要件を決める役割を持った人を指します。「チーム」は「デザイナ」や「プログラマ」といった「開発者」を指します。この2者の利益は相反する場合があるため、兼任を避け、はっきりと役割分担することが求められます。
クレイの場合は「顧客」が「プロダクトオーナー」となり、社内の顧客担当者が補佐をします。「プロダクトオーナー」は要件と、その優先順位を決める権利(と責任)を持ちますが、実装にかける時間を決定するのは、「チーム」です。実装に関するチームの権利を守ることは、ソフトウェアの健全性を維持することにつながります。
「ユーザーストーリー」と「プロダクトバックログ」
「ユーザーストーリー」とは、製品の要件をユーザーの視点で表現した文で、「プロダクトバックログ」は「ユーザーストーリー」を優先順に並べたリストです。クレイでは要件は全て「ユーザーストーリー」として表現し、「Pivotal Tracker」というWebアプリケーションで管理しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.