これで差がつく、知っておくべきバックアップの技術と戦略:業務で使えるバックアップの基礎知識(2)(2/4 ページ)
バックアップの計画を立てるに当たっては、いくつかのバックアップ技術や戦略を考慮すべきです。これらを利用してバックアップ手法を工夫することで、一見困難と思われるバックアップも解決可能です。
戦略を立ててストレージを有効活用
実際にバックアップを取るに当たっては、その戦略が重要になります。これを「ステージング」と呼びます。限りあるストレージ容量を効率よく活用するために、バックアップデータの重要度や鮮度によって、バックアップデータを適切なストレージ装置に保存しようとする考え方です。さらに、バックアップデータの長期保管と利便性を両立するためにも必要です。
以前は、「D2D2T(Disk to Disk to Tape)」と呼ばれる、ディスク上にあるデータをいったん別のディスク装置にバックアップし、一定期間経過後にそのバックアップデータをテープに移して長期保管する方法が採られていました。バックアップ先としてもディスクが広く使われるようになった今では、データの長期保管にもテープではなく、ディスクを用いる「D2D2D(Disk to Disk to Disk)」といった方法が採用されることもあります。
また、災害対策に対する意識が高い昨今では、地理的に遠く離れた場所にバックアップデータを保管するケースも見受けられます。離れた場所へバックアップを取る場合、一般的にはネットワーク越しに実行するため、従来はネットワークの速度が課題でした。今では、後述する重複排除技術によって、ある程度解決できるようになってきています。
なお、遠隔地へバックアップを取る場合は、災害発生時にどのように遠隔地にあるバックアップデータを活用するのかを考えておく必要があります。実際、安全な遠隔地へ保存してあるバックアップデータをリストアしなければならなくなったときに、だれがどこにリストアするのか、といった計画を立てていないことが多く見受けられます。遠隔地側にもバックアップデータをリストアできるような環境を準備しておくことが理想です。
ステージングのメリットとデメリット
ステージングのメリットは、やはり、バックアップデータの戦略的な保管が可能になることです。利用する頻度が高いと思われる比較的新しいデータは手元の高速なディスク装置に保存しておき、あまり使わないと思われる古いデータはテープなど長期保管に向いたストレージ装置に移すことで、重要度を踏まえたバックアップデータの保管が可能になります。
デメリットは、2カ所のバックアップ先を管理する必要がある点です。バックアップデータの管理や、バックアップ先となるストレージ装置の物理的なメンテナンスなどの手間が、保管先が増えた分だけ増加します。特に、バックアップ先に利用しているディスク装置の機能を使ってバックアップデータをほかのストレージ装置に複製する場合には、個別にバックアップデータの管理が必要になるため、運用管理が煩雑になりやすい点に注意が必要です。
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