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工数削減だけじゃない、自動化ツールの真のメリット運用自動化ツールまとめ(国内ベンダ編)(3/4 ページ)

運用自動化というと「人員削減」「コストが掛かる」といったネガティブな見方をする向きも多い。だが仮想化、クラウド時代において運用自動化とはそれほど単純なものではない。国内ベンダ4社のツールに真の意義を探る。

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自動化はプライベートクラウドに欠かせない要件――NEC「WebSAM」

 運用自動化による標準化、効率化とともに、「プライベートクラウド基盤の実現」にフォーカスしているのがNECだ。同社では、運用自動化製品「WebSAM vDC Automation」と、サービスポータル製品「WebSAM Cloud Manager」を組み合わせて提供している。

 WebSAM vDC Automationは、社内の既存IT資産をリソースプールとして統合管理する「リソースプール管理」機能と、ITリソースの切り出し・配備などの作業を、定義した手順に沿って自動的に行う「運用自動化」機能を持つ。

 運用自動化機能では、仮想サーバのプロビジョニングなど、「複数の管理ツールを使って、複数のステップを踏む作業」を自動化できる。例えば仮想サーバのプロビジョニングだけではなく、ストレージの割り当て、ネットワークの設定、アプリケーションのインストール、その監視設定まで含めて、「業務で使える環境」を構築するまでの一連の作業を全て自動化できる点がポイントだ。

 リソースプール管理機能は、既存のサーバ、ネットワーク、ストレージに加え、仮想マシンやその上に構築した業務システムも含めて一元管理する機能。モニタリング、障害監視、性能管理といった運用管理機能を併せ持ち、各種ITリソースの使用状況を専用管理画面で一元的に把握・管理できる。

 一連の作業手順をGUIツールで容易に定義できる点も特徴だ。同社の場合も「仮想サーバを起動」「パラメータ設定」といった各種作業部品を用意しており、ドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置。線でつなげていくだけで、人が判断するステップも含めて自動運用シナリオを定義できる。 必要に応じて各種作業部品を開発することも可能だ。

 一方、WebSAM Cloud Managerは「セルフサービスポータル」機能を提供する。WebSAM vDC Automationと連携させることで、ユーザーの要求に対して自動的にITリソースを配備するプライベートクラウド環境が整う。具体的には、WebSAM Cloud Managerの管理画面上でユーザーが希望するリソースのスペックを指定すると、WebSAM vDC Automationにリクエストを送信。WebSAM vDC Automationが自動化シナリオに沿ってリソースを切り出し、WebSAM Cloud Managerの管理画面上で、そのリソースのIPアドレスやアカウント情報などを通知する仕組みだ。これにより、業務部門のエンドユーザー自身がリクエストして必要なITリソースが自動的に配備される。

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人手を介さないリソース配備はプライベートクラウドの一大要件となる(資料は2012年12月の取材時のもの)

 よく使うシステム構成を「サービスカタログ」として登録できる「サービスカタログ管理」機能もポイントだ。カタログの中から必要なサービスを選ぶだけで迅速に入手できる。各サービスの価格(利用部門への配賦額)と サービスレベルを定義可能であり、すぐに実運用の環境が整う点も大きな特徴だ。

 なお、システム運用の自動化を行うWebSAM vDC Automationとは別に、パッチ適用など定型業務を自動化するジョブスケジューラ、「WebSAM JobCenter」も用意している。同製品もジョブの流れをフロー図を描くように定義できるGUIツールを用意しており、条件分岐も容易に設定できる。大量のジョブも効率よく管理できるよう、定義したジョブフローをMicrosoft Excelやテキストファイルに変換して分割編集・一括登録することも可能だ。

 以上のような、「全社規模でリソースを共有し、リクエストに応じて人の手を介さず自動的にリソース配備できる仕組み」は、まさしくNIST(米国国立標準技術研究所)によるクラウドコンピューティングの定義にかなうものだ。しかし現在、サーバ仮想化に取り組んでいる企業は多いものの、部門・拠点単位のリソース共有にとどまっている例が多い。自動化も国内では浸透しているとはいえない。

 WebSAM vDC Automationはそうした現状も鑑み、全社のIT資産をリソースプールとして一元管理しながら、リソースプールを部門・業務ごとに分割して利用できる「サブリソースプール」機能も持つ。全社のリソースを共有しながら、一定範囲のリソースプールを使える管理権限を各部門に提供することで、従来通り、「各部門が個別にリソースを保有しているかのような運用」も行える仕組みだ。

 こうした機能群を俯瞰すると、局所的なリソースプールの全社的なリソースプール化、運用の標準化、自動化といった要件が、サーバ仮想化からプライベートクラウドに至る重要な足掛かりとなることが、あらためて見えてくるのではないだろうか。

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