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英語の読み方・ニュースの読み方――iOS 7の秘密兵器「iBeacon」のポテンシャル三国大洋の箸休め(19)

以前の記事でも触れた、アップルがiOS 7で追加した「iBeacon」。北米のApple Storeでは、この技術を利用した仕組みが稼働し始めたという。今回はそのニュースを取り上げよう。

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 以前の記事でも触れた、iOS 7で追加された新機能「iBeacon」。北米のApple Storeでは、この技術を利用した仕組みが稼働し始めたという。今回はその動きに関するニュースを取り上げよう。

今日の例文

But the size of that rollout is deceptive for a couple of reasons ― and the full implications of the impact on Apple’s iPad business, the internal mapping industry and the retail market are far bigger than anyone has really copped to.

Specifically, most of the coverage of iBeacons so far has failed to recognize a very important reality of this system: every iOS device since the iPhone 4s and iPad 3rd gen is already capable of being either an iBeacon receiver or transmitter, as long as it’s properly configured.

The Open Secret Of iBeacon: Apple Could Have 250M Potential Units In The Wild By 2014 - TechCrunch

http://techcrunch.com/2013/12/07/the-open-secret-of-ibeacon-apple-could-have-250m-units-in-the-wild-by-2014/


ワード&フレーズ

 では、上記の例文に出てきたキーワードとキーフレーズを見ていこう。

原文
deceptive (「deceive」:欺く、惑わす、の形容詞)
a couple of〜 2つの〜
implication 含み、(今後への)影響(imply:〜を意味する、の名詞形)
impact (on 〜) 〜に対するインパクト
cop 把握する(「cop」を動詞として用いる例はあまり目にしたことがないが、文脈から「grasp」などとほぼ同じ意味と推定)
specifically 具体的には(specific;特定の、具体的な、の副詞形)
fail to〜 〜していない(「fail」は期待された状態にならないことを示す場合に使われることのほうが一般的。「fail」すなわち「失敗する」ではない)
configure 設定する

ニュースの背景:

 アップルがiOS 7で追加した「iBeacon」という技術については、以前に少し触れたことがあった(「NFCキラー」となるか? MLB、注目のiBeacon技術を各球場に導入へ)。

 この技術を利用した仕組みが先週金曜日(米国時間6日)から、北米に254店舗あるApple Storeで稼働し始めたというニュースがいろんな媒体で流れていた。例えば、この話を報じたThe Vergeの記事では、iBeaconについて「iOS 7の秘密兵器」などと呼んでいる。

 iBeaconの仕組みを使ってiPhone/iPadユーザーに提供されるサービスについては、例えば、(オプトインしたユーザーの)Apple Storeアプリで「来店時にお勧めの商品を知らせる」、iPhone関連製品のコーナーに足を運んだユーザーには「アップグレード(買い換え)可能かどうかを確認するかと尋ねてくる」などが例として挙げられている。

 ただし、スタート当日にニューヨークの五番街ならびにグランドセントラル駅にあるApple Storeにそれぞれ足を運んだThe Vergeの記者によると、まだまだ本格稼働とはほど遠い状態のようでもある。なお同記事中には、iBeaconの発信機モジュールの写真(棚板の下側に目立たない形で貼り付けられている)も掲載されていたりする。

 一方、AllThingsDの記事を読んでいて改めて気付かされたのは、iBeaconの仕組みを使ってできる(あるいは今後可能になると思われる)ことの面白さだ。買い物客として得られる情報やサービスもかなり面白そうだが、それ以上に、店舗側の立場で活用方法を考える方がはるかに面白いのではないか、ということだ。

 例えば、商品をWeb(のApple Store)から注文し、リアル店舗に受け取りにきた顧客に対して、アクセサリ類を一緒に買ってもらう、いわゆる「アップセル」といったことが簡単に実現できそうである。Apple Storeアプリ―EasyPay―Touch IDとつながれば、文字通り「人の手」(店舗スタッフ)の手を介さずに、アップセルが可能になるのではないか。

 さらに、顧客の来店日時、滞在時間の長さ、たどった導線、興味を示したアイテム類(特定のコーナーにいた時間の長さ)、実際に購入したアイテム、来店頻度など、さまざまなデータが取得できるという。要は、Amazonのようなリテールサイトで行われているデータ収集に近いことがリアル店舗でできるようになる、ということだろう。

 既存の他の技術――Passbook、EasyPay、それにTouch IDを使ったユーザー認証/支払いなど――と、これがどう組み合わされていくかなどについては、正直、まだはっきりしない点が多く残っている感じもする。けれど、プロモーションから決済まで一気通貫(seamlessもしくはfrictionless)な仕組みができても、ちっとも不思議はない。そしてアップルだけに独り占めさせておくのはもったいない仕掛けと思われる。

 実際、そのあたりのことを指摘している記事も少なくない。例えばAllThingsDでは「アップルは、Apple StoreでのiBeaconの展開を、他の小売業者に対する大掛かりなデモンストレーションと見なしている可能性が高そうだ」などと記している。

 もう1つ、これが特に重要に思える点だが、専用の発信機だけでなく、比較的新しいiPhoneやiPadもiBeaconの「発信機」として使えてしまうらしい。例文に挙げた文章はその点を記したものだ。発信機自体も決して高価なわけではないし(既存のもので1個33ドル程度とか)、また最近では対応モジュール(パーツ)が300円から、といった価格で発売され始めていると聞く。

 引用したTechCrunch記事の例文のすぐ後には、「iBeacon」に対応可能なiOS端末(iPhone 4s以降およびiPad第3世代以降)が、全世界で1億7000〜9000万台程度出回っているというアナリストの推定が紹介されている。そのうちのどれくらいが小売店舗で導入されたものかは定かでないが、POS端末やメニューその他の情報表示用キオスクとして、小売りの現場で使われているものも多い。

 TechCrunchの記事の中には、その点を印象付けるためだろう、レブロン・ジェームス(LeBron James:NBAマイアミ・ヒート)の経営するブティック「Unknwn in Miami」の店内の写真なども掲載されている。そこでは、壁面に並んで陳列されたバスケットボールシューズそれぞれにiPadが1台ずつ付属しているのだ。

 だとすると、NFC対応POSレジの普及に際して大きな問題となっていた「ニワトリが先か、タマゴが先か」という課題は一気に解決する……かもしれない(もちろん、ソフトウェア側を用意する必要はあるが)。

 iOS端末のユーザーとしてアップルに期待したいのは、位置情報などiBeaconに直接関係しないものも含めて、同社が収集したデータをユーザー本人が(自分に関するものだけ)確認できるようにしてほしい、ということ。

 ぱっと思い浮かぶのは「Web(ブラウザ)の閲覧履歴やcookieみたいなもの」というイメージだが、期待する理由は、相手に自分のことをどれくらい知られているかが分からないと、やはり、なかなか相手のことを信用する気持ちにはなれないからだ。便利そうだと分かっていても、サービス利用をためらってしまいかねない。

文章の分解

 上記の背景を踏まえて、冒頭の英文を少しずつ区切りながら読み解いてみよう。

[1] But the size of that rollout is deceptive for a couple of reasons /

[2] ― and the full implications /

[3]of the impact on Apple’s iPad business, the internal mapping industry and the retail market)

[4] are far bigger than anyone has really copped to.

[5] Specifically, most of the coverage of iBeacons so far has failed to recognize a very important reality of this system: /

[6] every iOS device (since the iPhone 4s and iPad 3rd gen) is already capable of being either an iBeacon receiver or transmitter, /

[7] as long as it’s properly configured.


[1] だが、このiBeacon展開の規模(=Apple Store 254店舗での稼働)は、2つの理由から人目を欺くものである

[2] そして、[3]から生じる影響は[4]である

[3] iBeaconがアップルのiPad関連ビジネス、屋内マッピング関連業界、そして小売市場に与えるインパクト

[4] 人々が理解しているよりもはるかに大きい

[5] 具体的にいうと、これまで世に出たiBeaconについての報道は、このシステムの非常に重要な現実[6]を認識していないものがほとんどだった

[6] (iPhone 4およびiPad 3以降の)あらゆるiOS端末が、iBeaconの受信機としても送信機としても利用できる機能を内蔵している(という現実)

[7] それが正しく設定されている限り


 ……どうも日本語に直しにくい文章である。参考までに意訳も載せておく。

iBeaconを使ったシステムが254店舗のApple Storeで稼働し始めたと聞いて、大したことではないと勘違いするかもしれない(しかしそう判断するのは、後に述べる2つの理由から誤りである)。――そして、今後iBeaconがアップルのiPad関連ビジネス、屋内マッピング関連業界、および小売市場のそれぞれに与えるインパクトの影響は、だれもまだ本当には理解していないほど大きなものである。

具体的にいうと、これまで世に出たiBeaconについての報道は、このシステムの非常に重要な点に触れていないものがほとんどだった。非常に重要な点とは、iPhone 4およびiPad 3以降のあらゆるiOS端末が、正しく設定されていれば、iBeaconの受信機としてもまた送信機としても利用できる機能をすでに内蔵しているという事実である。


もう一度英文を

 では最後に、もう一度英文を読み直してみよう。

But the size of that rollout is deceptive for a couple of reasons ― and the full implications of the impact on Apple’s iPad business, the internal mapping industry and the retail market are far bigger than anyone has really copped to.

Specifically, most of the coverage of iBeacons so far has failed to recognize a very important reality of this system: every iOS device since the iPhone 4s and iPad 3rd gen is already capable of being either an iBeacon receiver or transmitter, as long as it’s properly configured.


【復習】

1. iBeaconに対応する機能が内蔵されているiOS端末の機種は?

2. iBeaconの影響が及ぶと考えられる3つの分野・対象とは何でしょうか?

3. iBeacon関連の報道でこれまで触れられていなかった「非常に重要な点」とは何ですか?


三国大洋 プロフィール

オンラインニュース編集者。「広く、浅く」をモットーに、シリコンバレー、ハリウッド、ニューヨーク、ワシントンなどの話題を中心に世界のニュースをチェック。「三国大洋のメモ」(ZDNet)「世界エンタメ経済学」(マイナビニュース)のコラムも連載中。


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