仮想・物理を融合したSDNへ踏み出すミドクラ:Cumulusとの提携の「次」
ネットワーク仮想化のミドクラが3月24日、Cumulus Networksと提携し、VXLANゲートウェイソリューションを提供開始すると発表した。ミドクラはさらに、仮想・物理を融合したSDNソリューションの提供を目指している。ミドクラのCEO、ダン・ドミトリウ氏に今後の展開を聞いた。
ネットワーク仮想化のミドクラが3月24日、汎用スイッチ上で動かすLinux OSである「Cumulus Linux」のベンダ、Cumulus Networksと提携し、VXLANゲートウェイソリューションを2014年第3四半期までに提供開始すると発表した。ミドクラはさらに踏み込んで、仮想・物理を融合したSDNソリューションの提供を目指している。ミドクラのCEO、ダン・ドミトリウ(Dan Dumitriu)氏に今後の展開を聞いた。
Cumulus Linuxは汎用スイッチに搭載して使うことのできるネットワークOSソフトウェア。Linuxベースであるため、サーバエンジニアが安価なハードウェアを活用し、自身のスキルでネットワークも管理できるメリットがある。現在のところ、同社のハードウェア互換リストにはBroadcomチップを使った、デル、Quanta、Edge-corE、Penguin Computing、Agemaのスイッチが掲載されているが、Cumulus Linuxはインテル、Marvellにも対応する。
ミドクラとCumulusによる今回の発表は、Cumulus Linuxが動くハードウェアスイッチを、VXLANゲートウェイとして用い、ミドクラのMidoNetによる分散VXLANトンネリングと、物理ネットワークとの間の橋渡しをさせるというもの。具体的には、Cumulus Linux上に実装済みのOVSDBプロトコルとのインターフェイスを、ミドクラがMidoNetに実装し、動作を検証してソリューションとして提供する。
Nicira/ヴイエムウェアはArista Networks、ジュニパーネットワークスなどの商用ネットワーク機器ベンダとの連携で、同社のVMware NSXによるネットワークと、物理ネットワークとの接続を実現している。CumulusもNicira/ヴイエムウェアと連携し、VXLANゲートウェイ機能をすでに提供している。ミドクラとCumulusのソリューションはこれと同様だ。
だが、ドミトリウ氏は今回の提携について、「例えば、われわれが最優先クラウドプラットフォームと考えているOpenStackの顧客における多様な導入形態において、非常に重要な意味を持つ」と話す。ミドクラはOpenStackディストリビューションベンダとの連携を強化しており、今回の提携でも、オープンなクラウドプラットフォームに、汎用ネットワークスイッチ、オープンなネットワークOS、そして同社のオープンなネットワーク仮想化を組み合わせることのメリットを押し出そうとしている。
Cumulusとの連携には、次があるとドミトリウ氏は続ける。「Cumulus Linuxは、データセンター内のすべてのスイッチ上で動かせる。当社のソフトウェアエンジンも、その上で直接動かせるようにしていきたい。今年のネットワーク業界で起こっている面白いことは、インテルのx86プロセッサがスイッチハードウェアで使われようとしていることだ。するとこれまでよりも多くのソフトウェアが、スイッチ上で直接動けるようになる。当社は、これを実現する最初のベンダの1社になりたい」。MidoNetは分散コントローラを持つネットワーク仮想化ソフトウェアだ。このためアーキテクチャ的にもこうした実装方法との親和性が高い。ミドクラでは、Cumulus以外のネットワークOSベンダやスイッチハードウェアベンダとも、同様の協業をしていくつもりだという。
「これにより、これまでのネットワーク仮想化ではできないきめ細かなQoS制御ができるようになる。もう1つは物理ネットワークのデバッグだ。VXLANのようなプロトコルを使う新しいオーバーレイシステムは、物理ネットワークで接続に問題が生じても、知ることができない。スイッチ上で何らかのプローブ機能を動かして、何が起こっているかが分かるようにしたい。このように、スイッチ上で直接われわれのソフトウェアを動かすことで、ネットワーク運用担当者に、もっと多くの機能を提供できる」。
これまで、ネットワークの世界は、相互接続性を備えたプロトコルを開発することが、ほとんどすべてだった、しかしいま、スイッチ上でソフトウェアを直接動かすという新たな局面に入ろうとしている、とドミトリウ氏は話した。
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