プライベートクラウドの運用管理は誤解されている:プライベートクラウドをめぐる誤解(3)(1/2 ページ)
プライベートクラウドの運用管理というと、各組織の状況を考慮せずに、1つのやり方を押し付けるような言い方がよく見られる。今回は、これまでのIT利用体制に応じ、プライベートクラウドの運用管理における力点が変わるべきだという点をお伝えする。
プライベートクラウドに関する最大の誤解は、クラウドそのものに対する誤解だ。このことは運用管理とも大きく関係する。ITインフラの運用管理は、まず仮想化統合を進めることで変わらざるを得ないが、プライベートクラウドを目指すことでさらに変わらざるを得ない。
「クラウド」とは、「クラウドサービス事業者」が運用するサービスだけを意味する言葉ではない。企業や企業グループ、その他の組織におけるIT担当部署、あるいはIT子会社が運用するクラウドも、有効な選択肢になる。いずれにしても、「利用者が、利用したいものを、利用したいだけ、利用するということに専念できるようなIT消費スタイル」への移行は避けられない(この場合の利用者とは、主に業務部門だが、情報システム担当部署を含む企業あるいは組織全体でもある)。従って提供者は、こうしたニーズを充足するようなITインフラ運用とはどのようなものかを考え、実行していく必要がある。
組織によるクラウドニーズの差異と共通点
クラウドを求めるニーズは、組織によって異なる。ここでは、組織による違いを2つの側面から分類してみたい。
ビジネスプロセスの違いとニーズの違い
第1に、業種など、ビジネスの性質に起因する違いがある。
一般的にIT企業――特にオンラインサービスの企業は、ソフトウェア開発とサービスの運用が競争力を大きく左右する。ほとんど「ビジネス=IT」であるため、業務部門におけるクラウドニーズは非常に高い。そのニーズにおいては、インフラの迅速性、柔軟性、伸縮性が大きな比率を占める。
一方、公共自治体など、日常的に多数のITプロジェクトが並行して走るというわけではない組織も多い。こうした組織は、業務部門のクラウドニーズはIT企業ほど大きくないかもしれないが、組織としてのクラウドニーズはある。運用を集中することで、IT利用における無駄を減らすとともに、安定的で確実に使えるようにすることが比較的重要なテーマとなる。
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