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徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(2)(3/12 ページ)

運用自動化のポイントを深掘りする本特集。今回は「個々の作業項目の自動化」に焦点を当て、「Zabbix」「JobScheduler」「Sensu」など、運用・監視系の主要OSS、10種類の特徴、使い方などを徹底解説する。

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Cactiのプロフィール

 CactiはThe Cacti Group社が開発を行っているシステム監視ソフトウェアだ。Nagiosと並んでシステム監視系では古豪製品となる。サーバーやネットワーク機器のリソース使用状況のグラフ化を、インストール後の基本設定のみで行うことができる。

 ライセンスはGPLとなっており、全ての機能を無償で利用可能だ。2001年9月23日に最初の公開が行われ、現在も開発が続けられている。最新バージョンは2013年8月13日リリースの0.8.8bとなる。

特徴

 CactiはPHPで開発されており、PHPが動作するプラットフォームであればLinux以外の商用UNIX/Windows OSでも稼働させることが可能。収集・集計した監視データはApacheなどのHTTPサーバーを経由しブラウザーでアクセス。収集したデータはRDB(デフォルトはMySQL)に格納する。インストールは標準ではtarファイルを解凍してフォルダーに配置する形だが、EPELリポジトリを利用することで、yumコマンドでインストールすることもできる。

 サーバーOSやネットワーク機器などに標準で搭載されていることが多いSNMPを利用し、その情報を基にシンプルなオペレーションでグラフを作成できる。標準登録されている各OS、機材に対応したテンプレートを適用することで、ほぼ自動的にグラフが作成されるが、Windows server OSなどでは、追加テンプレートのインストールが必要となる場合もある。追加テンプレートはユーザーフォーラムなどで公開されている。

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Cactiの画面イメージ《クリックで拡大》

 標準ではリソース使用状況の収集は行えるが、システム監視として必須となる死活監視のアラートメール送信や閾値チェックの機能が存在しない。そこで、不足機能を補うためのプラグインの開発が進められている。プラグインには、Cactiの機能として正式にサポートされている「Support plugins」と、有志が作成した非公式な「User plugins」が存在。プラグインはこちらからダウンロードが可能。

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Cactiの画面イメージ《クリックで拡大》

 現在はプラグインを中心に開発が進められているが、将来予定されているVer 1.0.0ではAjax対応、多言語対応、中核プラグインの本体への取り込み、プラグインインターフェースの強化などが予定されている。フォーラムも比較的活発に発言が行われている。

 歴史の長い製品であるため、文献や情報、ブログなどの記事も多く、情報の入手に困ることはほとんどない。導入時に保守サポートなどが必要な場合、環境構築、導入支援、カスタマイズ、分析などのサポートサービスを行っているベンダーも多数存在する。

優位性と劣位性

優位性

  1. 製品自体の歴史も長く技術的に成熟しており安定している
  2. 環境構築や設定などの情報が多く存在し、技術的課題の解決が容易
  3. 製品自体がシンプルで環境構築〜監視設定までの構築作業負荷が低い
  4. テンプレートで生成したグラフの視認性が高い
  5. ユーザーアカウントごとに参照可能なデータの制限が可能
  6. プラグインを導入することで一般的なシステム監視ツールとして利用が可能

劣位性

  1. SNMPに非対応の製品の監視が行えない(IPMIなど)
  2. エージェントが存在しないため、監視対象サーバー内の監視項目自動検出やプロセス監視などが行えない
  3. サーバー高負荷やdisk fullになるとSNMPの反応がなくなり状況が把握できなくなる

利用シチュエーション

  1. 小規模システムや開発環境のリソース監視に利用する
  2. クラウドサービスなどでリソース使用状況を開示するインターフェースに利用する

 利用実績も多く、本体の構築事例のみではなく、OSSプロダクト利用による監視基盤のクラスタリングの事例も多数存在する。プロダクト利用に過去の実績と安定性を重視する場合に利用するには適していると考えられる。サービスを利用するためのインターフェースもSNMPのみとシンプルであり、監視対象のサーバーやネットワーク機材への影響も不可も非常に少なく導入がしやすい製品となっている。

 ただエージェントが存在しないため、ミッションクリティカルな監視基盤にするには若干機能が不足といえる。リソース状況の監視や開示などのインターフェースに利用するのが最適だと考えられる。

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