CloudantとCouchbaseは似て非なる兄弟?/オラクルのSQL on Hadoop「Big Data SQL」:Database Watch(2014年9月版)(2/2 ページ)
データベースサービスを提供しているCloudantと、オラクルの高速クエリ技術をHadoopに応用し多様なデータを統合的かつシンプルにアクセスできるようにしたOracle Big Data SQLを紹介します。
オラクルの高速クエリ技術を応用した「Oracle Big Data SQL」
2014年9月1日、日本オラクルは「Oracle Big Data SQL」を発表しました。こちらはエンジニアドシステムの「Oracle Big Data Appliance」で稼働するソフトウェアオプションという形で提供されます。提供開始時期は9月中とのことです。また機能上、前提としてOracle Big Data Applianceだけではなく、「Oracle Exadata」と「Oracle Database 12.1.0.2」以降のエンタープライズエディションも必要になります。
最近のオラクルは「データベース市場だけではなくビッグデータ市場でもナンバーワンを獲得していく」とビッグデータ市場に強い意欲を見せています。実際にビッグデータ専任部隊を結成して販売体制を強化し、海外の最先端なビッグデータ事例やソリューションを日本で展開するなどの施策を予定しています。もちろん、それだけではありません。ビッグデータ市場で有効となりそうなのが今回の製品です。
一般論として、昨今語られている“ビッグデータ”は、これまで技術的に不可能とされてきた大量のデータ集計や分析が技術的に可能となり、新たな気づきが得られるようになったことの総称といえます。さらに最近ではリアルタイムオファーを実現してビジネスに役立てようという動きが活発です。例えば「すぐ近くの店舗でお客さま好みのアイテムを販売しております」というように、ユーザーの現在地から近距離にある店舗を抽出し、好みに合わせたオファーを行うことです。これを実現するには多様でつねに変化し続けるデータを早く処理するだけではなく、さまざまなノウハウも必要になります。
日本オラクル専務執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏(写真)はビッグデータ活用の障壁として3点挙げていました。
まず「複雑なインテグレーション」。処理したいデータは形式、格納場所、使用するソフトウェアなど多様です。これをいかに統合するか。次に「多大なデータ準備。スキル育成」。多様なデータを収集し、それを扱うスキルも必要となります。そして最後に「セキュリティガバナンス対応」。
技術的な問題となるのが最初の2つ、インテグレーションとスキル育成の部分です。昨今普及しているNoSQLやHadoopではこれまで慣れ親しんできたRDBMSのデータ集計とは勝手が違います。形式の多様化や分散化しているデータをいかに統合的に扱えるかが課題です。
そこで「SQL on Hadoop」技術です。ここ数カ月その話題が続いているように、今回の製品も「SQL on Hadoop」を実現するものです。Hadoopの「HDFS」を「Oracle Database」の配下に置くイメージで、ユーザーはオラクルのSQLでOracle Database、NoSQL、Hadoopという構造化データと非構造化データの両方にアクセスできるようにしています。三澤氏は「オラクルのSQLのみであらゆるデータを透過的にアクセスできます」と話していました。
Oracle Big Data ApplianceではClouderaのHadoopディストリビューションである「CDH」にデータが格納されています。ここにOracle DatabaseやOracle Exadataで培った高速クエリ技術「SmartScan」を応用しています。データがストレージにある段階から抽出などの処理を行い、コンパクトにしてからデータベースサーバーに送ります。これをOracle Big Data ApplianceのHDFSでも行うということです。もうRDBMSもHadoopも垣根がなくなってきたようですね。
なお、Oracle Databaseから透過的にアクセスできるようにするため、これらの機能を使うには冒頭に述べたようにOracle Big Data Applianceだけではなく、Oracle ExadataやOracle Databaseが必要です。オラクルの技術がNoSQLもHadoopもまるごと飲み込んだかのようですね。
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