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運用自動化、ここだけは押さえておきたい4つのポイント特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(6)(1/2 ページ)

運用自動化が求められる背景から実現法、ツールの選び方、適用法まで、全方位的に解説してきた本特集。今回はこれまでの記事を基に、実現のポイントをシンプルに振り返る。

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運用自動化の実現に当たり、何を目指し、何に留意すべきなのか?

 テクノロジの進展を受けて、ビジネスとITの距離は年々縮小し、ITのパフォーマンスがビジネスのパフォーマンスを左右する時代になっている。こうした中、市場環境変化が速い中でも着実にビジネス機会を獲得するために、「速くシステムを開発し、迅速にリリースし、エンドユーザーの反応を見て改善/廃棄する」といった一連のフィードバックサイクルをスピーディに回すアプローチが重視されている。

 これはSoE(System of Engagement)と呼ばれるフロント系システムはもちろん、SoR(System of Record)に属するバックオフィスシステムについても、フロントの変更に応じたスピーディな改善が求められる点で、多くのシステムにおいて無視できないトレンドになっているといえるだろう。

 一方で、運用管理にも開発のスピードに対応できるスタンスが求められている。開発成果物をスピーディに展開し、安定的に運用しながら、システム拡張、機能変更にも迅速・柔軟に対応する――これに人海戦術だけで対応することは難しい。本特集のテーマ「運用自動化」は、「省力化」「コスト削減」といった観点で語られることが多かったが、ここにきて、こうしたビジネスを支える“攻めの手段”としての認識も浸透しつつあるのだ。

 では実際にその実現に乗り出すに当たっては、何に留意し、どのようなゴールを目指せばよいのだろうか? 今回は特集第1クールの最終回として、これまでの記事の中でも運用自動化実現の軸となるポイントをまとめた。あらためて取り組みの要点を押さえてみてはいかがだろうか。では早速、本論に入ろう。

ポイント1:最初にして最大のハードルは「プロセスの標準化」

 運用自動化で、まず取り組まなければならないのは「運用プロセスの棚卸し」と「標準化」だ。特に標準化に当たっては、現状のプロセスを見直し、より効率的な形を検討する必要がある。現状の運用プロセスが分からないことにはツールにプロセスを設定できないのは当然だが、効率的なプロセスにブラッシュアップしておかなければ、非効率な要素が残った作業をそのままツールに置き換えるだけとなり、ツール導入の意義と効果が半減してしまうためだ。

 だが、この標準化が最初にして最大のハードルとなる。この標準化では大きく三つの留意点が挙げられる。

作業の可視化〜誰でも正しく理解できる手順書への落とし込みがキモ〜

 一つ目は各種運用作業プロセスの可視化だ。仮に作業手順書があっても、属人化/形骸化しているケースは多い。そこで運用管理スタッフにヒアリングして文書化する、あるいは文書化してもらった上で、手順を見直し、より効率的なプロセスを検討する。

 ただ、ここで一つ問題となるのが、文書化する際の記法だ。それを読む人や、知識/スキルレベルによって理解がまちまちになってしまうようでは可視化・標準化したことにはならない。特に人材の入れ替わりが頻繁に発生するケースも多い中では、「専門知識がない人でも、それを読めば一連の作業を滞りなく実行できる」レベルにまでプロセスを整備し、正確に文書化することが求められる。これによってツールに正しく作業を設定できるのはもちろん、仮にツールを導入しなかったとしても属人化の抑制、作業の効率化が望める。

参照記事

自動化する作業の切り分け

 二つ目は、「ツールで行う作業」と「人が行う作業」の切り分けだ。自動化するプロセスを検討する際、第一の基準となるのが「パッチ当て」「サーバー死活監視」など、毎日決まった手順で繰り返し行っている定型作業だ。それらのうち、作業工数が多く運用負荷が高いものから自動化の対象にしていく。一方で、例えば「ハードディスクの交換」など、どうしても人手が必要、あるいは自動化してもさほど効率化が望めないような作業は自動化の候補から外していく。

 また、仮想化、クラウドが浸透している現在、「サーバー監視の結果を受けて、リソースを追加する」といった、「複数のツールを使って、複数のステップを踏む作業」の自動化を検討することが効率化の大きな鍵となる。ここで「単一の作業を自動化」するジョブスケジューラーではなく、複数のツールの司令塔となり、「複数の作業ステップを自動化」するランブックオートメーションの利用を考えることで、効率化の可能性が大きく広がる。

参照記事

「自動化する作業」と「人手による作業」の連携

 「自動化する作業」と「人手による作業」の連携も重要なポイントとなる。運用管理は一連のプロセスである以上、これらがスムーズにつながっていなければ意味がない。例えば「サーバー監視の結果を受けて、リソース追加の承認を得て、実際にリソースを追加する」といったプロセスであれば、サーバー監視、リソース追加はツールが行っても、「リソース追加量の判断と承認作業」は人手で行うことが想定される。先に挙げた作業手順書において、こうした「ツールによる作業、人手による作業を連携させた一連の手順」を誰にでも正しく分かる形で記述する必要がある。

 また、標準化を考えれば、「リソースの追加量は、あらかじめ候補を絞って選択式にしておく」「承認作業はワークフローシステムを使う」など、属人化しやすい要素を排し、極力“仕組み化”するアプローチが重要となる。

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