日本HP、中小規模インメモリデータベース向けサーバー製品を投入:金融機関でのSuperdome XとSQL Server 2014の検証も
SQL Server、SAP HANAを使ったインメモリデータベースを中小規模でも。日本HPでは製品ラインアップ拡充と共に、データのビジネス活用促進を本格的に支援する体制を強化する。
2015年7月17日、日本ヒューレット・パッカード(HP)は、同社第9世代ProLiantサーバー「ProLiant サーバー Gen9」のラインアップに、インメモリデータベース向けのエントリーモデルを追加した。大容量メモリを搭載したことで、インメモリデータベースでの活用やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)などにも利用しやすい構成になっている。
発表された製品はラックマウント型の「HP ProLiant DL560 Gen9」(DL560)と、ブレードサーバー型の「HP ProLiant BL660c Gen9」(BL660c)、SAP HANA向けに、従来のアプライアンスよりも柔軟な構成が可能な「HP ProLiant DL380 Gen9 SAP HANA TDI Compute Block」。
DL560は、最大1.5Tバイトのメモリ(DDR4)を搭載(今後3Tバイトまで対応予定)、ストレージはNVMeプロトコルへの対応を予定しており、最大24基の2.5インチドライブを接続できる。BL660cは最大1Tバイトのメモリ(DDR4)を搭載(今後2Tバイトまで対応予定)、最大4基の2.5インチドライブを接続できる。いずれもインテルXeonプロセッサー E5-4600 v3ファミリを搭載している。構成を見ると分かるように、従来の「ProLiant DL580 Gen9」や「Integrity Superdome X(Superdome X)」よりも中小規模での利用に適した構成になっている。
HP ProLiant DL380 Gen9 SAP HANA TDI Compute Blockは、従来のSAP HANAアプライアンス認定の構成にこだわらず、任意の構成でSAP HANAシステムを利用できる。SAP HANAの動作自体は保証されるので、より柔軟性の高い構成の選択肢が増えたといえる。
日本HP エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏は「インメモリデータベースについては、多くのデータベース製品が対応しており、デファクトスタンダードになると考えている。インメモリデータベースの効果が実証される一方で、用途・目的に応じたレファレンスが乏しいのが現状。関心ある企業でも導入に戸惑う状況がある」と、現状のユーザー企業における導入障壁を分析した。
そこで同社では、今後、あらゆる規模に応じたインメモリデータベース向けのサーバーラインアップを拡充、アプライアンスモデルやレファレンスも強化していくという。加えて、インメモリソリューション専門の販売体制も強化するとしている。
Superdome X+SAP HANA/SQL Serverの検証が進む
発表では2014年末に日本国内での販売を開始したSuperdome Xの最新情報が、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)および、日本マイクロソフトから発表された(関連記事)。
CTC ビジネス企画・CRM推進チーム 下地俊一氏は、インメモリデータベース製品「SAP HANA」とSuperdome Xを使ったHPDA(High Performance Data Analysis)基盤の検証の成果を発表。
CTCでは、現在、日本HPの検証センターを利用してHPDA基盤の検証や導入支援を進めており、会見では、HPDA基盤を使ったスマートメーターのデータ分析に関する検証事例が披露された。各メーターから30分おきに送信されるデータを420万世帯分(47億レコード)のパターン化と最適化が「現実的な時間」で実現可能であるという。同社では、電力や金融業界を中心にHPDA市場拡大を目指すとしている。この他、同社にはSAP ERPとOracle Databaseの組み合わせをS/4 HANAにリプレースするニーズも高いという。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 技術顧問である「Dr.K」こと熊澤幸生氏からは、日本マイクロソフトにおける国内金融サービス系企業でのSQL Server 2014とSuperdome X、DL580の性能評価結果が披露された。
「この事例は世界最大のWindowsベースの基幹システム。現在、Superdome XでSQL Server 2014の検証を行っている。Superdome Xはスレッド処理にCPUのインターコネクトではなくノードコントローラーを使うため、高いパフォーマンスを得られる。これとハイパースレッド機能を組み合わせることでDL680を越える性能を実現できており、現在、240コアまではリニアにスケールすることが分かっている。次期Windows Serverではスレッド数やポート数の制限がなくなることから、さらに性能は高まると予測している」(熊澤氏)
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