2019年、「クラウドトラフィック」は現在の4倍の8.6ゼタバイトに:米シスコが予測を発表
米シスコシステムズは、世界のクラウドのトラフィック量が、現在の2.1ZB(ゼタバイト)から2019年末には4倍以上の8.6ZBに増加するとの見通しを示した。
米シスコシステムズ(シスコ)は2015年10月28日(米国時間)、今年で5回目となる年次リポート「Cisco Global Cloud Index(2014―2019)」を発表した。同リポートでは、世界のクラウドのトラフィック量が、現在の2.1ZB(ゼタバイト)から2019年末には4倍以上の8.6ZBに増加するとの予測を示している。
ここでいうクラウドトラフィックとは、データセンタートラフィックの一部で、インターネットを介して提供されるクラウドサービスによって生成されるトラフィックを指す。データセンタートラフィックの総量には、データセンター内およびデータセンターとエンドユーザーの間を移動する全てのトラフィックが含まれる。
同リポートでは、同じ期間にデータセンターの総トラフィックは3.4ZBから10.4ZBへと3倍に増加すると予測しており、クラウドトラフィックはそれより速いペースで増加するとしている。その要因として、モバイルデバイスの増加に伴うパーソナルクラウドの需要拡大や、ビジネス向けパブリッククラウドサービスの需要増加、これらのワークロードの密度を増加させるプライベートクラウドでの仮想化の普及拡大などを挙げている。また、マシンツーマシン(M2M)接続の増加も、クラウドトラフィック増加の潜在的要因と見ている。
地域別では、2019年にクラウドトラフィック量が最も多くなるのが北米地域(3.6ZB)で、次いでアジア太平洋地域(2.3ZB)、西ヨーロッパ(1.5ZB)の順になると予想。同様に2019年のデータセンタートラフィック量も、北米地域が4.5ZBで最も多くなり、次いでアジア太平洋地域(2.7ZB)、西ヨーロッパ地域(1.8ZB)の順になるとしている。
さらにシスコは、データセンターやクラウドトラフィックの拡大に伴い、人やプロセス、データ、モノをつなぐIoE(Internet of Everything)の影響力がさらに高まると予測している。さまざまなIoEアプリケーションが大量のデータを生成しており、その量は2019年には年間で507.5ZB(月間42.3ZB)に達すると予測。この値は、上で示した2019年のデータセンタートラフィックの予測値(10.4ZB)の49倍に当たる。現在は、これらのIoTアプリケーションが生成するデータのごく一部のみがデータセンターで保管されているが、今後は、ビッグデータアナリティクス(収集データの分析に基づく戦術/戦略的判断)の普及度合いに応じて、状況が変化する可能性があるとしている。
シスコでは、データを格納するクライアント機器の割合についても見通しを示している。現在、クライアント機器に格納されているデータの73%はPCに存在している。これが2019年には、格納されるデータの51%がスマートフォンやタブレット、M2MモジュールといったPC以外の機器に移るとした。その結果、消費者向けのクラウドストレージの需要が拡大し、より幅広く使用されるようになるとシスコでは予想している。
また、世界の家庭用インターネットユーザーのうちパーソナルクラウドストレージを利用するユーザーの割合は、2014年の42%(11億人)から2019年には55%(20億人以上)に増加するという。そして、2017年には世界のスマートフォントラフィックが年間201EB(エクサバイト)になり、これらのデバイスに保管されるデータの量(年間179EB)を上回り、クラウドストレージへの需要が増加する見通しだとした。
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