レノボへのOEM供給を発表、米ニュータニックスの進める「超ハイパーコンバージド」戦略:「究極の選択肢を提供」
ハイパーコンバージドシステムの主要ベンダーである米ニュータニックスは2015年11月4日(米国時間)、レノボとの提携を発表した。ニュータニックスはレノボに対してソフトウエアをOEM供給し、レノボはこれを自社のハードウエアに搭載して世界的に販売する。これは、「選択肢があることの価値」提供を目指すニュータニックスの戦略の一環ともいえる。
ハイパーコンバージドシステムの主要ベンダーである米ニュータニックスは2015年11月4日(米国時間)、レノボとの提携を発表した。ニュータニックスはレノボに対してソフトウエアをOEM供給し、レノボはこれを自社のハードウエアに搭載して世界的に販売する。具体的な製品については2015年12月初旬に発表し、提供開始は2016年第1四半期になるという。
ニュータックスはすでに、x86サーバーで第2位のマーケットシェアを持つデルに対し、OEM供給を行っている。レノボのマーケットシェアは第3位。ニュータニックスは、今回の発表により、サーバー分野で第2位、第3位のベンダーと提携することになったことの意味を強調する。また、米ニュータニックスの創業者兼CEOであるディーラジ・パンデイ(Dheeraj Pandey)氏は、今回の発表に関するブログポストで、ハイパースケールデータセンター向けのODMと、プライベートクラウド向けのハイパーコンバージドシステムOEMの動きが、サーバーの世界を変えつつあると書いている。
ニュータニックスは、ストレージをサーバーに集約したアプライアンス、いわゆる「ハイパーコンバージドシステム」の先駆者の一社。だが、これを超える存在を目指した動きを、特に2014年後半以降、活発化している。
米ニュータニックスのマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるハワード・ティン(Howard Ting)氏は2015年9月、「Optionality Value(選択肢があることの価値)」という言葉を使い、筆者に話していた。
まず、ハードウエアは1U、2Uのアプライアンスがベースだが、サーバーノード数、メモリ搭載量、記憶媒体の種類、容量など、さまざまな構成が可能になっている。
ハイパーバイザーも、以前はVMware ESXiのみだったが、2014年後半にHyper-Vサポートを発表、さらに2015年には、KVMベースのハイパーバイザーを選択肢に加えた。ティン氏は9月時点で、ニュータニックスをVMware vSphereで使っている顧客は80%に減少したと話した。「当社の最大の顧客は、1500のニュータニックス・ノードを、全てKVMで動かしている」。複数の仮想化環境を統合管理できるよう、同社の管理ツールは機能強化が進んでいる。
VMware ESXi/VMware vSphereとKVMを混在で使う顧客も増えつつあるという。業務アプリケーションはvSphereだが、ソフトウエア開発・テストやデスクトップ仮想化(VDI)はKVMで動かす動きが出てきているという(同社は2015年8月、XenAppおよびXenDesktopについて米シトリックスシステムズと提携した)。「現在はVMware vSphereで満足している顧客でも、今後KVMやHyper-Vに移行したいと思ったら、いつでもこれを実行できるという安心感も得られる」
興味深いのは、ニュータニックスが「App Mobility」と呼ぶ機能強化。これは数年を掛けて同社が進めていく取り組みで、異なるハイパーバイザー間の仮想マシン移行を透過的に行う。
関連して、クラウドとの連携強化も進めている。この機能はAmazon Web Services(AWS)へのバックアップからスタートしたが、ディザスタリカバリ、バースティング(クラウドへのオンデマンドでの仮想マシン投入によるスケーリング)に進化していくという。また、AWS以外のパブリッククラウド事業者にも対応していくという。
今回のレノボとの発表は、選択肢の拡大という観点でいえば、ユーザー組織にとってニュータニックスの入手機会が広がることを意味し、デルに続いてハードウエアベンダーを信頼する組織のニーズに応えやすくなる。
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