富士通がOpenDaylightを採用したSDN製品を展開:OpenDaylightを採用した3階層で構成
富士通は、通信サービスプロバイダーに向けた広域仮想ネットワーク運用制御・管理ソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora NC V03」の販売を開始した。OpenDaylightを採用し、標準的な各種インタフェースに対応する。
富士通は2016年1月6日、通信サービスプロバイダーに向けた広域仮想ネットワーク運用制御・管理ソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora NC(バーチュオーラ エヌシー)V03」の販売を開始したと発表した。Virtuora NC V03は、オープンソースのSDN(Software Defined Networking)コントローラー「OpenDaylight」を採用し、標準的な各種インタフェースに対応した。マルチベンダーで構成されたネットワーク構築の自動化と仮想化を実現するという。
通信サービス業界では、増大し続ける通信トラフィックに対応するため、ネットワークのリソースを増強したり、通信状況に応じて通信能力を制御したりできるよう、ネットワークを柔軟に再構築できる製品へのニーズが高まっている。Virtuora NC V03は、拡張性や柔軟性の高いネットワークを構築し、運用コストを削減するとともに、新たなサービスの展開を可能にするとしている。
具体的には、オープンプラットフォームとネットワーク装置の間で互いに情報を交換するための接続点を担う「サウスバウンドインタフェース」と、オープンプラットフォーム、ネットワーク装置の制御用ソフトウェアを配備するアプリケーションレイヤーの3つで構成されている。3階層に分けたことで、階層ごとにユーザーがアジャイルやDevOpsなどのソフトウェア開発手法を利用して、各種インタフェースやコントローラー上で動いているアプリケーションへの影響を最小限に抑えながら、ネットワークのメンテナンスやアップグレード、他のコントローラーへの移行などを行える。
サウスバウンドインタフェースは、YANG(Yet Another Next Generation)モデルやXMLで抽象化されている。また、ネットワーク管理プロトコルのTL1やNETCONF(Network Configuration Protocol)などの運用管理プロトコルをサポートしている他、マルチベンダーに対応する。
オープンプラットフォームでは、前述のようにOpenDaylightを採用しており、マルチベンダーのデバイスやサードパーティーのアプリケーションをシームレスに統合できる。OpenDaylightが備えるデータや機能へは、標準化されたREST(Representational State Transfer)に基づくAPIや標準的なデータモデリングによってアクセスできる。OpenDaylight対応のアプリケーションは、Virtuora NC V03に簡単に実装可能だ。OpenDaylightに関しては下記記事を参照してほしい。
- 「OpenStack Summit 2015 Tokyo:SDNプロジェクト「OpenDaylight」がもたらすインパクト、期待できること」
- 「OpenDaylightがネットワークにもたらすイノベーション」
アプリケーションレイヤーは、通信ネットワークの制御や管理、サービス実行、検証などのアプリケーション機能と、外部システムと連携するためのノースバウンドインタフェースで構成される。富士通が独自に開発したリソース検出や、経路計算などのモジュールの他、データ収集や分析機能、リソース管理のためのリソース管理のための外部インタフェースを搭載する。
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