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米EMCの新ハイパーコンバージドインフラ製品VxRailは、何が新しいかEVO:RAILとどう違う?

米EMCは2016年2月16日(米国時間)、ハイパーコンバージドインフラアプライアンス製品「VCE VxRail Appliance」を発表した。VxRailは従来のEVO::RAILベースのハイパーコンバージド製品に比べ、「飛躍的進化(quantum leap)」を遂げたという。本記事では、どこが新しいかを取り上げる。

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 米EMCは2016年2月16日(米国時間)、米ヴイエムウェアと連名で、ハイパーコンバージドインフラアプライアンス(以下、HCIA)製品「VCE VxRail Appliance」を発表した。ハイブリッドストレージ構成モデルは即日販売開始で、オールフラッシュモデルは第2四半期に提供開始される。VxRailは従来製品に比べ、「飛躍的進化(quantum leap)」を遂げたという。本記事では、どこが新しいのか、新しくないのかを取り上げる。

 米EMCはこれまで、ヴイエムウェアのHCIAプログラム「EVO:RAIL」に準拠した製品である「EMC VSPEX BLUE」を提供してきた。VxRailはこれとの共通点が非常に多い。2Uサイズの筐体に4コンピュータノードを収容するサーバに、VMware vSphere Enterprise Plus、VMware Virtual SAN、および初期設定や日常管理を容易にするヴイエムウェアの開発によるツールを搭載。EMCは今回のバーチャル発表イベントで、クラウドストレージをバックアップ/アーカイブなどに使える「EMC CloudArray」、仮想マシンの遠隔複製ができる「EMC RecoverPoint for VM」の制限付き無償ライセンスが付属することを宣伝していたが、これもVSPEX BLUEと変わらない。

 ではどこが変わったのか。主な違いは機種の豊富な選択肢と最小構成価格の安さだ。Virtual SANの進化も、VxRailの新しさを演出するのに一役買っている。

 まずVxRailは、EVO:RAILの画一的なハードウェア仕様から解放され、非常に多様な構成が提供される。サイズこそ全て2Uだが、搭載CPUのコア数の違いに基づき、SSD/HDDのハイブリッドストレージモデルが4機種、オールフラッシュストレージモデルで5機種の計9機種が用意されている。さらに、各機種でメモリ、ストレージ容量、ネットワークインターフェースに複数の選択肢がある。このため、非常に多数の組み合わせから選択できることになる。ハイブリッドストレージ構成同士、あるいはオールフラッシュ構成同士であれば、単一クラスタ内で異なる構成の機種を混在させられるという。


ハイブリッドストレージ構成はこの4機種で、それぞれに複数の構成選択肢がある

オールフラッシュストレージ構成はこの5機種で、それぞれに複数の構成選択肢がある

 Virtual SANの拡張性向上のおかげで、VxRailでは1クラスタを最大16アプライアンス、64ノードで構成できる。これにより最大で約3200の仮想マシンを収容できるという。

 価格については、VxRail 60の最小構成(6コアCPU×4、メモリ64GB、ストレージ3.6TB)の場合、6万ドルで提供されるという。EMCでは、VxRailが支店などから中堅企業のメインデータセンターまで、多様なユースケースをカバーできるようになったとしている。米EMC コンバージドプラットフォーム事業部門プレジデントのチャッド・サカッチ(Chad Sakac)氏は、単一アプライアンスを3コンピュータノードで構成できる選択肢についても検討中と説明している。


単一アプライアンスで40仮想マシンから200仮想マシンまで、柔軟に対応できるようになったという

[2016/02/17修正]

記事初出時に、「VxRailでは新たにELA(Enterprise License Agreement)を適用できるようになった」と記述しましたが、これはEVO:RAILでも同様だと確認できましたので、削除させていただきました。

他のベンダーからも同様な製品が登場する可能性が高い

 今回の発表で、EMCはヴイエムウェアと単一のチームを構成してVxRailを開発したと説明。市場で最も統合度が高いHCIA製品であり、他社にはできないという。だが、この主張はある程度割り引いて考えたほうがいいかもしれない。

 ヴイエムウェアが先週発表したVirtual SAN Ready Nodesプログラムの強化により、従来のEVO:RAILの欠点ともいえる画一的な仕様から離れて、ハードウェアベンダーが柔軟な構成のHCIAを開発・提供できるようになったからだ。強化版Virtual SAN Ready Nodesは、ヴイエムウェアの一連のソフトウェアを事前インストールした形で、単一製品として販売することもできる。ライセンス持ち込みにも対応できる。Virtual SAN Ready Nodesプログラムが今後さらに進化することで、今回のVxRailと同様な製品が、他社からも登場する可能性が高い。

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