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IoTで待ったなし、進む「IPv6移行」への動きモバイルが迎えるIPv6時代(前)(1/2 ページ)

スマートフォンの普及やIoT時代の到来により、「IPv4アドレス枯渇問題」への対応が一層緊急度を増しています。本稿では、モバイルキャリアなどのサービス事業者のIPv6対応に向けた動きや、技術面から見たときのIPv6対応について解説します。

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IoTの到来で加速するIPv6移行

 2015年11月、総務省が携帯キャリア3社に対し、「2017年度から全てのスマートフォンでIPv6を利用可能にするよう要請した」というニュースが一部メディアにて報道されました。この報道は、総務省が現在行っている「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」の議論の内容を基にしていると思われます。さらに総務省は2015年12月に、この研究会に参加した業界関係者や有識者の意見を基に、上記の携帯キャリアへの提言も含んだ「IPv6 によるインターネットの利用高度化に関する研究会第四次報告書(pdf)」を公開しました。

 IPv6は現在利用されているIPv4の後継となるプロトコルですが、現在のインターネットではIPv4が広く利用されており、まだまだIPv6は普及していません。現状、携帯キャリア3社がスマートフォンで提供する3G/LTE接続もIPv4のみに対応した接続サービスです。しかし、近年このIPv4アドレスの枯渇が叫ばれるようになり、アドレス領域の広いIPv6への移行が進み始めています。

 総務省の狙いは、IPv4アドレス枯渇対策としてIPv6移行をスムーズに進めることはもちろんですが、日本のIoT活用を推し進め、活性化させることにもあります。IoTによりインターネットにつながるデバイスは、2020年には全世界で500億台に達すると予測されています。この大量のデバイスがインターネットに接続してきたときに、IPv4ではどうやってもアドレスが足りないのです。

 また、ホームネットワークであれば、Wi-FiやBluetoothを使ったワイヤレス接続や、ブロードバンド回線による接続が可能ですが、IoTにつながるデバイスは移動体であったり、ブロードバンド回線を引き込めないような場所にあったりします。このようなデバイスのために、3G/LTEで整備されたキャリアによる携帯通信網を活用した接続が期待されているわけです。

 このIoT普及に向けたモバイル通信事業者に対するIPv6移行推進の流れは、日本だけでなく世界規模で進んでいます。アジア各国でも政府主導で、携帯キャリアへIPv6対応への指導が行われています。

 今、IPv4アドレスの枯渇とIoTという大きな流れの中、世界規模でIPv6の普及が大きく進もうとしています。これによってわれわれの生活に目に見えるような大きな変化はないかもしれませんが、インターネットに関わる全ての事業者においては、大きな技術的変革が訪れようとしています。本稿では、この大きな変革によって、今後どのようなことが起こり、日本国内のインターネットビジネスに関わる人々に、どのような影響があるのか。また、そこで利用されるであろう新たな技術について解説します。

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