Allseen Allianceはどうなる? IoTでクアルコム、マイクロソフトが競合陣営に参加:Open Connectivity Foundationが発足
IoTフレームワークAllJoynを推進してきたAllseen Allianceの主力メンバー、米クアルコム、米マイクロソフトなどが、ライバルとされてきたOpen Interconnect Consortium側に参加して新組織を発足した。Allseen AllianceとAllJoynはどうなるのか。
2016年2月19日(米国時間)、IoT(Internet of Things)で新組織Open Connectivity Foundation(OCF)の発足が発表された。これは、インテル、サムスンなどが2014年7月に設立したOpen Interconnect Consortium(OIC)の後継組織。新たに、マイクロソフト、クアルコム、エレクトロラックスが最上位のダイヤモンドメンバーとして加わった。3社は、OICと競合するIoTフレームワークを推進してきたAllseen Allianceの主力メンバー。だが、これは、OICとAllseen Allianceの組織的統合を意味する発表ではない。
2月19日の発表文は、次のような表現をしている。
「本日、Internet of Thingsの将来に大きな関わりを持つ、主要な業界リーダー企業は共同で、Open Connectivity Foundation(OCF)としての統合(unify)を発表した。新組織の目標は、IoT標準の統一に寄与することで、企業および開発者が総合に継ぎ目なく連携するIoTソリューションを構築できるようにすることにある」「究極的には、OCFの仕様、プロトコル、オープンソースプロジェクトにより、多様なメーカーによる幅広い消費者向け、企業向け、組み込みのデバイスおよびセンサーが、安全かつ継ぎ目なく、相互にやり取りできるようになる」「OCFはこれまでのOpen Interconnect Consortiumの全て(の活動)を、半導体、ソフトウェア、プラットフォーム、最終製品といった、あらゆるレベルの主要企業と統合する」
OICのWebサイトは、発表とともにOCFのサイトへ衣替えした。従って、OCFがOIC の後継組織であることは間違いない。そしてこの発表には、マイクロソフト、クアルコム、エレクトロラックスの支持コメントが含まれている。3社は、OICのライバル的存在のAllseen Allianceを発足し、これまでクアルコムの寄贈したコードを基に、オープンソースのIoTフレームワーク「AllJoyn」を推進してきた企業たちだ。
だが、今回の発表文に、Allseen Allianceとの組織的統合を意味する表現は全くない。また、発表文には3社がOCFに「参加した」とは書かれていない。3社がダイヤモンドメンバーとして加わったことは、かろうじて別ページの「ダイヤモンドメンバー企業によるコメント」で確認できる。3社のうちマイクロソフトのロゴだけは、OCFのメンバー紹介ページにダイヤモンドメンバーとして追加されている(日本時間2月22日午前6時時点)。
さらに、Allseen AllianceのWebページにも、OCFの発足に関連する記述が全く見られない。このため、今回の発表を、OICとAllseen Allianceの組織的統合と解釈することはできない。
Allseen Allianceは存続するが統一が進む?
では、今回の発表は何を意味するのか。クアルコムのシニアバイスプレジデントで新規事業部門ジェネラルマネージャーのマイケル・ウォレス(Michael Wallace)氏が、ブログポストでヒントとなるコメントをしている。クアルコムはAllseen Allianceの活動の基になっているAllJoyn Frameworkのベースコードを寄贈した企業だ。
このブログポストでは、2013年のAllseen Alliance結成、AllJoynのコードベースの同アライアンスへの寄贈、そして今回のOCFへの参加は、いずれも「断片化はIoTの敵だ」という考えに基づいているとし、さらに次のように述べている。
「クアルコムは(今後も)Allseen Allianceのメンバーであり、その資格において、単一のオープンなIoT標準の確立を助けるため、双方の組織に協力していく。そしてこれ(単一の標準)が実現すれば、製品・サービス間の接続およびやり取りに関するオープンで強力な標準を信条とする私たちは、信じているというレベルを超えて、これを達成したといえるようになるだろう」
つまり、IoTフレームワークでこれまで競合してきた二つの組織が統合されるわけではないが、仕様およびコードをすり合わせ、単一の標準を生み出すための努力が始まることは事実のようだ。だが、どういう方向性ですり合わせが行われていくのかについての手掛かりはない。ちなみにOCFのWebサイトは、これまでのOICが推進してきた仕様、およびそのオープンソースコード/プロジェクト「IoTivity」の情報を従来通り掲載している。
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